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「鍵閉めたよね?」何度確認しても不安が消えない!?強迫性障害の原因は家庭環境に?どんな障害があっても「自身を大事に」作者の思い【インタビュー】

  • 2024.12.27

「鍵、かけたっけ?」何度確認しても不安。大人の男性とすれ違うと手を洗わずにいられない、そんな強迫性障害を抱えているネコゼさん。しかし、大人になってから「発達障害」と診断され、幼いころから家族に「ネグレクト」や「精神的虐待」を受けた家庭環境も要因だと気づかされた。今回は、原作ネコゼさん、作画・モンズースーさん(@monnzusu)が描く「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」を紹介する。

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承のうえ、お読みください。

強迫性障害を抱えていたネコゼさんは、大人になってから「発達障害」と診断される

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」1日目(2) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」1日目(2) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

ネコゼさんが本作を書いたきっかけは、「大人になってからADHDの混合型と診断され、さらにアスペルガー症候群のグレーゾーンと判明してから、今まで悩んでいたことの多くに発達障害が関係していることに気が付きました。『もしかしたら私と同じような悩みを抱えている人がいるかもしれない』と思ったことと、もともと小説などストーリーを書くことが好きなので、自分の体験談をコンテストに応募してみたことがきっかけです。」原作は、2021年魔法のiらんど大賞コミック「原作大賞実話・エッセイ部門」で特別賞を受賞する。

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」1日目(3) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」1日目(3) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

「発達障害」は自分では判断が付きにくく、日常的に「え、わたしが?」という程度のミスは本当に誰しもあるだろう。一体、何をきっかけに診断を受ければいいのだろうか。ネコゼさんに聞くと、ひとつは「人とのコミュニケーションで悪意がないにも関わらずトラブルが多発して困っている、などの悩みを自覚をしている場合」、もうひとつは「自覚はないものの、身近な人に『物忘れや衝動的な言動が多い』と指摘されることが続いていて、これらのことで仕事や日常生活に支障をきたしている状態」このような気がかりが続いていたら、「発達障害に限らず他の要因もあるかもしれませんので、一度精神科で相談することをおすすめします。また、困りごとや悩んでいることなどをメモにまとめておき、受診の際に持参すると伝わりやすくなり、後から言い忘れを防ぐこともできます」と、アドバイスをくれた。

「今を生きている〝あなた自身〟を大事にしてほしい!」という思いを込めて執筆した

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(2) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(2) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

ネコゼさんは高校生のころ「強迫性障害だと思っていた」のに「統合失調症」と診断され、学校を休学。つらい副作用に悩まされ、セカンドオピニオンで「強迫性障害」と診断され、ようやく自身の症状にも納得できた。そこから大人になって、今度は「強迫性障害がADHDの混合型・アスペルガー症候群のグレーゾーンの二次障害の可能性がある」とわかった。さらに、娘が病気になっても関心を示さない父、様子がおかしくなっていく娘に気づきながらも医者に任せ、放置した母の「ネグレクト」も要因であることがわかった――。

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(3) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(3) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

診断を受けてからの気持ちの変化を聞くと、「幼少期からの強迫性障害だけだと思っていたので、はじめは『まさか私が発達障害だなんて』と大きなショックを受けました。さらに、『ネグレクト』と『兄弟姉妹間の精神的虐待』を受けて育ったことも判明して、見ないように蓋をしていた過去に苦辛しました。過去を変えることはできないので、今の自分にできることを考え、地道に対処や工夫をしていくことで、すべてではありませんが、以前よりも生きやすさを得ることができました。また、同じような悩みを抱えた人と情報を共有することで、少しだけ前を向くことができたと思っています」過去を受け止めるまでは時間がかかったかもしれないが、少しずつ前を向いているネコゼさん。

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(4) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(4) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

「生きづらさを感じている人や、身近に同じような悩みを抱えた人がいる方に、私の経験が少しでもプラスの方向で役立てればと思い、執筆をさせていただきました。また『きょうだい児』の存在も多くの人に周知され、きょうだい児が抱えているさまざまな問題を理解される一助となればと願っています」

「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(17) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA
「家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました」3日目(17) 画像提供:(原作)ネコゼ・(作画)モンズース/KADOKAWA

「そして、大人になってから発達障害が判明したことで過去を振り返り、愛されたかった人たちからはぞんざいな扱いを受けた反面、祖父母や友人たちにはたくさん支えられてきたのだと、ありがたさを改めて実感することができました。過去にずっと苛まれ続けるよりも、今を生きている〝あなた自身〟を大事にしてほしいという思いを込めました」(ネコゼさん)

もし今「生きづらい」と感じている人は、理解してくれる人とともに〝あなた自身〟を大事にできる手段を見つけてほしい。読者からは「症状は違えど、葛藤しながら生きて行く姿はとても素敵」「同じように大人になって発達障害が分かり、共感することがたくさん書いてありました。ホッとし励みになりました」などの声が届く。

取材協力:ネコゼ

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