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板垣李光人と加藤諒の“新米赤血球&先輩赤血球コンビ”が、過酷な撮影裏を告白「一瞬意識がもうろうとした」 芸能界でお世話になった先輩への感謝も<はたらく細胞>

  • 2024.12.24
映画『はたらく細胞』に出演する板垣李光人と加藤諒にインタビューを実施した (C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会
映画『はたらく細胞』に出演する板垣李光人と加藤諒にインタビューを実施した (C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会

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シリーズ累計1000万部を突破する同名漫画を実写映画化した「はたらく細胞」。個性的なキャラクターたちを誰が演じるのか注目を集めていたが、原作の「はたらく細胞 BLACK」に登場した新米赤血球と先輩赤血球役に選ばれたのは、大河ドラマ「どうする家康」で注目を集めた板垣李光人と、映画「翔んで埼玉」などで強烈な個性を放つ加藤諒。そんな二人が超過酷だったという撮影の舞台裏や、プライベートにおける“先輩と後輩”の関係性についても語ってくれた。

板垣「細胞とは意識せずに演じた」

――この作品に出演が決まったときの感想を教えてください。

板垣:もともとTVアニメ版を観ていたので、「自分があの世界に入れるんだ!」という驚きと喜びでいっぱいでした。ただ、実写化するにはハードルの高い作品だとも思っていたので、きっと難しさもあるだろうなと思いました。

加藤:僕は、アニメ版で赤血球の声を演じた花澤香菜ちゃんとは「あっぱれさんま大先生」という子役時代に出ていた番組からの付き合いで、舞台版で赤血球を演じていた七木奏音ちゃんとも知り合いだったので、この作品に関するものは結構観てきたほうだと思います。だからこそ、これをどう実写化するのかなと思ったし、僕が演じさせていただいた先輩赤血球は自分としても原作のイメージと違うんじゃないかなと思ったので、本当に僕でいいのかなと思いました。

――赤血球という特殊なキャラクターでしたが、演じるうえで意識していたことはありますか?

板垣:僕が演じた新米赤血球は、根のところではちゃんとしているけれど、素直だからこそ、周りの環境の影響を受けてしまうんですよね。だから、自分ががんばって働くことの意味を見出せないようになったり、心身ともに疲弊してしまったりするのですが、それは人間でも普通にあることだと思うので、細胞ということはとくに意識せずに演じてました。

加藤:僕は「翔んで埼玉」で演じた下川信男に近い気持ちになりました(笑)。ブラックな環境で虐げられているのに、それに抗うことなく受け入れるしかないと思っている感じが似ているので。だから、先輩赤血球を演じるときにも、「ここで生きていくしかないんだ」という気持ちは大事にしないといけないなと思っていました。あと、意識していたのは、新米赤血球のりーくん(板垣)への愛ですかね(笑)。

――映画を観ていても、先輩赤血球の新米赤血球への愛はひしひし伝わってきました!

加藤:僕は板垣くんのことを“りーくん”と呼ばせていただいているんですけど、撮影中のりーくんはずっとかわいい感じでいてくれて、僕としては自然に愛が芽生えました(笑)。

板垣:ありがとうございます(笑)。

加藤:最初はクールなイメージがあったんですけど、話してみると、全然そんなことはなくて。この間、りーくんの個展(板垣のアート作品を展示した自身初の個展)を見に行かせていただいたときも「加藤さん、ありがとうございます」みたいな感じで近寄って来てくれて、なんてかわいい子なんだと思いました(笑)。

板垣:わざわざ見に来てくださったんですよね。ありがとうございました。

加藤:ね! めちゃ、いい子なんですよ。本当にりーくんのことが大好きになっちゃったから、この間、バラエティ番組に参加したときに、僕が出る前の回の収録にりーくんがいると知って、楽屋のモニターでずっと応援していました(笑)。

笑えるシーンの裏側は「超過酷」

――お二人が演じる新米赤血球と先輩赤血球がいるのは、阿部サダヲさん演じる漆崎茂の体内です。不摂生な生活を送る茂の体内ではつねにとんでもないことが起きていますが、撮影はいかがでしたか?

加藤:大変だったよね。とくに茂さんが便意をもよおすシーンとか(笑)。

板垣:本当に大変でした(笑)。エキストラで参加してくださっている方の人数がとにかく多くて。それでいてせまい空間にぎゅっとつまった状態でいるから、酸素もちょっと薄かったんですよね。本当に一瞬意識がもうろうとするときもありました(笑)。

加藤:しかも、ずっとブルーバックで撮影しているから、ちょっと頭がおかしくなりそうでした(笑)。でも、あのシーンはほかの共演者さんも注目していたみたいで、キラーT細胞役の山本耕史さんから「“うんち”のシーンがどんな感じなのか観たいから、カメラで撮ってきて」と言われて、モニターを撮影して耕史さんに送っていました。

――そこは新米赤血球と先輩赤血球の別れのシーンでもあったと思いますが、その状態で感情移入することはできましたか?

