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安部若菜 エッセイ連載「私の居場所は文字の中」/第9回「また来年も」

  • 2024.12.27

2024年もあと数日で終わり。今年も本当にお疲れ様でした。 いつもと変わらないようで、やっぱりどこか新しかったこの1年。

振り返ってみれば何も無いようで、1年を拡大してみれば色んなことが起こったこの1年。

とても大変で苦しい1年だった方もいらっしゃると思います。本当に、本当に、お疲れ様でした。

沢山の人生を包んで、また新しい年が来ます。 年を越す瞬間は、ただ数字が変わるだけでいつもと変わらない時間ですが、それでもやっぱり特別で、気持ちがしゃっきりして次に向かえるような気がして大好きです。

私は新年の目標は立てないのですが、「2025年やりたいこと」リストは作るようにしています。

「〇〇に行く」とか、「〇〇を食べる!」とか、そんな些細な欲望を書き連ねただけですが、ふと思い出した時にそのノートを開いて、達成出来たことを消していく時、すごく幸せな気持ちになります。

元気がない時にも、「あぁ、そういえば私これやりたかったんだ」と思い出すだけで支えられ、もう少し踏ん張れるような気もしたり。

新年の目標を立てない理由は、「新年の目標の達成率は8%」という研究結果を見たことがあるからです。

それを知ってから、新年のテンションで大きすぎる目標を立てるのではなく、年末のうちに次の目標を立て、前の年の間に動き始めておくように心がけています。

まぁ、新年の目標と同じことですね。 自分の目標達成を目指しつつ、一つでも多くやりたいことリストに線を引けるような2025年にしたいと思います。

沢山の素敵な出会いがあって、 沢山の綺麗なものを見て、 沢山のおいしいものが食べられるといいな…

皆さまの2025年もとびきり素敵な年でありますように。

本年もありがとうございました。 どうぞ良いお年をお迎えください。

安部若菜の最近読んだ本

ダ・ヴィンチWeb
『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス:著、小尾芙佐:翻訳/早川書房)

『アルジャーノンに花束を』

大ベストセラーであり、歴史のある超名作。

1959年に発表されて、未だ日本でも愛され続ける作品で、当然のように誰もが知っている作品。ですが、私は読んだことがありませんでした。

タイトルは何度も聞いたことがあるものの、読むタイミングを逃し続け、この本が話題に上がる度に何となく気まずさを感じていました。

読書好きなら超名作くらい読んでて当たり前。

誰もそんなことは言いませんが、勝手に感じてしまうそんな圧に気まずさを感じながらも、今更読むのも…と躊躇い続けていましたが、小説紹介のけんごさんをきっかけに読むことに!

名作はいつ読んでも名作、誰にでも初めてはある。 それに、きっとこの本に出会うタイミングが、私は今だったというだけのこと。

ボリュームのある作品ですが、数日で一気に読み終えてしまいました。

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。手術により、チャーリイは天才に変貌したが…。

という簡単なあらすじですが、冒頭から、文字である小説を最大限に活かした演出で、「本で読む面白さ」というのもひしひしと感じる上に、内容も面白いのなんの…。

幸せとは何か、人生にとって重要なことは何なのか改めて考えたくなる作品でした。

手に入れてみて初めて気づくこと、知らない方が幸せだったこと。チャーリーに限らず私たちにも起こりうることだと思います。

読後、しばらくチャーリーに思いを馳せてしまい、切なくて、苦しくて、だけど温かい気持ちになれる、素晴らしい小説でした。

気になっているけどまだ読めていない名作・話題作というのは誰にだって、往々にしてあるでしょう。

名作小説に関しても日常生活においても、知らないと素直に言える人になりたいし、人が知らないことを馬鹿にしないという当たり前のことを改めて意識していきたいと思います。

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