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「お子さんに沢山のアザがあるんですけど、昨晩の様子はどうでしたか?」保育士の私がワンオペママさんに同情できない理由

  • 2024.12.27

※本記事はFUNDO編集部へ寄せられた読者様の体験談を元に作成しています。 実際の個人情報の特定を避ける為に一部フィクションや編集を入れております。

私は34歳の保育士。 専門学校を卒業してから今の保育園に就職して早10年が過ぎました。今回投稿する体験は、そんな保育士人生の中でも1、2を争う衝撃的だった事件です。

「いつもありがとうございます~」「今日、ウチの子は元気でしたか?」ママさんというのはこのように当たり障りのない世間話が好きなもの。 ある日、そんなママさんの一人のお子さんA君の様子がいつもと違っているように見え、気になったので顔を見てみたのです。

いつも友達と遊んでいるA君が端の方でうつむいており、表情が曇っています。とてもじゃないですが、普段のA君の表情から大きく乖離していました。 それと、お腹を押さえてたのが気になります。私は「何か嫌な予感がする……。」と胸騒ぎがしました。

お腹には沢山のアザが....すぐに連絡

園庭遊びでお外に出る際、A君に「お着替えですよ。」と声をかけ、実際にお腹周りを見てみました。「……やっぱり。」そう、お腹に複数の青アザが複数あったのです。 A君も痛みをこらえながらずっと一日を過ごしてきたのでしょう。私は、咄嗟にA君ママさんにその場で連絡を取ります。

「お子さんに沢山のアザがあるんですけど、昨晩の様子はどうでしたか?」

そうしたらすぐに返信が来ました。

「いつもどおりですよ!アザってなんですか?」

「いえ、今お着替えの時間なんですが、お腹に青アザあるんですよね……」

「ほんとですか?!お友達とケンカしたのかしら!!!」

と、逆に激昂している様子。ちなみに、園児どうしのトラブルはこちらで見ている間は起こっていません。そのような報告も受けていないのです。よって、園児とのケンカはなかったことを伝えたのちにもう一度訪ねました。

「ですので、昨晩の様子はどうだったのでしょうか?」

すると、連絡がパタリと途絶えてしまいました。もっと嫌な予感が湧いてきます。「これは、早くA君を助けなければならない。」と。

児童相談所に相談したところ常習的DVだと判明

更に、嫌な予感が当たってしまいました……。 担当の児童相談所に電話をかけると、相談員さんが「あ~」と言いながらこう続けたのです。「そのお母さんね、お父さんは居るんですけど、ずっとワンオペがつらいって相談を受けてたんですよね。それで、現地調査に向かったんです。」と、ここで話が一旦途切れます。もう、これ以上の嫌な予感は当たってほしくないのですが……。

「お気づきでしょうけど…その子、お母さんからのDVが常習化しているんですよ。何かお母さんの気に入らないことをすると、お腹を蹴り上げてしまうらしいんです。」私は思わず溜め息をつきます。「まぁ、そのたびに私たち相談員に電話をかけて、泣きながら私が悪いんです!とか詫び入れられても対応しきれなくて……。もちろん、相談員として提案はしていますよ?」「その提案は、私も賛成です。」すかさず私が返答をしました。

私が気付くのが遅すぎたくらいだったのかもしれません。なんでこんなことになってしまったのでしょうか? 相談員さんが言う提案とは、事情があって家庭で育てていくのが困難な親子のために、国が定めた児童養護施設に保護してもらうことです。

お迎えに来たA君ママさんが悲劇のヒロインに

そして、気付けば午後2時過ぎ。私はハッとしました。お迎えの時間になる……。A君ママさんになんて声をかければ良いのか、必死に思考を巡らせました。 「いや――これは余計なお世話か。」と、保育士である本来の役割を果たすまでだと悟るのです。

A君ママさんがお迎えにきました。突然連絡を途絶えたことを気にしているのか、どことなくいつもの明るい表情は一切なく不安な面持ち。

それどころか、私を見つけた瞬間に大声で泣き出してしまいました。「なんで?!なんで、私ばっかり不幸になるの?!」と、A君ママさんはよく分からない泣き喚きが始まり、幼稚園内で大人が号泣するところは長年務めた保育士の私でも、もちろん初めての経験です。

「私は!こんなに頑張っている!!でも!!子どもが言うこと聞かないのよぉ!!」と、もはや発狂に近い状態で回りに同情を乞う様子にも見えましたが、誰も何も反応せず、そそくさに「行きましょ。」とお子さんと共に帰っていくママ友たち。

私は泣き喚く彼女の肩を叩き、「この状況をご理解いただけますね?このような事態になっては、当園として正当な対応をさせていただきます。」と声をかけるのが関の山でした。

果たしてこれでよかったのだろうか

結果、A君は児童養護施設へ保護されました。 しかしながら、このように悲劇のヒロインを演じるA君ママさんのような人と遭遇すると、何とも言えない無念に近い思いを抱きます。

子どもたちが元気に育っていくことを見守るために始めた仕事なのに、このような事件が起きると胸につっかえものがあるような違和感も覚えるのは何故でしょうか?

その後、A君ママさんは「パニックになると子どもに当たってしまう。」とだけ自白したらしいです。

あまり、A君の話が出てこない点が気になりますが、幼稚園で見るA君が友達と元気に遊んでいる姿だけは本当のことだったと思います。

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