1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【日本橋】【ジャム・セッション 毛利悠子】@アーティゾン美術館2025年2月9日(日)まで

【日本橋】【ジャム・セッション 毛利悠子】@アーティゾン美術館2025年2月9日(日)まで

  • 2024.12.26

現代日本を代表するアーティストの国内初となる大規模展

日本橋のアーティゾン美術館では2025年2月9日(日)まで「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて」展が開催されています。現代アーティストとコレクション作品の共演を届けてきた「ジャム・セッション」展は2020年の開館以来毎年開催されています。第5回目となる本展は、国際的なアートシーンで注目を集めるアーティスト、毛利悠子氏の作品が展示されています。

出典:リビング東京Web

会場入口

毛利悠子

1980年神奈川県生まれ。2006年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了。主な個展に第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館(2024年)、カムデン・アーツ・センター(2018年)、十和田市現代美術館(2018年)など。そのほか第14回光州ビエンナーレ(2023年)、第23回シドニー・ビエンナーレ(2022年)、第34回サンパウロ・ビエンナーレ(2021年)などに参加。現在は東京を拠点に活動しています。毛利氏は、主にインスタレーションや彫刻を通じて、磁力や電流、空気や埃、水や温度といった、ある特定の空間が潜在的に有する流れや変化する事象に形を与え、立ち会った人々の新たな知覚の回路を開く試みを行っています。

出典:リビング東京Web

毛利悠子《Piano Solo: Belle-Île》のためのスケッチ、2024年

「ピュシス」とは

ギリシア語で「自然」、あるいは「本性」と訳される古代ギリシア語です。今日の哲学にまで至る「万物の始原=原理とはなにか」という問いを生み出した初期ギリシア哲学では、「ピュシス」が中心的考察対象となっていました。生成、変化、消滅といった運動に本性を見いだす哲学者たちの思索が伝えられています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

会場入口の展示ケースのフルーツに刺さった電極から採った微電流が増幅され音に変換される作品《Decomposition》。(フルーツの水分量の変化を音と光に変換)会場入口でフルーツに繋がれたコードは会場内のライトに繋がっています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

会場内に入ると前方には毛利氏が実際に訪れたフランス、ブルターニュ地方にあるベリール島の海岸の映像が映し出されています。会場内は波の音に加えピアノの音も聞こえてきます。

出典:リビング東京Web

展示会場風景 毛利悠子《Piano Solo: Belle-Île》2024年

毛利氏が本作の源泉としたモネの1886年の《雨のベリール》は、雨の日にフランスの北西のブルターニュのベリール島でスケッチした後に油彩で描いた作品です。

出典:リビング東京Web

クロード・モネ《雨のベリール》1886年 、石橋財団アーティゾン美術館

《めくる装置、3つのヴェール》 2018年—の作品とのセッションは、マルセル・デュシャン(1887–1968)の 《マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの箱)シリーズB》(1952、1946(鉛筆素描))です。マルセル・デュシャンは、「現代アート」を生み出したと言われる最も重要なアーティストの一人です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

切迫する環境問題への「アート思考」

「エラー/不制御」や即興的な展開、磁力や電流、空気や埃、水や温度といった微細な環境の要素を作品に取り入れる毛利氏の姿勢は、大きすぎあるいは小さすぎて見えない流れ/変化に対する私たちの感度を高め、環境問題とその課題への向き合い方のささやかなヒントになるかと思われます。

毛利氏の国内初大規模展覧会である本展では、新・旧作品とともに、作家の視点から選ばれた石橋財団コレクションと並べることで芸術作品を多角的に愉しむ事ができる展覧会かと思います。

4Fのインフォルームでは第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館(2024年)に出展時の制作風景の映像も見ることができます。

元記事で読む
の記事をもっとみる