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年末年始にイッキ見すべき、コン・ユ主演の恋愛ミステリードラマ「トランク」。寂しげな“イケオジ”の色気にハマる、奇妙な結婚ストーリー

  • 2024.12.25

人は孤独が嫌なのではなく、孤独だとバレるのが嫌な生き物なのか?

「トランク」はNetflixにて配信中。 Photo_ Courtsey of Netflix
「トランク」はNetflixにて配信中。 Photo: Courtsey of Netflix

ある夫婦がお互いに違う相手と1年間の契約結婚をし、1年後に再び元さやに戻る――。そんな不思議な行動をとるカップルに隠された秘密は? 別の相手と1年間生活を共にした人の感情はどう揺れ動くのか? 結婚をテーマにしたドラマは数多くあるが、ミステリー仕立てで進行していくコン・ユ主演のNetflix配信ドラマ「トランク」は、孤独を恐れる現代人の心を変化球で突いてくる一風変わった物語だ。過去と現在、そして警察による取り調べのシーンが頻繁にクロスオーバーするので集中力が必要だが、そこは気長に。今作の見どころを3つのポイントから紹介しよう。

1.「結婚とは何でしょう?」のリアル

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

物語は湖岸に打ち上げられた高級ブランドのトランクから幕を開ける。そのトランクのシリアル番号を辿ることで、表社会から隠れて運営されている期間限定結婚のマッチングサービスをビジネスにするNM (New Marriage)社の存在が明らかになる。会員はNMの社員と期間限定で結婚をし、契約終了時に離婚が成立するという仕組みで、死期が近い人、同性愛を隠すために結婚の事実を必要とする人など、さまざまな事情を抱えた人が会員になっている。このビジネスが本作を動かす大きな鍵を握っているのだが、これが想像以上に現代の結婚制度に対する疑問符を投げかけてくる。人は孤独だとバレたくないから結婚をするのか? 社会に認められることが大事で結婚をするのか? 結婚は孤独を埋めるための慰めでしかないのか?

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

恋愛とは異なり、紙一枚でともすれば何十年も相手と生活を共にすることになるのが結婚という制度。「書類で結ばれた関係なんて、お互いに信用できないと宣言しているようなもの。永遠でないと知っているから、お互いに縛り付けているだけ」。劇中、予想以上に考えさせられるドキッとする台詞がいくつも放たれる。本作の謎解き部分よりも、「結婚とは何か?」というミステリーの方にリアリティと恐怖心を抱いてしまいそうだ。

2. 定期的に求めてしまう、主演コン・ユの寂しげな中年の色気

Photo_ Courtesy of Netflix
Photo: Courtesy of Netflix

コン・ユといえばドラマ「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」や「イカゲーム」、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『82年生まれ、キム・ジヨン』など、数々の作品が浮かぶが、「トランク」で彼が演じるのは、過去の体験によって大きなトラウマを抱えて生きる音楽プロデューサーのハン・ジョンウォン。

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix
Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

悪夢にうなされ、薬がないと眠ることもできない情緒不安定な主人公を、今年45歳になったコン・ユがしっぽりと演じる。自分が孤独なのかにさえ気づかず、静かに愛を求める主人公の寂しがり屋の犬のような表情には胸を締めつけられることだろう。どこか疲れたような、中年の悲哀をまとったコン・ユの姿を堪能したい。

3. ストーカーにサイコパス……。登場人物のクセが強すぎる件

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

登場人物の全員が心に何がしかの闇を抱えているのも、本作のすごいところ。コン・ユ演じる音楽プロデューサーのハン・ジョンウォンを筆頭に、彼の元妻で、自ら夫と別れて1年間別の相手と契約結婚を仕組むチョン・ヨンハ演じるイ・ソヨンは、回が進むにつれて狂気を増していく。結婚直前で起きた悲劇により感情を捨て、極秘で運営されている結婚相談所NMの社員として契約結婚を繰り返すノ・インジ役を演じるソ・ヒョンジン(「また!?オ・ヘヨン 〜僕が愛した未来〜」)もまた、ただの被害者ではない刃を秘めている。キム・ドンウォン演じるストーカーのオム・テソンに至っては説明の必要なし。一見静かに進行していく物語だが、全員クセだらけ。そんなキャラクターたちの感情の揺さぶりあいや、マウントの取りあい合戦にも注目だ。

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

番外編:モダンで美しい邸宅が象徴するものは?

Photo_ Kim Seung-wan/Netflix
Photo: Kim Seung-wan/Netflix

タイトルは「トランク」だが、「トランク」以上に存在感を放っているのが、ジョンウォンの邸宅とその中心に輝くシャンデリアだ。建築雑誌から抜け出したようなモダンで洗練されたセットは、観ている者たちの視覚と好奇心を多いに刺激するだろう。ところが、ジョンウォンという人物の過去やドラマが解かれていくことで、素敵に映っていた家も彼の複雑な内面と感情を反映した無機質で冷酷なものに見えてくるという魔法のような効果も。ジリジリと人の心を食い潰していく家にも、意外なラストが待ち受ける。

Text: Rieko Shibazaki Editor: Mayumi Numao

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