板垣:あのシーンの加藤さん、屈強な男の人たちに担がれながら去っていきましたよね?(笑)。

加藤:なんか組体操みたいになっていて「僕、どうなっちゃうの?」と思いました(笑)。

板垣:だから、感情移入というよりも、あのシーンで浮かべている苦悶の表情は、僕らがリアルに感じていたものが映っていると思います(笑)。本当に大変な撮影だったから、映画が完成した今でもそのシーンを観ると、当時の記憶がまざまざと蘇ってくるんですよね。

加藤:それ以外でも茂さんがお酒を飲むシーンでは、水音でセリフが聞こえないくらいの大雨に打たれて全身びしょびしょになったり、本当に過酷な撮影でした(笑)。

板垣「大河ドラマが大きな学びに」

――今回、お二人が演じたのは先輩、後輩の間柄でしたが、実際のところでお二人が芸能界でお世話になった先輩、もしくはかわいがっている後輩はいますか?

板垣:お世話になっている先輩はたくさんいますが、大河ドラマ「どうする家康」で共演させていただいた松本潤さん、山田裕貴さんなど、とてもお世話になっています。それこそ裕貴さんは僕が初めて映画に出た10代前半のときからお世話になっていて。みなさんから刺激をいただいていますし、本当にお世話になっています。

――板垣さんにとって「どうする家康」での出会いは、とても大きなものになっているんですね。

板垣:本当にそうだと思います。あと「約束のネバーランド」という映画でご一緒させていただいた平川雄一朗監督は、僕に「芝居というものは何か」を教えていただいた恩師的な存在で、お世話になっている方の一人です。

加藤:平川監督が撮られた作品のメイキングを観たことがあって。すごく厳しい方なのかなと思ったけど、実際はどうなの?

板垣:もの作りに対して真っすぐな方なので、それが怖く見えるところがあるかもしれないですね。でも、そこには愛があって、僕を信頼してくださっていることが伝わってくるし、とても優しい方です。

演出家・河原雅彦は「愛がちゃんと見える方」

加藤:それで言うと、僕は舞台演出家の河原雅彦さんですね。僕は19歳くらいから舞台を7、8本やらせていただいていて、稽古ではすごく言われるんですけど、それは河原さんの愛なんですよね。というのも、表舞台に立つのは僕たち俳優なので、「この人たちに批判的な意見が向かないよう、お客さんに好かれる状態で舞台に上げたい」と思ってくださっているからこそのダメ出しで。そういう愛がちゃんと見える方なので、僕は大好きです。

――後輩では?

加藤:りーくん、さっき後輩くんをご飯に連れて行ったことがあるって言ってたよね?

板垣:そうなんですよ。それこそ最近のことなんですけど、後輩の子にごちそうすることに慣れていないせいか、なんだか自分で自分がむずかゆくなってしまいました(笑)。

加藤:いやいや。僕が同じくらいの年齢のときは、そんなことは一切していなかったから、後輩のことを思っているりーくんは偉いと思う。でも、りーくんの言っていることもわかる。僕も後輩の子にごちそうしたりすると、自分で「加藤諒のくせに」と思っちゃうもん(笑)。

――これは一般社会でも同じだと思いますが、今は先輩対応よりも、逆に後輩への接し方のほうが難しいですよね。

加藤:そうかもしれないですね。ただ、前に舞台で共演させていただいたリリー・フランキーさんが「(ごちそうしてくれた)俺に『ありがとう』と言ってくれるのはうれしいけど、次はお前たちが後輩に同じようにしてあげてほしいから、俺はいつもこうやっているんだ』と言ってくださって。その言葉は今でも自分の心にしっかり刻み込まれています。

映画の見どころは「阿部サダヲ&芦田愛菜の人間パート」

――最後に、人間の体内ではたらく細胞たちを描いた独創的でユニークな作品になりましたが、完成した作品を観ての感想を教えてください。

板垣:体内の細胞に関するところは、自分が出ていないシーンでも少し早く現場に入れば見ることができたので、なんとなく想像はできていましたが、阿部さんと芦田愛菜さんの人間パートは完成した作品で初めて観ました。僕たちは茂さんの体内でとんでもない目に遭いましたが(笑)、やっぱり阿部さんの茂さんは面白かったです。

加藤:なんか別の作品を観ている感じだったよね? 愛菜ちゃん演じる日胡の体内パートでは、みんなでサンバを踊ったり、ボールプールみたいなところに飛びこんだりしていて、すごく楽しそうだなと思いました。僕もサンバを踊りたかった(笑)。

板垣:でも、作品としては笑えるところもあれば、感動できるところもあって、とてもステキな映画になってると思います。ぜひ映画館で楽しんでください。

取材・文=馬場英美

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