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回り回るトレンド。Z世代がミレニアル世代のファッションを謳歌した1年

  • 2024.12.27
Glastonbury Festival 2008 Day 1

Z世代によると、ミレニアル世代を見分ける方法はたくさんある。まず靴下が短すぎる。デニムはスキニーなどのタイトなシルエットのものを履くし、写真を撮るときに作るハートポーズも古臭い(今は手でハートの片割れを作り、それを顔に当てる“頬ハート”などいろいろとあるらしいが、とにかく胸の前でハートマークを作るやり方は古いらしい)。1997年以降に生まれた子たちには、ミレニアル世代のスタイルは根本的に時代遅れで、頑張りすぎているように映るのだそう。

ところがこの1年くらいで、不思議なことが起こった。奇妙とも言えるだろう。いたるところでミレニアル世代らしいコーデを目にするようになり、それも明らかにZ世代に分類される若者たちが着ているのだ。スカートパンツに重ねて履く“スカウザー”に、レオパード柄のアイテム。スキニーデニムにウォーキングシューズのようなスニーカー。「ダサい」と一蹴されていたはずのファッションが次々と、トレンドアウトしていた期間分の支持をも取り戻そうとするような勢いでカムバックしている。

「トレンドは20年周期で繰り返される」

ミレニアル世代とは、おおよそ1981年から1997年の間に生まれたすべての人を含むので、かなり広範囲に及ぶ。従って“ミレニアル・スタイル”は、基本的にさまざまな時代のてんでばらばらのファッションを包括する言葉だ。2000年代初頭から半ばまで流行ったローライズデニムにジップアップパーカー、2010年代初頭に人気を博したサイドバング、レオパード柄、超マイクロミニ丈のデニムパンツに黒タイツといったスタイルに、懐かしのコインベルト。そのすべてを、Z世代は自分たちなりにアレンジして真似ている。

これは、何も驚くようなことではない。現に「トレンドは20年周期で繰り返される」という説があり、パンデミック以来、その周期は明らかに早まっている。Y2Kスタイルが幅を利かせているかと思えば、2010年代風のファッションを楽しむ人が同時に出現し、このちぐはぐな状況はもうここ何年も続いている。今再びトレンド入りしている少し前の流行も、もとをたどれば大元は過去のトレンドを踏襲している。もはやついていけない。「人類史上、直近の過去の文化的遺物にこれほどまでに夢中になっている社会はありません」とイギリスの音楽ジャーナリスト兼作家のサイモン・レイノルズは著書『Retromania: Pop Culture's Addiction to its Own Past(原題)』(2010年)で述べている。「どうして私たちは、自らに課したタイムループから抜け出せないのでしょう」と『VICE』誌のエディター、ハナ・イーウェンスも問う。彼女曰く、今の私たちは懐かしむのが早すぎて、それゆえにトレンドの周期が空回りし始めている。

いまだかつてないほどの“ミレニアル・ブーム”

Celebrity Sightings - Bauer-Griffin - 2006

10代の頃は、世界は自分を中心に回っている、そして何もかも自分たちの世代が考案したと思いがちだ。昔、私がスキニーデニムを履いている姿を見て、母や彼女の友人たちが、自分たちも若い頃履いていたと懐かしみながら笑っていたのを、不思議に思ったことを覚えている。「1980年代にスキニーデニムが流行っていたなんて知らないし」と当時10代だった自分は思った。それが今では、アグ(UGG®)ブーツやパーカを見て、母たちと同じようなことを言っている自分がいる。後から見ると恥ずかしい若い頃のファッションも、しばらくすると一周回っておしゃれだとされていることに気づく。誰もが一度は通る道だ。

もちろん、Z世代がミレニアル世代のスタイルを全否定しているわけではないことはわかっている。でなければ、2000年代や2010年代初頭にかけて若者たちが実際に身につけていたものが、今の若者たちの間でかつてないほど普及しているはずがない。どこを見ても、何かしらがY2Kっぽいし、ミレニアルっぽい。ボーイロンドン(BOY LONDON)がリバイバルするのも時間の問題だろう。

Z世代の最年長は、今年で27歳になる。アルファ世代がジワジワと迫ってきていて、そう遠くない未来、今度はZ世代が推しているトレンドが「ダサい」呼ばわりされるのだろう。立場が変わるだけで、流行りはこれからもぐるぐると回り続ける。

Text: Daisy Jones Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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