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「自己実現ができる東京」を目指して率先して施策を打つ小池都知事にインタビュー

  • 2024.12.27

12月の都議会定例会で第一子の保育料無償化や、低体重の赤ちゃんへの「ドナーミルク」の利用拡大など、新たな子育て支援策を表明した小池百合子東京都知事。

すでに、「018サポート」で0から18歳までの子どもに対し、所得制限なしの月額5,000円の支給や、高校・都立大学の授業料実質無償化、妊娠・出産時における育児パッケージや出産後のバースデーサポートの提供など、国に先駆けた子育て支援策は、自治体トップレベル。「都は財源があるから」という地方からの批判の声もある中、小池都知事に、子育て支援政策についての考えを伺った。

お話を聞いたのは…

小池百合子 東京都知事

1952年兵庫県生まれ。92年参議院議員初当選、93年衆議院議員初当選。以降、環境大臣、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)、防衛大臣、自民党総務会長など歴任後、2016年東京都知事当選(現在、3期目)

>>都庁総合HP「知事の部屋」

―妊婦を対象に1万円分の育児パッケージを配布する「とうきょうママパパ応援事業」など、とにかく充実しています。

小池百合子都知事:社会はすべて人間で成り立っていますよね。人間と、経済の力、守る力、国で言えば国防、都で言うならば防災、安全、こういったいくつかの鍵となる要素により国力が算出されるという考え方があります。ところが、これらが縮小してしまうと、社会の力がそがれる。

一方で、個々人が自己実現できる社会は豊かな社会だと思います。私はかねてから、自己実現ができる東京にしたいと思っています。その自己実現のため、ライフイベントをシームレスに、切れ目なく支援していく流れの一つに、この『とうきょうママパパ応援事業』があります。

―(本事業と東京都出産・子育て応援事業を合わせると)妊娠時に6万円の支援を受けられるなど、出産前からのサポートがあるのには驚きました。

小池百合子都知事:妊婦の方はさまざまな悩みや不安を抱えがちですから、保健師などの専門職が面接を行い、支援ニーズを把握するようにしています。さらに、シームレスという観点で言えば、結婚・出産前の段階、まず、『出会い』からサポートしています。AIマッチングシステム「TOKYO縁結び」や、いわゆる婚活イベントの提供には想定を超える応募をいただいており、反響は大きいです。

―出産前という意味では、不妊治療への支援もありますね。

小池百合子都知事:不妊治療については、以前から治療費の助成を行っていますが、(2022年に)国が保険適用としたことを契機に、都では不妊治療に伴せて行われる先進医療の費用をサポートしています。加えて今度は、無痛分娩のサポートをする方針を打ち出しました。出産された方が初産の時のような痛い思いをするのはもう嫌だという声が現実的にあります。日本はお腹の痛みを乗り越えてこそ、といったプレッシャーがありますね。いや、それより出産時の痛みを和らげることで、もう1人欲しいよねと考えてもらえればと思うのです。

―子育て支援施策の実施主体は、基本的には区市町村ですが、東京都の役割というのは、どのようなものですか。

小池百合子都知事:小池百合子都知事:「こどもDX」の一環として、都とGovTech東京が協働して、保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する保活ワンストップサービスを、都内3自治体で、2024年10月から始めました。

今、『手取りを増やす』という議論が盛んですよね。東京都は、忙しい子育て世代が保育園探しから入園までの手続をオンライン・ワンストップで行えるように、保護者にとって時間や手間がかかる部分をデジタルで軽減する「手取り時間を増やす」取組を進めています。今後、都内に限らず他自治体でも使えるようにと、国と連携して全国展開していきたいと考えています。こうした先進的な取組を率先して進めるのが都の役割だと思います。

―地方の自治体の方は、「都はお金があるけど、地方は同じようにはできない」とおっしゃる方もいらっしゃいますが。

小池百合子都知事:それは自治体としての優先順位の付け方の違いですよ。地方自治として、都は自らの決定、つまり自治において進めています。東京都から毎年約1兆3千億円程度、地方へ財源が奪われている中で、都は見直すべき事業は見直すなど、無駄をなくす取組を徹底しています。東京では自己実現ができると、皆さんそれを期待してこられているのではないでしょうか。別に人さらいやってるわけではありません。

―財源のやりくりこそ、そのリーダーのお役目ということですね。

小池百合子都知事:はい、そうですね。

―東京で子育てすることのメリットはなんですか。

小池百合子都知事:サポートがシームレスである点。出会いもある、やりたいことが選べる。経済的なポイントも大きいでしょうし、子育てをしながら自分のスキルを活用するチャンスがいろいろ選べる点も重要です。やはり自由な環境を自らが選べるということが大きいのではないでしょうか。

―小池知事のおっしゃる「自己実現」ですね。

小池百合子都知事:女性のエンパワーメントについても、男女平等という観点だけではなく、自分のやりたいことができるようにする。それは男性も女性も同じですね。女性の部分で足りないところを補うことも必要です。わかりやすい話で言うと、少子化担当大臣はこの17年間に24人が務められています。大臣は多産、子どもは生まれない、のは笑えませんね。

―少子化担当大臣の成果が出ていないという声はよく出ますね。

小池百合子都知事:結婚も子育てもしたい男性も女性も一定数いるのに、それが叶えられていないわけですよね。それはなぜか。個人の側に立っていないからです。役所別に、内閣府の担当、厚労省、文科省の担当だとかは、個人には関係ないのです。東京都では、いろいろなハードルがありますが、まさに都民ファースト、都民の立場から考えて、この人生の段階ではこういったニーズがあると個人の側のニーズを考えながら、必要な施策を打ち出してきました。

子育て環境を整え、人を育て、自己実現が可能な都市・東京を目指す。小池都知事の推進力はやはりすごい。

取材・文/政治ジャーナリスト 細川珠生

政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。

(細川珠生)

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