今回、教えてくれたのは…
芝大門いまづクリニック院長 今津嘉宏先生
病状だけではなく、患者をとりまく環境や性格にも配慮した医療を実践。漢方医療にも詳しい。『病気知らずの名医が食べている長生き朝ごはん』(ワニブックス)など、著書多数。
風邪が長引いてしまうのは初期対応の間違いかも!
風邪をひくとなかなか回復しなかったり、ほかの症状が治まっても咳だけが続くことも。
- 「風邪をひくと、ひとつのウイルスだけに感染すると思われがちですが、そうとも限りません。風邪で免疫力が落ちている状態で、別の風邪ウイルスや細菌に二次感染して長引くのはよくあることです」
そうならないためには、初期のうちにしっかり風邪を治すこと。よく睡眠をとって免疫力を高めたり、炎症を抑える薬で回復を手助けすることが大切です。
また、風邪のときに病院で出される抗生剤は、ウイルス性の風邪には効かない場合が多いので注意。
- 「風邪が長引いて細菌に感染した場合に抗生剤は有効。しかし、風邪の初期から飲んでしまうと、腸内細菌を殺して免疫力を低下させる可能性があります」
風邪症状の原因は ウイルス? 細菌?
ウィルス… 90%
→抗生剤が効かない
(インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなど200種類以上)
その他 … 10%(主に細菌)
→抗生剤が効く
(一般細菌、マイコプラズマなど)
風邪かな?と思ったときにやるといい4つのこと
正しく初期対応することが、長引かずすっきりと治すコツ。免疫力を上げるためにはよく眠り、体を温めましょう。
手洗い・うがいは継続する
家で寝こんでいるなら、手洗いうがいはいいか……と思うのは、間違い。「風邪で免疫力が落ちると、ほかのウイルスに二次感染しやすくなり、だらだらと風邪が長引きます。手洗いうがいは継続を」。
うがい薬ではなく、殺菌効果のある緑茶うがいがおすすめです。
入浴する
「風邪をひいたらお風呂に入ってはいけない」というのは、家が寒かった時代の話。風邪のひきはじめで、体力に問題ない人なら、むしろお風呂で体温を上げるほうがいいでしょう。
ただし、熱が38.5℃以上ある場合は、体力を消耗するので、入浴は控えましょう。
ホットスポーツドリンク
風邪のときは、水分補給のためにスポーツドリンクを飲む、という人は少なくないはず。
「私のおすすめはスポーツドリンクを温めて飲むこと。そうすると胃腸が温まって消化吸収もよくなりますし、体温が上がってウイルスと闘う力も高まるからです」。
良質な睡眠をとる
風邪のときに体力を回復するためには、寝るのがいちばん。でも、風邪で咳や鼻水がひどいときは、なかなか眠りにくいもの。
「咳がひどいときは、仰向けよりも、横向きになって寝ると、気道が広がって寝やすくなります。鼻水がひどいときは枕を高くするのが◎」
自分の風邪パターンを知ろう!
- 鼻風邪、のど風邪という言い方をしますが、実は同じウイルスでも、どこから侵入するかによって症状の出方が違います。
今津嘉宏先生
鼻の穴からウイルスが入れば、鼻腔を通って、鼻の奥で増殖して、透明な鼻水が出ます。
口から入ってのどで増殖した場合は、のどの痛みが出たり、乾いた咳が出たりします。
自分の風邪パターンを知っていれば、風邪の予兆に早く気づけるし、症状に合わせた漢方薬を飲むなどの対処ができます。
illustration:fukucoco text:Tanaka Ema
リンネル2025年2月号
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