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スタンスやフェースの向きは……西村優菜と吉田優利、バンカーショットに定評がある2人の共通点とは

  • 2024.12.24
西村優菜(C)Getty images
SPREAD : 西村優菜(C)Getty images

22年の米ツアー最終予選会を突破し、23年から米ツアーを主戦場としている西村優菜は、今季もシード権を獲得し、25年も米ツアーを主戦場にする。
西村と同学年で、ともにアマチュア時代はナショナルチームで切磋琢磨した吉田優利は、今月初旬にアメリカで開催された米ツアー最終予選会を無事突破し、2年連続同じルートで米ツアーを主戦場にする権利を獲得した。
西村と吉田には共通点がある。パーオンしなかった時にしぶとくパーを拾ってスコアを作っていくタイプである、という点だ。
22年は日本ツアーのリカバリー率の部門で、吉田が70.6790%で1位、西村が70.6306%で2位だった。
芝からのアプローチショットだけでなく、バンカーショットにも定評がある西村と吉田。
西村は今季米ツアーで、サンドセーブ率が62.24%で1位、吉田は22年シーズン、日本ツアーでサンドセーブ率が59.6330%で1位だった。
バンカーショットが得意でないゴルファーは、西村と吉田のバンカーショットを参考にすると良いかもしれない。2人にはスタンスの取り方など、共通するポイントがある。

■サンドセーブ率

まずは2人のサンドセーブ率から見てみたい。
西村は今季、米ツアー26試合に出場。グリーンサイドバンカーに98回入れ、61回そこから2打以内でホールアウトした。
日本ツアーには3試合出場し、グリーンサイドバンカーに入れたのは13回。内8回2打以内でホールアウトした。確率にすると61.5385%。これは、規定ラウンド数不足のためランキング対象外だが、1位相当の数字。日米でトップレベルのバンカーショットの精度を披露した。
米ツアーに16試合に出場した吉田は、グリーンサイドバンカーに62回入れ、31回そこから2打以内でホールアウトした。確率50%は22位タイだ。
日本ツアーには5試合出場し、グリーンサイドバンカーに入れたのは11回。その内5回2打以内でホールアウトした。45.4545%は32位相当の数字となった。
日本ツアー時代は、吉田の方が西村よりもバンカーショットの精度が高かった。1年間米ツアーで戦った経験を生かせれば、サンドセーブ率をもっと上げていけるはずだ。
今季1位の西村も、昨季は33位だった。来季は吉田のサンドセーブ率トップ争いもあり得る。

■バンカーショットの仕方

西村と吉田のバンカーショットを見てみるとスタンスが広くハンドダウンでアドレスしている。
グリーンサイドバンカーはアゴが高い場合が多い。その場合、球の高さを出すためにフェースを開く必要がある。フェースを開くことでクラブヘッドのバウンス(底面の丸み)を活かしやすくなる、という効果もある。
グリップエンドの位置を変えずにフェースを開くと、ヒールが浮く(トゥが下がる)。そこで、バウンスを使うためにはグリップエンド、つまり手元を下げてヒールを下げる必要が出てくる。
だからハンドダウンのアドレスになるのだ。
そして、前傾角度を深めてハンドダウンにするのではなく、重心を下げたハンドダウンにすることで、スイングバランスの維持や、ゆるやかなダウンブローのヘッド軌道を実現させている。
一般ゴルファーは、グリーンサイドバンカーショットでもスタンスの向きやアドレスのフェース向きの基本はスクエアとしたい。開いた状態を基準にする場合、開き過ぎに注意が必要だ。
バンカーショットは、オープンスタンスでフェースを開いてアウトサイドインのヘッド軌道でスイングする、と言われたりするが、これは基本ではなく応用ととらえた方が良い。

■基本と応用を分けて考える

西村が22年7月のニッポンハムレディスクラシックで優勝した時、2位と1打差で迎えた最終日18番ホールでは、ピンが近くて落としどころが狭い、難しいバンカーショットを強いられた。
フワッとやわらかい球を打つ必要があるのだが、オープンスタンスでフェースを開いて強振。結果、ピンにぴたりと寄せた。
オープンスタンスにすることでダウンブローになりやすくなる。ダウンブロー、かつ、フェースオープンで、フワッとした勢いがない球筋のショットになりやすくなる。
これは応用である。
ボールではなく砂を打つという違いはあるが、バンカーショットの打ち方の基本は、“普通に打つ”。スタンスの広さや重心の高さが、芝から打つ時と異なるとしても、打ち方は同じ、としたい。
バンカーショットが苦手なゴルファーは、バンカーショットだけに何か課題があるのではなく、普通に打った時のスイングに課題があると考えたい。
アゴの高さがそれほどでもなく、ボールのライが左足下がりでなければ、普通に打ってもバンカーから脱出できるはず。
例えば、ピンまで15ヤードのグリーンサイドバンカーショットは芝からの40ヤード程のショットを打つ時のスイングの大きさなので、40ヤードショットの質が上がれば、バンカーショットの苦手意識が払拭できてくるだろう。
ちなみに、ロフト角が大きめのウェッジでフェースを開いても、あまり右には向かない。
ロフト角が0度のクラブを右に回せば、フェースの向きも右になるが、ロフト角が90度のクラブを右に回しても、フェースの向きは右にならない。
この点から見ても、一般的に基本と言われがちな「フェースを開く分オープンスタンスにしてアウトサイドイン軌道にスイングする」という考えの扱いには注意が必要と言える。
バンカーショットの苦手意識を払拭できれば、「バンカーに入っても良い」と、リラックスしてグリーンを狙うショットを打てる。結果的に、バンカーに入る確率が下がる期待が持てる。
バンカー練習場があるコースでプレーする際は、普段練習する機会が少ないバンカー練習をマストとしたい。

■シード権獲得へ

ナショナルチームのヘッドコーチであるガレス・ジョーンズ氏は西村のことを「頭が良いアスリート」と評している。
飛距離が出る方ではない西村は「米ツアーで戦い続けるためにはグリーン周りの精度が生命線」と強く感じ、バンカーのスキルを向上させているのだろう。
吉田は今季、米ツアーのポイントランキング100位内で来季出場資格を獲得できていた。結果は102位。来季、ルーキーイヤーの経験を生かし、要所でバンカーショットの高い精度を発揮すれば、26年のシード権を獲得できるだろう。
来季、西村と吉田のバンカーショットを含めた、グリーンまわりからの粘りに注目だ。

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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