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冬の「燃え尽き」に御用心。原因と対策を専門家がナビゲート

  • 2024.12.23
A mental health concept. Of a lonely figure vanishing into clouds. Silhouetted against the sky.

段々と寒さが厳しくなる今、エネルギーが沸きにくくなり、毎日の仕事をこなすのが面倒になってくるかもしれない。しかし、私たちのなかには、体から自然と出ている救難信号を無視し、ひたすら突き進んでいる人も少なくはない。

英国民保健サービス(NHS)によれば「燃え尽きとは、長期にわたるストレス健康に悪影響を及ぼすこと」だというが、どうすれば予防できるのだろうか? 生活習慣病専門医で元GP(NHS所属の総合かかりつけ医)の医師、アイリーン・アレキサンダーに、対策とアドバイスを仰いだ。

なぜ冬に「燃え尽きる」人が多いのか?

冬に心身の消耗を感じるのには、さまざまな理由がある。たとえば、冬は日照時間が短くなる。「あまり日光を浴びず、外が暗いうちに出勤し、また暗くなってから帰宅する人が多いです」とアレキサンダーは言う。「(日光を浴びないと)“睡眠ホルモン” メラトニンや “幸せホルモン” セロトニンなど、体内の神経伝達物質が乱れます」

また、ホリデーシーズン特有のイベントや期待感も、燃え尽きを誘発すると、アレキサンダーは続ける。「社会的なプレッシャーは、本当に厄介です。度重なる外出、家族の集い……。なにかと圧力がかかったり、厄介ごとが起きたりしますよね。私の家族はルーツが違うので、その難しさもあります。プレゼントやパーティーに伴う経済的なストレスは、言うまでもなく心の負担になります」

ソーシャルメディアが油を注ぐ?

人々がソーシャルメディアで生活を記録するスピードはとても速く、誰だって取り残されたように感じてしまう。実際のところ、投稿は実生活を正確に反映していない。ハイライトをリールにしたものと同じようなものだ。「ソーシャルメディアの見すぎは、燃え尽きを引き起こす可能性があります。というのも、人間には理想主義的な性質があるからです。ソーシャルメディアは、私たちに不必要なプレッシャーを与えかねません」

それに、世の中には間違った情報もたくさん出回っていることを忘れてはいけないと、アレキサンダーは注意を促す。「ソーシャルメディアのアカウントを持っている人なら誰でも意見を持つことができ、専門家によって検証されているかどうか関係なく、発信できます。そう心に留めておくことは、医学的観点からも重要です」

「ほかのオンラインユーザーの発言をう呑みにする前に、自問しましょう。その人は誰で、どのように、なぜそう助言する資格があるのか。科学的根拠や医学的な裏付けはあるのか。信頼できる情報なのか」

冬の燃え尽きを軽減するには?

最初のステップは、「恥」の感情をできるだけ減らすこと。自分に優しくし、自分の限界に正直になるよう心がけることだと、アレキサンダーは話す。「他人と分かち合い、話すことも、負担を軽減するためにとても重要です。 必ずしもカウンセラーやセラピスト、医師といった専門家である必要はありません。 友人や同僚でもいいのです。状況がはるかに深刻で、季節性感情障害(SAD)うつ病の兆候がある場合は、医療や治療介入を求めてください」

また、9時から5時までの会社勤めでは難しいかもしれないが、限られた時間でも、日中外に出るのは重要だ。「自然の日光を目の奥まで浴びることは、運動と同様、非常に有効です。ジムやヨガなどのレッスンに通うことも、外部のサポート環境に触れる良い機会になります」

境界線を確立することも、燃え尽き症候群に背を向ける大きな一歩となる。「私はいつもこう例えています。『4口コンロの場合、フライパンは何枚まで使えるか?』。答えはもちろん、4つか4つ以下ですよね。私たちの多くは、自分に期待しすぎています。なんとかなると思って、『イエス』と言い過ぎる。その結果、“責任の負債” が生じます。無理な約束をした過去の自分に、未来の自分が腹を立てることになるのです」

そして、十分な睡眠を取ることも意識したい。「しっかり眠れば、気持ちが晴れ、より良い選択ができます。連鎖的に、食事もきちんと摂り、より運動するようになるかもしれません」

燃え尽きそうなとき、どうすれば生産性を維持できる?

あまりに多くの人々が、休息よりも生産性を重視しているとアレキサンダーは指摘する。「私は過去に燃え尽き症候群を経験しています。それが今の仕事をしている理由のひとつです。 残念ながら、ストレスに揉まれて、人々は休息とマインドフルネスを優先するのを忘れてしまいます」

そのため、一日の終わりにセルフケアの時間を設けることは、より高い生産性に繋がると彼女は言う。「私が好きなもうひとつの例えは『車はガソリンがなくなったら、止まってしまう』。人間の体も同じ、特に冬場はそうです」。だからこそ、燃え尽き症候群が深刻化する前に予防し、取り組むことが重要だ。

「NHSで働いていたとき、燃え尽き症候群が悪化している人をよく見かけました。事態を未然に防げるよう、このメッセージを伝えることが重要です。気分が良くなれば、仕事の生産性も上がり、より良い親、より良い友人になれる。誰しもにとってプラスになります」

Text: Ranyechi Udemezue Translation: Rikako Takahashi

From VOGUE.CO.UK

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