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結婚する女性は命もキャリアも賭けて、その上名字まで奪われるのか

  • 2024.12.23

私の名字は特別珍しいものではない。でも、この名字でずっと生きてきた。両親が心を込めて時間をかけて、漢字が持つ意味や画数やその他多くのことを考えてくれ名付けてくれた名前(姓名でいうところの名)と比べてしまえば、やはり名字よりは名前のほうが相棒感は強い。でも、この名字で呼ばれて生きてきた。

私と親しい人の多くは下の名前で私のことを呼ぶけれど、仕事関係の人や、初対面の人、病院などなど、さまざまな生活の場面で名字で呼ばれてきた。名字は私という人間のひとつだ。

◎ ◎

選択的夫婦別姓がまだ許されていない日本。結婚した多くの女性が相手の名字になることが多い。
私は、結婚しても絶対に自分の名字は変えたくない。

選択的夫婦別姓の話がすすめば、こんなことは思わないのだが、同性婚すらまだまだ先が長そうなこの国で、私が結婚するころに、選択的夫婦別姓制度があるとは考えにくい。
選択的夫婦別姓が認められたとしても、私たちが結婚するほうが早いだろう。

女性は、妊娠、出産で精神的にも身体的にも大きな負荷がかかる。そして、いくら医療が発展してしてきたとはいえ、妊娠と出産は命がけだ。
それだけでなく、妊娠中は仕事を休まなければならない。その間、自分のキャリアが止まってしまうことになる。
職場復帰ができる状態にある女性はいいが、結婚や出産を機に退職する(せざるを得ない)こともあるだろう。

これだけのものを女性は賭けるのに、男性は一切ダメージなく結婚し、当たり前のように子供が持てる。
それなのに、名字まで奪われてしまうのはいかがなものか。

◎ ◎

「いつか絶対結婚したい」「二人の子供がほしい」とたびたび言ってくれる恋人には、この考えは伝えている。

「俺は産むときになんの痛みも苦労もないし、名字変えるくらいどうってことないよ」
と言ってくれた。

私たちの両親も私の考えを理解してくれているが、これは今の日本では稀なことだろう。
彼だって、名字を変えなくていいなら、変えないほうがいいはずだ。彼は特に自分の名字は珍しいものではないし、愛着が特別あるわけではないと口では言っていたけれど、私を気遣ってそう言ってくれただけかもしれない。本当にそう思っていたとしても、名字が変わることで必要な手続きはあるだろうし、その手間がないにこしたことはないだろう。

◎ ◎

本当は、諸外国のように選択的夫婦別姓制度が取り入れられることが一番私にとってはうれしい。
私以外の多くの人にとってもうれしいのではないだろうか。「強制」ではなく「選択」と言っているのに、「押し付けないで!」という人もいるのが本当に不思議でならない。選択なのだから、同じ名字がいいならそうすればいいだけのことではなかろうか。

「夫婦の一体感が損なわれる」という人もいるが、名字が同じになっても不倫をする人はするし、同じ名字になったからといって、夫婦の一体感が生まれるわけではないというのが私の考えだ。

昔に比べれば多少よくなったとは言え、まだまだ女性が軽んじられている日本。
きっと物事を決める立場にいる男性の多くが、女性の願いが実現するのが嫌なのだろう。
選択的夫婦別姓制度が実現されるように、私も微力ながら動き、声を上げていきたいと思う。

◎ ◎

そして、実現されないとしても、男性が女性側の姓を名乗ることが珍しいと思われない、性別にかかわらず人の立場が同等な社会になるように、声を上げ続けていきたい。

■いずれ芭蕉か杜若のプロフィール
SFとホラーが好き。全てに子どもと女性の権利のために、言葉を紡いで行きたいです。

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