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シングル女性たちが「ロスターデート」を取り入れている理由

  • 2024.12.26

複数の相手とのデートを同時進行

昨今の恋愛において、「ロスターデート」つまりデート相手の「当番表」をつけ、複数の相手と別日に予定を組むことはもはや、特に性欲が強く、計画性のある人だけが実践する風変わりな習慣ではなくなってきている。どちらかというと、生き残りのための戦略なのだ。シングルでいるのに飽き飽きしているこの時期、みんな「当番表」を駆使して戦略的に動いている。

確かにこれは、革命的な戦略ではない。少なくとも最近まで、私のシングルの友人たちがこれを意図的に実践している様子をあまり目にすることはなかった。ところが、今では私たち全員がこの「ロースター戦略」に夢中になっているのだ。そして実際のところ、この戦略は最高だったりする。

「当番表に年上の男性を加えたいんだよね」。最近、ある友人がつぶやいた。「おいしいレストランを知っていて、まだ髪の毛があるような人がいい」。独身になったばかりの別の友人は、「最近の若い子たちの動向を教えてくれる、性的に旺盛なZ世代」を募集していると言っていた。銀行員の友人は「会社の堅苦しさを相殺してくれる」アーティストを探しているという。

こんな会話を聞いて、ロスターデートが単に性体験の幅を広げるためだとか、ある種の「セックス・アンド・ザ・シティ」への憧れだとかは、どうか思わないでほしい。もしあなたが、相手から少しでも興味を示されるとすぐにハマってしまう人なら、ロスターデートはおすすめだ。ちょっとした褒め言葉が事実上のプロポーズに聞こえてしまう人、メッセージが届くたびに一喜一憂してしまう人、デートの翌日、メモアプリに詩をしたためる人にも。

ロスターデートで気づく「執着しなくていい」

「視野を広く保てるし、誰かに縛られている感覚にならない」とレイラ(29)は言う。彼女は4年前に長年連れ添ったパートナーと別れて以来、ロスターデートを提唱している。ハリエット(36)も同意見だ。「ネットを介して出会うと、まだ知り合ったばかりなのに、妙にその人一本でいかなきゃという気分になってしまう。でも、一度に何人かとデートすると、海にはたくさんの魚がいて、うまくいっていないものを執拗にどうにかしようとする必要はないと思えるんです」と言う。

私自身も「当番表」をつけることで、デートが楽しくなった。自分にも相手にもプレッシャーをかけず、新しい人との出会いをエンジョイできる。もちろん注意点もある。サマンサ・ジョーンズのまねをしたいのは山々だが、同時に数人とセックスするのには完全には賛成できない。また、何人もとデートを同時進行するのは、物理的にも、会話の内容的にも、感情的にも限界がある。いつ、何の話をしたか記録するために、スプレッドシートが必要だ。もし私がエクセルを使いこなせたら、多少負担は減っただろうに……。

ゴールはパートナーを見つけること。専門家たちが語る利点

ロスターデートは、いわゆるポリアモリー(同時に複数人とパートナーシップを結ぶこと)とは違う。私が話した人たちは皆モノガミー(1人とパートナーシップを結ぶこと)を求めていて、最終的には長く一緒にいるパートナーを見つけたいと望んでいる。ただ、より流動的なアプローチを取っているだけだ。この目的と手段は、実は相反しない。

「複数の人とデートすることは、自分を見つめ直すきっかけをくれます」と、恋愛アドバイザーで作家のマリーナ・ラザリスは説明する。「あまりに早く特定の人に過剰に入れ込むと、感情的な依存を招き、傷ついてしまう可能性が出てきます。ロスターデートなら良い具合に客観視できます。恋愛を自分探しの旅として捉えられるのです。自分は何が楽しくて、何に価値を置いていて、何を相手に本当に求めているのかを探る機会を与えてくれます」

デートを通して、自信もつく。ゴースティング(突然連絡を断つこと)やブレッドクラミング(付き合う気はないが、相手に思わせぶりな態度を取って関係を保つこと)など、冷酷な行為が蔓延している現代の恋愛において、極めて重要だ。「さまざまな人に会うのは、人間関係についてのマスタークラスを受講するようなものです」と、臨床性科学者のマリー・モリスは補足する。「(さまざまな人と関係を持つと)感情的知性、相手からの合図を察知する能力、境界線を設定する能力、オープンで好奇心おう盛な心、健全なコミュニケーションを実践する能力が必要とされるからです」

一方で、不安への万能薬ではない

もちろん、間違った理由でロスターデートに手を出す人もいるかもしれない。確かに恋愛に関する不安は軽減するが、ほかの種類の不安がゆっくりむしばまれるリスクもある。

「誰もが『当番表』をつけているから私もやっていますが、絶対に健全とは言えません」と語るマヤ(31)は、「1人の男性から返信がなくても、別の男性にメールすればいい。その感覚に安心するんです」と続け、自分自身が抱える不安をなんとか処理するため、ロスターデートをしていると吐露する。「でも、もしもっと良い男性と出会えていたら、『当番表』なんて必要ありません。1人に時間と労力をかけられたらいいのですが」

結局のところ、ロスターデートが功を奏すか否かは、あなたのスタンス次第だ。もしあなたが、1人になりたくなかったり、ただ単に複数の人とイチャつきたかったりするだけなら、ロスターデートは恋愛中毒を加速させるだけかもしれない。はたまた、真剣交際を求めていない場合、ロスターデートはそれを避ける良い逃げ道になる。あまりのめり込まない関係は、実際に誰かを受け入れてから追い出すより、安全な選択肢かもしれないから。

「『当番表』をつけてデートするのはつまり、相手に心は捧げないことだと思います」とニーヴ(30)は語る。「複数のカゴに卵を入れれば、リスクが分散され、割れる可能性が低くなりますよね。でも、それでどうやって本当の関係を築けるのでしょうか。独身者がたくさんいるような気がして、間違った安心感も抱いてしまいます。ただ、誰とも深い関係にはならない。実際はひとりぼっちなんです」

もちろん、この少々残酷な見通しは誰にでも当てはまるわけではない。自分のデート相手も「当番表」を持っていたら……。そう考えたら、あなたはどう感じるだろう? 嫉妬、怒り、不安などの感情が浮かぶなら、あなたにロスターデートは向いていないかもしれない。もしそうでないなら、出会いの機会を増やしてみて。ついでに、エクセルのスキルも身につけよう。

※プライバシー保護のため、登場人物の名前は変更しています。

Text: Olivia Petter Translation: Rikako Takahashi Adaptation: Sonia Kanazawa

From VOGUE.COM

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