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【永遠のミュシャ 開催中!】 展覧会アンバサダーの塩野瑛久さんが没入する、ミュシャの世界

  • 2025.1.18

漫画やアニメなどに、多大な影響を与えてきたミュシャ

イマーシブな空間で、ミュシャの世界観を体験。©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

チェコ出身のアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)は、19世紀末から20世紀初頭のパリのアートシーンで一世を風靡した画家。特にポスターの分野で、髪をなびかせる女性に草花を組み合わせ、曲線を生かした独自の様式を打ち出し、アール・ヌーヴォーの代表的な存在に。洗練、エレガンス、モダニズムの象徴となりました。

塩野さんが好きだという配信動画『アーケイン』と、もとになったと思われるポスター作品《ジョブ》。©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

1960年代にアール・ヌーヴォーが再評価されるなか、再び脚光を浴びることになったミュシャ。アメリカのフラワームーブメントから発生したサイケデリック・アートや、水野英子や山岸凉子など、1970年代以降の日本の少女漫画にも、ミュシャ風の表現が現れていきました。

ミュシャの世界観に浸る、イマーシブ空間

©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

ミュシャが生涯にわたって制作した傑作を、高解像度のプロジェクションを通して堪能できる、新感覚の没入体験型展覧会。目玉となるイマーシブ映像は、高さ6m、幅11mのスクリーンが6面にそびえる六角形の大空間。《ジスモンダ》や《ハムレット》など、ミュシャが手がけたさまざまな作品を体験。3部構成で約30分あるので、たっぷり世界観に浸ることができます。
 
「空間に入った瞬間、ミュシャの絵に囲まれて感動しました。パリでは床が絨毯だったのが、日本では壁と一体化した映像を投影し、絵画の一部になったような没入感を味わえます。
 
ミュシャの特徴である女性、花、アーチが登場するのですが、映像にすることによってそれぞれが切り分けられ、徐々にアーチが描かれていったり、そこに女性の絵が重なっていったり、花がひとつひとつ咲き乱れていったり。一枚の絵でも素晴らしいのですが、映像ならではの演出が没入感をさらに高めてくれる気がしました。
 
大画面なので細かいところまでよく見えますし、くっきりした曲線の描き方など、いろいろと楽しめる空間になっています。アートになじみのない方も、映像でそのまま伝えてくれるのでおすすめです」と塩野さん。

©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

もともとミュシャが気になっていて、本展のアンバサダーに就任することになったという塩野さん。
 
「街のなかや作品など、どこかで目にしていた絵がたまたまミュシャだったということが多くて。僕が小さい頃に見ていたアニメ『カードキャプターさくら』や『ファイナルファンタジー』など、ミュシャにインスパイアされた作品を見て、必然的に惹かれていったんだと思います。
 
ミュシャの絵は平面的なのですが、とても力強いインパクトがあって、印象に残る絵だと思います。特に《ジョブ》というたばこの広告は、僕が大好きなアニメーションドラマ『アーケイン』の名シーンのインスパイアのもとだと明言されている作品だったので、びっくりしました」

香りや音楽の変化、3Dアニメーションも楽しめる

第2章では、ミュシャの創作活動を方向づける《主の祈り》をゆっくりとページを捲るように、2台のモニターで鑑賞ができます。©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

ミュシャの人生や画業、後世への影響などを、学術的な視点と多彩な演出で紹介する本展。そのひとつが音や香りの演出。フランスの香水会社「テクニコフロール」が本展のために調合した、4つの香りを体験できます。
 
「部屋に入っていくと花の香りや、ミュシャが描いた部屋をイメージした空間では絵の具の香りを楽しめます。ほんのり香るので、臨場感を楽しむことができます。展覧会ならではの非日常を味わってほしいです」

第4章の、絵のなかの人物が絵から飛び出す3Dアニメーション演出。©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

そのほか、実際の俳優がミュシャの代表作《ジスモンダ》《夢想》《ロレンザッチオ》などの衣装を着て、3Dアニメーションとして作品の中に組み込んだイマーシブ体験ができるエリアも。
 
ジャポニズムの影響を受けた、縦長の作品をたくさん残したミュシャならではの18本のバナー「カケモノ」がかけられた第5章。片面はミュシャの作品、もう片面にその作品にインスピレーションを受けて現代の作家たちが制作した作品が配されています。

本展の第5章「インフルエンサー、ミュシャ」では、日本を含むミュシャに影響を受けた作品を多数紹介。©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

音や香りにこだわった、プライベート空間

©︎2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif-Bunkamura

ミュシャの世界観によく似合う、白いスカート姿で登場した塩野さん。普段からアートを見るのが好きなのだとか。
 
「多くはないですが、細かい部分に影響を受けたり、自分の中に新しい発見をするためにも行ったりはします。写真展や絵画、最近ではバンクシー展がおもしろかったです。自分の中にインプットしたいとき、アートを見ると心が癒やされる部分もありますよね。
 
