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年末年始の帰省で家族と会うのがつらい──専門家に聞いた、自分を守りながら帰省を乗り越えるヒント

  • 2024.12.27
Person with red umbrella in New York City winter scene

冬になると当たり前のように行われる年末年始の帰省。しかし、帰省は気乗りしなかったり、緊張を伴うという人も少なくない。特に2024年は、選挙や戦争、世界での政治的な変化など、社会でさまざまな出来事があったため、その緊張感が増幅されるかもしれない。トランプ支持者の両親との関係に悩んだり、ホモフォビアやトランスフォビアの家族を持つLGBTQ+当事者や、有害な家族との関係が悪化している人々にとって、帰省は必ずしも安全とは言えないだろう。

年末年始に実家に帰ることが心配な人や、帰省をしない人には、まず一人ではないと知ってほしい。似たような経験をしている人は多く、特にインターネット上では家族との縁を切ることについて語られる機会が増えており、共感や悩みが共有されている。また、悲しみを感じても構わないことも知っておいてほしい。何年も帰省していなかったとしても、家族とのつながりを失ったことに対する悲しみは、当たり前に抱く感情だ。今回、メンタルヘルスケアプラットフォーム「Talkspace」に相談し、年末年始の帰省に関して専門的なアドバイスを受けた。

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帰省中の家族との会話にどうやって対処するか

Abstract loose modern watercolor landscape art. Blue and white grey sky, indigo landscape. Impressionist illustration of winter or dark depressive state of mind

Talkspaceのカウンセラーで、臨床ソーシャルワーカースーパーバイザー(LCSW-S)のシンシア・キャッチングスは、まず自分の「トリガー」(引き金となるもの)を理解し、必要な場合に席を外す方法を計画することを勧めている。「休暇は本来楽しむべきものですが、家族や特定の話題がトリガーになることもあります。異なる意見を持つ人たちと時間を過ごす際、自分の気持ちを打ち明けるかどうかはあなた次第です。事前に考慮すべきこととしては、信頼度、過去の会話、トリガーなどがあります」「会話が難しくなることが予想される場合は、事前に計画を立てて、いつ席を外すかを決めておきましょう」とキャッチングス。

また、会話のなかで安全を感じられない場合、その場から離れることは逃げではなく、自己のケアとして必要なことだと強調する。「あなたは対話をするつもりでも、相手はそうでないかもしれません。自分のトリガーを認識し、どこまでなら受け入れられるかを自覚することが重要です。ネガティブな発言をはねのけたり、必要に応じてその場から姿を消す力を持っているのはあなたです。それは逃げではなく、必要な自分自身へのケアです。聞き役に徹してコミュニケーションを取ると決めてもいいですし、会話が白熱してきたら意見を伝えてもいいでしょう。同時に、席を外す選択肢があること、そして自分のコントロール権が自分にあることを忘れないでください」

一方、Talkspaceで活動する臨床ソーシャルワーカー(LCSW-C)のエリザベス・ケオハンは、帰省しないという選択肢も有効だと促している。「帰省先で発言するか静観するかはもちろん選べますが、帰省しないという選択肢もあります。ときには自宅や自室で、好きな音楽や番組、食べ物を楽しむのも素晴らしいことです」「特に社会や自身の状況によって感情の浮き沈みがある際には、帰省が大きな負担となる可能性もあります。家族との関係をどこまで深めたいのか、自問自答してみてください」とケオハン。

では、どう判断すればいいか。ケオハンは「まず、ホストが誰で、どんな雰囲気になる可能性があるかを考えましょう。自分のケアが参加することよりも重要だと感じる場合は、自宅にいるなど、あなたにとって最善の選択を考えてください」とアドバイスする。そして、もし参加することを決めた場合でも、自分の信念を妥協する必要はないと強調。「あなたにとって何が大切かを問い直し、それを尊重しましょう。反対意見を持つ家族と一緒にいるからといって、自分の考えを曲げる必要はありません。適度な距離で礼儀正しく関係性を保ちたいのであれば、“控えめなおしゃべり”を試してみてください」

「“控えめなおしゃべり”にすることを決めておけば、大きなエネルギーの消耗を避けることができます」と言い、具体的なアドバイスとして身体を動かし続けることも勧める。「物理的に動き回ることで、同じ場所にとどまると行き詰まってしまう会話の流れを防げます。1年ぶりの再会という貴重な場で、無理せず、つながりやすい会話を心がけましょう」

帰省に大きな不安を感じたら無理をしないこと

Wooden home (rorbu) in winter on Lofoten Islands, Norway

まず最優先すべきは、自分の安全を守ること。もし帰省に不安があり、帰らないという選択肢があるのであれば、それを迷わず選んでほしい。「身体的にも精神的にも、安全第一です」とケオハン。「帰省することでストレスや不安が生じるのであれば、まずは自分の気持ちや心の健康を保つことを優先しましょう。特に実家がトリガーとなり得る場合、帰省をしないという選択をすることで安心感を得られるはずです。自分自身に正直になり、必要なのはスペースを確保してください」

家族の集まりに参加しないことを決めたら、その旨をできるだけ早く主催者に伝えることをケオハンは勧める。これは相手との境界線を設定する練習にもなり、新たな年末年始の過ごし方を作る機会になるだろう。「家族と距離を置くために帰省という習慣をやめたとき、喪失感を感じるかもしれません。しかし、これを自分自身の意義を見つける機会とし、最も重要なのは正直であることだと忘れないでほしいです。自分で選択をするという行為自体が、あなたに力を与えます」とケオハン。「義務感に押しつぶされるのではなく、幸せになる許可を自身に与えてください」

もし家族と同居していて完全に離れることができない場合、「眠れないほどの脅威や不安感があるなら、部屋にいるか親しい友人と過ごす選択をしてみてください。家族の期待に応えられなくても、歓迎されていない場所にいる義務はありません。この先どの程度同居したいか、生活のどこまでを共有したいかを決め、家を出るための準備を始めてもいいかもしれません」とキャッチングスは提案する。

たとえ最初は悲しみや喪失感が強くても、安全だと感じられる年末年始を過ごすことは、力強い経験になるだろう。キャッチングスは、「年末年始の休暇は楽しむための時間です。どこで誰と過ごすかは自分で決めることができ、あなたの安全と健康が最優先です。同じような境遇にある人々のなかで、あなたと一緒にその日を過ごしたいと思っている人を見つけてみるのもいいかもしれません」と言う。「もし一人で過ごすことになっても、アロマキャンドルを灯し、音楽を聴き、料理をしたりして、自分を甘やかす特別な一日を作りましょう。帰省せずとも、あなただけの健康で有意義な思い出を作ることができるはずです」

Text: Brittney McNamara Adaptation: Nanami Kobayashi

From: TEEN VOGUE

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