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さよなら「味園ビル」2024年末で営業を終えるバーエリア 個性派喫茶やスナック、伝説のライブシアターの“最後の冬”に密着

  • 2024.12.27

大阪ミナミの少し外れある、通称「裏なんば」と呼ばれるエリアで、昭和、平成、令和と70年近く輝き続ける不夜城「味園ビル」。およそ40軒の個性あふれる飲食店が集まる2階のバーエリアは、今年いっぱいで閉鎖され、営業を終えることになりました。多くの常連さんに愛されたお店の“最後の冬”に密着しました。

深夜喫茶「銭ゲバ」は、19年前、マスターのムヤニーさんが脱サラして開業。常連客が持ち込んだ個性的な小物やポスターが所狭しと並ぶ店内と、飄々としたマスターが作り出す絶妙な居心地のよさが魅力のお店です。

今年5月、2階のすべてのテナントに「今年いっぱいで契約終了」を知らせる手紙が届きました。「銭ゲバ」はすでに次の移転先を決め、そちらの家賃も払っていますが、味園の最後を惜しむ客が連夜訪れ、なかなか引っ越しに踏み切れません。

この夜、訪れていたのは、建築系の仕事をしているという男性2人組。「建築がすごい」と味園ビルの建物としての価値に注目し、「(ビルを)補強して残すっていう文化を残さんと、何もない国になってしまう」と嘆きます。

【動画】1955年に誕生した味園ビル。キャバレーやホテル、宴会場などが入る「娯楽の殿堂」でした。

スナック「まち子」は、沖縄出身のまち子ママがひとりで切り盛りするお店。東京オリンピックが開催された1964年、集団就職で大阪にやってきたまち子さんが1983年に開業。以来41年、楽しいときも辛いときもカウンターに立ち続けてきた店を、今月末で閉じることになりました。

ママを慕う常連客からは「最後にパーティーをしよう」との提案もありましたが、断ったというまち子さん。「パーティーをしたら余計寂しくなる。自然体で終わりたいからね」といつもと変わらない“最後の日”を考えています。

13年続く「なんば紅鶴」は、お笑い賞レースの優勝経験者たちも舞台に立ってきた伝説のライブシアター。この日に開催されていたのは、素人参加型大喜利。「紅鶴」の名物イベントですが、“味園の2階”で開く大会としてはこれが最後となります。

終演後、寄せ書きをするお客さんたち。「まだ実感わいてないです」「ずっとあったから」と表情にも寂しさがにじみます。

そんななか、2階で一番古くから営業を続ける1979年開業の「ナイトスポット・エミ」は、他の店とは契約形態が違うそうで、閉鎖の通知は「まだ受けていない」とのこと。年明け以降も営業を続けるそうです。

今夜も常連客でいっぱいの「エミ」。お店の売りはエミさんの本格的な料理と、洞窟を模した独特な内装。よく見るとガラス玉が埋め込まれていますが、実はこれ、建築当時の味園ビルにあったキャバレーで使われていたものといいます。

4階まで吹き抜けのキャバレーは「世界最大」と謳われるほど巨大なものでしたが、やがてキャバレーは過去のものに。吹き抜けは塞がれて改装され、現在は閉鎖されているホテルや、2階のバーエリアが40数年前に誕生したのです。

そんな歴史を刻んできた味園ビルは「かっこつけて言ったら、人生の半分かな」と笑うエミさんは、ビルがある限り「やれるまではやらせてもらおうと思ってる」と。エミママの店を除き、バーエリアは年内で終了しますが、味園ビル自体の今後はどうなるのか?今は誰も知りません。

味園ビル、2階バーエリアの“最後の冬”は12月20日(金)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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