ミュシャはコントラストがあまりはっきりしていないものや、逆に影が影として描かれているものもあって、そのバランスがすごく独特だなと思います。平面的でありながら、どこか立体感もあるし。作品は古いですが新しさも感じる。色使いも華やかなので、部屋に飾ったりしたいです」

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プライベートでは家で過ごすことが好きだという塩野さん。
 
「休日は家で、映画やアニメを見ることが多いです。最近キャンドルウォーマーでアロマキャンドルをよく使っています。ランプのような形をしていて上から照らし、その明かりでロウを溶かして香らせるというもので、火を使わないところがよくて。ウッド系やスモーク系の香りが好きですが、寝る前にはリラックスできるラベンダーを使っています。
 
音にこだわりたくて、サウンドバーも買ったんです。両端のスピーカーがワイヤレスになり、自分の後ろに置くことで音に包まれる体験ができるものなのですが、映画を見るときにすごくいいんです。怖い映画を見るとドキドキするくらい。映像を見るためにソファを買い替えたりして、最近自分はそういうことにこだわりはじめたんだなって思いました(笑)」

ミュシャの作品からインスパイアされた、世界初のミュシャ財団公認ブランド「MUCHA(ミュシャ)」のフレグランスやグッズも。

「なかなかできていないのですが、アートに触れたり、自分でもテクスチャーアートに挑戦したり、そういうものに時間を費やしていきたいですね。自分の感性や感覚を養う時間ももっと作っていきたいなと思います」

豊かな役ができるよう、感性を磨きたい

NHK大河ドラマ『光る君へ』をはじめ、今年大活躍だった塩野さん。
 
「2024年は出会いに恵まれた年でした。素敵なスタッフさんやキャストの方々、いろいろな人に出会えて、またお仕事をご一緒したいなと思えるような出会いがたくさんあったし、僕のことを知らない方に自分の芝居を見ていただける機会が多くあった年だったと思います。
 
『光る君へ』のようなまっすぐな青年を演じる機会は多くはなかったので、現代のそういう人を演じられたらうれしい。ありがたいことに『無能の鷹』や『天狗の台所』など、作品の幅があっていろいろなイメージを持っていただいているのですが、まだまだ表現してみたい、チャレンジしてみたいものがあります。あとは地に足のついた普通の青年、ナチュラルで自然体な役もやりたいですね」
 

本展のイマーシブ映像にも影響を受けたという塩野さん。
 
「仕事もこれからもっともっと見ていただける機会が増えていくといいなと思うし、同時にプライベートでは自分の心の余裕、隙間をもう少し持って、豊かな表現をできるようにしていき、いろいろな作品との出合いに備えたいと思います。
 
アート作品は絵から感じ取る部分も多い。僕ら俳優も感情はすべて口に出すのではなく、自分の中に秘めている感情や間、表情を表現しなければいけないので、アートと通じるところがあると思います」
 

最後に、本展のおすすめポイントを教えてもらいました。
 
「アートを楽しむうえで、そこから何かを受け取らなくてはいけないと思ってしまうことが結構あると思うんです。せっかく見に行ったから、何かを吸収しないといけないとだったり、ここのどこが素晴らしかったか理解しないとだったり。今回のミュシャ展においては、映像である意味、正解を打ち出してくれているのでわかりやすいんですよね。アートを見るのは疲れちゃうと思っている方がいたら、ぜひ一度足を運んでもらえたら、そこに立っているだけで映像がミュシャの世界に没入させてくれるので、見ていただけたらいいなと思います」

展覧会概要

『グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ』

開催中~2025年1月19日(日)
ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)
11:00~20:00 ※入場は閉場30分前まで、12月31日(火)のみ18:00まで
1月1日(水・祝)休館
一般 平日¥2,900、土・日・祝¥3,300

塩野瑛久さん profile  

1995年生まれ、東京都出身。2012年にデビュー。13年『獣電戦隊キョウリュウジャー』にレギュラー出演した後、舞台『里見八犬伝』、映画『HiGH&LOW THE WORST』などに出演。ドラマ『Re:フォロワー』『不倫をコウカイしてます』『ぼくの人格シェアハウス』『 REAL 恋愛殺人捜査班』では主演 (Wを含む)を務める。2024年の大河ドラマ『光る君へ』では一条天皇を好演。映画『チャチャ』『八犬伝』が公開、ドラマ『無能の鷹』『天狗の台所 Season2』『連続ドラマW ゴールデンカムイ─北海道刺青囚人争奪編─』に相次いで出演。2025年1月8日スタート『五十嵐夫妻は偽装他人』(テレビ東京)では、W主演を務める。

photograph:Mari Yoshioka styling : Takumi Noshiro hair & make-up : Shinya Shimokawa text & edit:Mayumi Akagi
 
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