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アルフォンソ・キュアロン『ディスクレーマー 夏の沈黙』について語る【sweetムービーインタビュー】

  • 2025.1.7

Alfonso Cuarónアルフォンソ・キュアロン

Alfonso Cuarón 1961年11月28日、メキシコ生まれ。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)などを手がけた後、2013年の『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞監督賞をはじめ7部門を獲得。メキシコを代表する映画人のひとりとして活躍する。


現在、Apple TV+で配されているドラマ『ディスクレーマー 夏の沈黙』は、まるで長編の映画を観ているかのような気分にさせてくれる格調高いサスペンスとして世界的評価が集まっている。それもそのはず。これを手がけたのは、『ゼロ・グラビティ」やNetflix映画『ROMA/ローマ』で知られる巨匠アルフォンソ・キュアロン。彼にとって6年ぶりの新作となった本作は、彼が念願だったルネ・ナイトの小説『夏の沈黙』の映像化。公私ともに人生の絶頂にいるジャーナリストのキャサリンのもとに届いた匿名の作家の小説が、彼女が隠し通そうとしていた過去を暴くものだったことから心理的に追い詰められていく。映画向きの題材をなぜドラマに!?

「じつはこの企画はずっと温めていたものだったんだけど、いわゆる超大作の映画という規模ではないから、劇場公開する映画としては難しかった。それでシリーズものと
してやろうとしたときに手を上げてくれたのがApple。『ROMA〜』は僕の個人的な企画として撮影し完成したものをNetflixが配・配給権を取得してくれたんだけど、この作品は最初からAppleと二人三脚で制作することができたんだ。こういう中小規模の作品を制作するにあたって、配信っていう選択肢ができたのは僕にとっても映画界にとっても素晴らしいことだってことを再確認したね」


主人公のキャサリンを演じたのは、これまたドラマシリーズの主演は珍しいケイト・ブランシェット。じつはキュアロン監督のメキシコの親友であり、ともにオスカー監督でもあるギレルモ・デル・トロとアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの2人はケイトを主演にした作品を作り、すでに絶賛を浴びていたので、もしかしてずっと彼女を起用したかったのでは?と聞くと、声高に「イエス!」と即答。

「ギレルモとイニャリトゥが先に彼女の素晴らしい芝居を引き出していたのを観て、正直嫉妬していたし、彼女と一緒に仕事する機会をうかがってたんだ。彼女も僕と同じくドラマの経験は少なくて、この作品の撮影期間の長さに驚いていたけど、お願いできてよかったよ」
キャサリンの過去の回想、キャサリンの今、そして謎の暴露小説の書き手の3つの視点でドラマは進むが、強烈なのが過去パート。そりや隠すわ……という生々しくもエロティックな物語が展開する。

「あのパートでキャサリン役を演じてくれたレイラ・ジョージには感謝してる。性的なシーンはまるでアクションの振りつけみたいなものなんだけど、なにせすごく過激なシーンばかりだったからね。そこで僕らはインティマシー・コーディネーターを雇い、セットには最小限のスタッフだけ配置して、確実に安全な撮影を心がけたんだ」

Apple TV+『ディスクレーマー 夏の沈黙』
story: ジャーナリストとして成功したキャサリン (C・ブランシェット)のもとに、一冊の小説が届く。そこには、彼女がひた隠しにしてきた彼女の過去が赤裸々に綴られていた。その秘密を知られたら、家族の絆はもちろん彼女のキャリアも崩壊する危険が……。

監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン/出演:ケイト・ブランシェット、ケヴィン・クライン、レスリー・マンヴィル、コディ・スミット=マクフィー、ルイス・パートリッジ、レイラ・ジョージ ほか/配信:現在、Apple TV+にて独占配中
画像提供 Apple TV+


text : MASAMICHI YOSHIHIRO
web edit : KIMIE WACHI[sweet web]

※記事の内容はsweet2025年1月号のものになります。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください。

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