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「今期ドラマのトップ3には間違いなく入る」キャスティングから“名作の予感”と名高いドラマが好評【NHK】

  • 2025.1.28

国際捜査係の“緑髪”警察官・鴻田麻里(奈緒)と、中国語の通訳人・有木野了(松田龍平)がバディを組む『東京サラダボウル』。東京都の外国人居住者(4.8%)が置かれている現状と、彼らが巻き込まれる事件に、そっと、ときに鋭く光を向ける物語だ。奈緒と松田龍平のW主演とあって、キャスティングの時点から「名作の予感」と名高かったドラマである。とくに奈緒の演技について信頼を寄せる声が多く「深くておもしろい」「スタイリングも最高」「今期ドラマのトップ3には間違いなく入るでしょう」と好評だ。

東京在住の外国人の割合は……

『東京サラダボウル』1月21日放送(C)NHK

本編で言及されているように、東京の外国人居住者の割合は4.8%(68万人)。パーセンテージと人数に、随分と印象の差がある。東京で暮らしていると、まるで外国にやってきたかのような感覚を覚えるほど、周囲に外国語が飛び交っている瞬間もある。

ドラマ『東京サラダボウル』は、人種も国籍も違う他者同士が集い、一つの形を成している様をサラダボウルになぞらえた作品だ。出自も育ち方も違う野菜や穀物、果物は、一見雑多に見える。しかし、食べてみるとおいしい。「人種の坩堝というよりはサラダボウル」と評する、鴻田の見方が光る。

本作の脚本を務める金沢知樹は、元芸人から放送作家、脚本家や演出家になった経歴を持つ。かつて恋愛バラエティ『あいのり』シリーズに出演し、「金ちゃん」という愛称で親しまれていた彼は、今や映画『サバカン SABAKAN』(2022)やNetflix配信ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』(2023)に携わる。

表舞台に立つのは向いていない、と自覚した金沢は、尊敬する先輩方の声もあり、制作側へと転身した。奇しくも、鴻田を演じる奈緒の出身地である福岡に在住している彼は、過去のインタビューにて「エンタメ界隈において、東京に舐められていると感じている」と明言している。

東京ではなく九州でエンタメを育てたい、と目標を掲げる金沢が携わった『東京サラダボウル』には、東京という地を俯瞰している金沢自身の思いや視点も滲んでいるのではないだろうか。

信頼しかない奈緒の演技に賞賛集まる

『東京サラダボウル』1月21日放送(C)NHK

兼ねてより、携わる作品や演じる役柄に対する真摯な姿勢に信頼が集まっている役者・奈緒。とりわけ2024年に公開された映画『先生の白い嘘』舞台挨拶では、IC(インティマシー・コーディネーター)が不在であった背景について、主演自ら謝罪する場面もあった。

そんな彼女が演じる鴻田麻里は、警察官であるにもかかわらず髪を緑に染めていて、たびたび遅刻をしたり、イレギュラーな捜査に勝手に出かけたりと、破天荒な面がある。しかし、他者から見れば節操がなくとも、鴻田にとってはすべて意味があることなのだ

髪を緑に染めているのは、日本語がわからず、日本の文化にも馴染めていない外国人が、鴻田を認識しやすくするため。取調べの場で、相手の出身地にまつわる名物について話をするのは、警戒心や緊張を解く意味もあるだろうが、万国共通である食べ物を話題に出すことで「人種や国籍の違いは、対立の理由にはならない」と示したいからだろう。

奈緒いわく、鴻田の人物像は「ストレートで、自分の思うことを外に向けて伝えていく人」。奈緒が体現する鴻田の生き生きとした様子には、SNS上でも「深くておもしろい」「スタイリングも最高」「演じてるように見えない」「演技力高い」と好意的な声が集まる。

『東京サラダボウル』1月21日放送(C)NHK

作中において、その猪突猛進さゆえにトラブルを引き起こす鴻田だが、バディの立ち位置にいる有木野と本音で向き合いながら事件に傾注していく。彼女のまっすぐな言動は、人が健やかに生きていくうえで、人種や国籍が悪い影響を及ぼすことはあってはならないと、強く示してくれている。



ドラマ10『東京サラダボウル』 毎週火曜よる10時放送
NHKプラスで見逃し配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_