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「世界1位、五輪金」を堂々誓うも…韓国女子ツアー三冠女王の米国挑戦を手放しに応援できない理由

  • 2024.12.27

不正行為による1年半の出場停止処分を経て韓国女子ツアー“個人三冠”を達成したユン・イナ(21)が、来季の米国女子ツアー挑戦を公式に宣言した。

ユン・イナは12月26日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)のルナ・ミエーレで記者会見を開き、「夢の舞台である米国女子ツアーに進出し、新たな挑戦を始める。徹底的に準備して新人王を目指す」と抱負を語った。

ユン・イナは今月11日まで米アラバマ州モービルのマグノリア・グローブ・ゴルフ・コースで行われた米国女子ツアーのQシリーズ(最終予選会)において、通算15アンダーの「343」を記録し、8位でフィニッシュした。

これにより、上位25位タイまでに与えられる来季米国女子ツアーのシード権を獲得することに成功した。

ユン・イナはQシリーズを振り返り、「ショートゲームの重要性を大きく感じた。韓国と違う芝生でピンに近づけるためにはさまざまな技術が必要だが、まだ足りない。その部分を発展させ、アメリカでもしっかり適応できるよう努力する」と誓った。

ユン・イナ
(写真提供=KLPGA)ユン・イナ

そんなユン・イナの米国女子ツアー挑戦は、韓国国内で2~3カ月前から議論となっていた。その要因には彼女が2年前に犯した“誤球プレー”がある。

ユン・イナは2022年、とある大会で誤球プレーの不正行為を犯したことが発覚し、韓国ゴルフ協会及び韓国女子プロゴルフ協会より3年間の出場停止処分を下された。

ただ、出場停止期間の社会奉仕活動やファンによる3500件近い嘆願によって、処分の期間が「3年」から「1年6カ月」に減免。このため、2024年シーズンから韓国女子ツアー復帰を果たしていた。

そして、2024年は復帰初年度ながら1年間のブランクを感じさせない活躍を披露。25大会に出場して21大会で予選通過し、優勝1回、2位入賞4回、3位入賞3回、トップ10入り14回と抜群の安定感を見せた。

こうした活躍ぶりから、今季韓国女子ツアーの大賞(年間MVP)に輝いたほか、賞金女王、平均ストローク賞も含めた個人三冠を達成。長打でも254.98ヤードの全体2位を記録するなど、パワーと正確性を兼ね備えた“スター選手”として華やかな復帰を果たしていた。

処分中も自身を支え続けたファンの存在、さらにはハイトジンロやクラウニングなどスポンサー企業やマネジメント会社による物心両面の支援のおかげもあり、処分が軽減されたユン・イナ。そのため、少なくとも来季までは韓国女子ツアーで活躍するものとゴルフファンの間で期待されていた。

ユン・イナ
(写真提供=OSEN)ユン・イナ

しかし、ユン・イナは韓国女子ツアーのシーズンが終了すると同時に、マネジメント会社をセマ・スポーツマーケティングに変更。現在スポンサーのハイトジンロともまもなく契約を終了する予定だ。そのほか、ウェアや用品のスポンサー社もすべて変更するなど、「ユン・イナ」という自身の名前を除いては何もかも一新して渡米を宣言した。

プロならば当然行使できる権利であるため、手続き上は問題になることはない。

プロとしてあってはならない過ちを犯したとはいえ、再びフィールドに戻れるよう惜しみなく支援したスポンサーとマネジメント社の献身も純粋に受け入れることはできない。スター性があるからこそ待ってくれたのであり、費用を投資してくれたからこそ、一日も早い復帰に成功できたと解釈してもおかしくない。

ただ、韓国国内の反応を考慮すると、必要十分な条件下で「惜しみない支援を受けただけの選手」というレッテルを完全に外すことはできないものと見られる。少なくとも、業界関係者の間では好き嫌いがハッキリ分かれる選手になったと言っても過言ではない。

同日の記者会見では、新マネジメント会社であるセマ・スポーツマーケティングのイ・ソンファン代表が同席し、一部の質問はユン・イナに代わって答えた。これも、選手をめぐる不必要な議論を回避しようとする動きと見えた。

イ代表は「為替レートの上昇もあり、ユン・イナ選手がアメリカで安定的に生活できる企業を探している。まだ何も決まっていない」と伝えた。この発言には、物価高などを考慮し、1ウォンでも多い金額を支援してくれる企業とスポンサー契約を結びたいという意図が見える。

ユン・イナは「ファンと離れることが負担にはなった」としながらも、「米国女子ツアーでしっかり成長することが、ファンに応える道だと思った」と伝えた。「ゴルフで恩返しする」という意味だ。

そして、「頑張って世界ランキング1位になり、五輪の金メダルも狙いたい」と話した。世界ランキング1位の座は実力によって得ることが可能だ。ただ、過去の誤球プレーをした経歴を持つ選手が、堂々と“代表入り”を目標に掲げるのはあまりに時期尚早なのではないかという見方もある。

何はともあれ、ユン・イナはアメリカでの新たな出発を公式に宣言した。結局のところ、韓国ゴルフ協会も韓国女子プロゴルフ協会もユン・イナの早期渡米の助力者となったわけだ。

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