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あの日、あの時に限って。弟が事故死した夜、声を掛けることを躊躇した姉の後悔

  • 2024.12.24
声をかけていいのか躊躇した (C)きむらかずよ/KADOKAWA
声をかけていいのか躊躇した (C)きむらかずよ/KADOKAWA

家族や恋人、友達。大切な人と永遠の別れはある日突然やってくるかもしれません。高校生の時、当時16歳の弟を事故で亡くしたきむらかずよさんも、すぐには現実を受け止めることが出来なかったといいます。

職人気質の父、肝が据わった母、思春期真っ只中だった姉・かずよさん、そしてヤンチャだけれど誰からも好かれた弟。平凡な家族の日常は、弟の事故死という悲劇によって一瞬で崩れ去ってしまいました…。

肉親を失った家族が再び歩き出せるようになるまでを赤裸々に綴り、大反響を呼んだ『16歳で帰らなくなった弟』。本編では語られることのなかったエピソードをお送りします。

どうして「あの時に限って」 (C)きむらかずよ/KADOKAWA
どうして「あの時に限って」 (C)きむらかずよ/KADOKAWA
珍しいほど楽しげな声が聞こえた (C)きむらかずよ/KADOKAWA
珍しいほど楽しげな声が聞こえた (C)きむらかずよ/KADOKAWA
今ならまだ間に合う (C)きむらかずよ/KADOKAWA
今ならまだ間に合う (C)きむらかずよ/KADOKAWA
遠ざかるエンジン音 (C)きむらかずよ/KADOKAWA
遠ざかるエンジン音 (C)きむらかずよ/KADOKAWA

『16歳で帰らなくなった弟』の著者のきむらかずよさんに、弟さんについて、そして当時の心境についてお話をうかがいました。

——16歳で旅立った弟さんは誰からも好かれる性格だったようですね。姉から見てどのような弟さんでしたか?

きむらさん「目立ちたがり屋でやんちゃ、そして誰とでもすぐ友達になる子でした。友達のことを悪く言われるのを何より嫌い、私が弟の友達を悪く言うと、すごく怒りました。繊細な部分もあって正直な性格だったので、年齢問わずたくさんの人に可愛がってもらっていましたね」

——弟さんの死はもちろんですが、同乗していた身元不明の女の子を描くのも相当辛かったことと思います。描くと決めた時はどのような心境だったのか、教えていただけますか。

「弟のことを描くのは、本人との約束でもあったので迷いはありませんでした。でも女の子については相当悩みました。

彼女は嫌ではないだろうか、自分だったらどう思うだろうと、何度も自問自答しました。描かないでおく方が楽でしたが、悩みに悩んだ末に描くことを決めました。

『忘れられること』『なかったことにされること』が亡くなった人にとって一番悲しいことではないか…と思ったからです。

単なる被害者ではない、弟が女の子を乗せてしまった、という十字架を背負い、大切に大切に描きました」

——改めて、弟さんはきむらさんにとってどんな存在でしたか?

「負けず嫌いなところは似ていたかもしれませんが、性格は私が陰なら弟が陽。すべてにおいて真逆でした。自分にないものを全部持っているような弟を、心のどこかでいつも羨ましく思っていました」

きむらさんの辛い経験から考えさせられるのは、今ある日常は実は「当たり前」ではない、ということ。平穏無事に暮らせる日々のありがたさに、改めて気付かされます。

著=きむらかずよ/『16歳で帰らなくなった弟 外伝』

【著者プロフィール】

きむらかずよ

イラストレーター。小学1年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は3人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」にてデビュー。

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