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医学部生だけど医師になるのが怖い。素質も学力も体力も自信もない

  • 2024.12.24

医師を目指す動機に「人の命を救いたいから」という理由をあげる受験生や医学生は多い。何よりも重い命を守るのならば、彼らはすべての困難から逃げずに戦う強さを持っているのだろうか。実際に命の現場にいる医師は何も怖くないのだろうか。

私は現在医学生である。そうはいっても、まだ低学年で基礎医学しか学んでおらず限りなく素人に近いのだが。

医学科に入学して医師の仕事の素晴らしさに改めて気づかされた一方で、様々な情報にさらされて「人口減少やAIの台頭によって医師過剰になる」といった医師の必要性に対する疑問を投げかけられたり、志望動機を否定するようなネガティブキャンペーンに直面したりすることもある。

それだけでなく、自分のような人間が本当に医師になっていいのか日々不安になることがある。

◎ ◎

まずは要領の悪さ。

医学科の試験は真面目な完璧主義者ほど落ちるといわれている。私は短期記憶が苦手であるにもかかわらず過去問の丸暗記で受かるといわれている試験ですら一つ一つ理解しないと気が済まない。

結果、限られた時間を優先度の低い学習で使い切ってしまう。

要領の悪さは勉強面以外にも表れている。部活動の定期発表会の運営を任されたとき、まとめ役で仕事量が多いにもかかわらず、進捗が遅い係を手伝おうとしてキャパオーバーになり、本来やるべき仕事に十分手が回らず周りに迷惑をかけた。

問題点は人の仕事を奪ったこと(善意ではなく、手伝わないと全体が回らなくなるという焦りからである)、周りの人に早く助けを求めなかったこと、優先順位を判断できないタスク管理力の低さである。

さらに突き詰めれば、私はこれらの問題に関して「対処しなかった」のではなく「対処できなかった」のだ。誰に、何を、どうやって頼っていいのかわからなかった。

そして、それらがわからないことを誰にも相談できなかった。

「優しいだけじゃ人を救えない」「無能な働き者ほど有害なものはない」。某漫画に出てくるセリフだが、残酷なほどに現在の私を映している。

医師になって困難な状況にいる人を助けたい、という気持ちと、真面目さでは誰も救えない、それどころか、誰かの命を脅かすことにすらなりうる、こんなに不器用な人間に医師が務まるものか、という気持ち。

◎ ◎

もう一つの問題点は、期待から逃げようとする心の弱さである。周囲の人は私のことを責任感の強いしっかり者だととらえているようだ。

しかし、リーダーシップをとることが多いのは誰も先陣切って動かないため私が動かざるを得なかったためであり、それを利用されて暗黙の了解に押し負けた賜物である。

私はどっしり構えて誰かを支えられる器ではないのに、周囲はそうとは知らず私に期待してくる。

そのたびに「あまり期待しないでください」「失敗したらごめんなさい」など責任逃れのようなことを言ってしまう。責任を逃れたくて言っているのではなく、「私なんかじゃなくてもっと適任な人を頼ってください」の意である。

頼れる学級委員的な長女キャラとは裏腹に、本当は私だって誰かにどっぷり甘えたい。その潜在意識が逃げにつながるのかもしれない。

けれども、こういう甘い考え方の人間に命を預けたいと思ってもらえるだろうか。

◎ ◎

医学科に入学しておきながらこのようなことをいうのは贅沢かもしれない。けれどもこれは、入学して知ったことである。

医師になりたい、でも素質も学力も体力も自信もない。医師になるのが怖い。このとりとめもない恐怖はうっすらと、けれども確実に私にまとわりついている。

■低課金ネキのプロフィール
甘いものが大好き。Twitterはやるけどインスタはやらない。言葉で何かを表現するのが好きで、細々と投稿するのが密かな趣味。

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