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今「キノコエキス」が美容成分として大注目される理由を医師が解説

  • 2025.1.30

美容業界では、毎週のように新しいスキンケア成分がトレンド化して、健康で輝く肌を消費者に約束する。でも、その主張を裏付ける科学的根拠のある成分は非常に少なく、ほとんどの皮膚科医と商品開発者に言わせると、レチノールやナイアシンアミド、サリチル酸のような実績のある有効成分にはどっちみち及ばない。ところが最近、とある天然エキスを含むスキンケア商品が急増しており、専門家の話では、そのエキスによって肌の状態が本当に変わるという証拠まであるという。

ちなみに、このエキスとは“キノコ”のエキス。

化粧品化学者のジンジャー・キング氏によると、伝統中国医学で何世紀にもわたり重宝されてきたキノコは、肌の美白効果、引き締め作用、保護作用を併せ持つため、話題のブランドの美容液やクリームにも使われるようになってきた。キノコにはβ-グルカン(ベータグルカン)として知られる食物繊維が豊富で、キング氏いわく、そのエキスはヒアルロン酸や抗酸化物質などの成分に勝るとも劣らない。しかも、キノコはアダプトゲン(ストレスの影響を和らげるハーブや根など)の一種。

そろそろ興味が湧いてきた? ここからは、この分野の専門家がスキンケアの成分としてキノコエキスを推す理由を見ていこう。

キノコエキスで肌が改善する仕組み

この強力な天然エキスは表皮にとっての万能薬で、色素沈着や乾燥といった差し迫った問題を解決に導いてくれる。私たちが話を聞いた専門家の面々いわく、キノコエキスの効果の中で最も広く知られているのは以下の通り。

シミを薄くする:どの専門家も、キノコにはシミを目立たなくする作用があることを強調していた。スキンケアクリニックMDCS Dermatologyの認定皮膚科医、マリサ・ガーシック医学博士によると、強力な美白効果と肌の色ムラをなくすことで知られるコウジ酸も、実はキノコの発酵過程で作られる代謝産物。ある動物実験では、2種類の食用キノコに強力な脱色作用があり、メラニン合成を抑制することが分かった。

肌を潤す:美容整形外科Shafer Plastic Surgeryのモーズ(Mohs)外科医で認定美容皮膚科医のデンディ・エンゲルマン医学博士によると、キノコは肌の水分保持を助ける保湿剤としても知られている。ある研究では、3種類(マイタケ、霊芝、ヤマブシタケ)のキノコエキスをシャワージェルに配合すると、経表皮水分蒸散量(TEWL)を抑えられることが分かった。

老化のサインを目立たなくする:エンゲルマン医師によると、キノコにはコラーゲンとエラスチンの産生を促進する作用もある。あるレビュー論文によると、キノコエキスは保湿作用、保護作用、抗炎症作用、コラーゲンを安定させる作用を併せ持つため、総合的なエイジングケアに効果的。

肌を守る:キノコが持つ抗酸化作用は、老化を早めるフリーラジカルのダメージから大事な肌を守ってくれる。

炎症を抑える:エンゲルマン医師によると、アダプトゲンの一種であるキノコには抗炎症作用がある。つまり、キノコはストレスと戦い、肌のバランスを整えて、赤みを抑えてくれるということだ。同医師いわくキノコは、皮膚炎、乾癬、湿疹などの皮膚疾患にも効果があるそう。

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スキンケアに効果的なキノコの種類

キノコにもいろいろあって、一部のキノコは他のキノコより特定の肌トラブルに効果的。特に注目したい品種は次の7つ。

チャーガ

チャーガは白樺の木の幹に生息するキノコ。これまでの研究により、このキノコは生物活性化合物の組み合わせがユニークで、全身の健康に良いことが分かっている。スキンケア成分として期待できるのは、抗酸化作用と美白効果。「チャーガは、ハイドロキノン、コウジ酸、アルブチンなどの成分と同じく、シミの原因となる酵素をブロックします」と説明するのは、米マウントサイナイ医療センター皮膚科学助教授および美容・臨床皮膚科学研究ディレクターのジョシュア・ツァイヒナー医学博士。このキノコにはアサイやブルーベリー以上の抗酸化物質が含まれていることも注目に値する。「その抗酸化作用が紫外線や環境汚染物質のフリーラジカルによるダメージから肌を守ってくれる可能性もあります」

シロキクラゲ

これまでの研究結果によると、シロキクラゲ(別名スノーマッシュルーム)には保湿性多糖類が豊富。そのため、このキノコのエキスは美白成分でもあるけれど、保湿作用を目的に使ったほうがいい。エンゲルマン医師によると、シロキクラゲは重量の500倍もの水分を保持できるので、乾燥肌の人におすすめ。また、ツァイヒナー医師いわくシロキクラゲには脂肪酸も豊富。脂肪酸はエモリエント(皮膚を柔らかくする)効果を持ち、肌バリアの修復を助けてくれる。

トリュフ

フライドポテトやパスタなどに贅沢な香りを与えてくれるトリュフは、スキンケア成分としても非常にパワフル。トリュフは脂肪酸と抗酸化物質を豊富に含むキノコの一種で、「そのエキスは肌の鎮静化、保護、美白に役立つ可能性があります」とツァイヒナー博士。

霊芝

エイジングケアには霊芝がおすすめ。これまでの研究結果を見る限り、霊芝は肌の光老化を抑えるのに役立つそう。エンゲルマン医師によると、このキノコには敏感肌を落ち着かせる抗炎症作用もある。

ヤマブシタケ

ガーシック医師によると、ヤマブシタケもエイジングケアに必要な項目を全て満たす成分の1つ。「このキノコはコラーゲンの産生をサポートし、シワの改善や傷の治癒に役立ちます」

シイタケ

シイタケは非常に多才。エンゲルマン博士によると、シイタケにはコウジ酸が含まれているため、色素沈着を軽減し、肌を明るくする作用があるそう。また、シイタケは抗炎症作用と抗酸化作用も併せ持つため、細胞のターンオーバーを加速させ、コラーゲンとエラスチンの産生を促進し、紫外線から肌を守る上でも役立つことが分かっている。

冬虫夏草

冬虫夏草(とうちゅうかそう)は昆虫の幼虫に寄生して育つキノコ。エンゲルマン医師いわく、このキノコの抗酸化作用と抗炎症作用は、さまざまな環境要因から肌を守るのに役立つそう。冬虫夏草は酸化ストレスと戦い、コラーゲンの産生を促すことも過去の動物研究から分かっている。

毎日のスキンケアにキノコエキスを取り入れる方法

キング氏によると、キノコエキスは美容液、クリーム、ローションに含まれていることが多く、毎日のスキンケアに取り入れるのはかなり簡単。忍容性が比較的高いので、ビタミンCやレチノールといった他の有効成分と組み合わせても、炎症や赤みを引き起こすことがない。キノコに対するアレルギーや過敏症がない限り、あなたの肌はキノコエキス配合の商品を受け入れてくれるはず。

ただし、エンゲルマン医師いわく、妊娠中や授乳中の人はキノコエキス配合の商品を使う前に必ず医師に相談するべき。その理由としてはまず、肌バリアを通過して血中に入り込み、胎児や授乳中の赤ちゃんに影響を与えうる成分が多いこと、そして、全てのキノコの安全性が十分に証明されているわけではないことが挙げられる。何か新しいものを試すときは、エンゲルマン医師の忠告に従って「慎重に」試すようにしよう。

※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Audrey Noble Translation: Ai Igamoto

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