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口内フローラのケアを始めるべき理由とは? 歯科医が徹底解説

  • 2025.1.29

近年のヘルスケアでは腸内フローラの存在と機能を理解することが非常に重視されていて、新しいアドバイスやプロバイオティクス商品が次から次に発表される。最近では“口内フローラ”も、体内で2番目に大きい細菌叢として注目を浴びている。

そこで今回は、この口内フローラがどんなもので、私たちの健康にどのような影響を与えるのかを理解するべく、歯周病治療の第一人者で、ロンドンの歯周病専門クリニックRW Perioの創業者でもあるリーナ・ワディア医師に話を聞いた。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

口内フローラとは?

「口内フローラは人間の口内に住んでいて、口内の健康や疾患に大きく関わる微生物の集団(細菌叢)です」とワディア医師。

「口内フローラは腸内フローラに次いで2番目に大きい細菌叢で、700種類以上の細菌の住処です。人間の体はすべてがつながっていますから、全体的な健康に気を配らなければなりません。これには当然、口内の健康も含まれます」

口内フローラが私たちの健康に与える影響

口内の悪玉菌は腸ばかりか全身に広がって、次のような問題を引き起こすことがある。

  • 心血管疾患
  • がん
  • アルツハイマー病
  • 関節炎
  • 妊娠中の問題

口内の細菌は神経系に入り込み、気分に影響を与えることもある

口内フローラに影響を及ぼす要素

「不健康な食生活、不適切な口腔の衛生管理、喫煙・ベイピング(タバコの葉を使用していない“ベイプ”と呼ばれる液体を吸入すること)・飲酒などの生活習慣要因は、どれも口内フローラのバランスが乱れる原因となります」とワディア医師。もう少し具体的に説明しよう。

不健康な食生活

「食生活は口内フローラの健康を維持する上で重要な役割を果たします。砂糖や精製糖質の多い食事は口内の悪玉菌の燃料となり、歯のエナメル層を浸食する酸の生成や歯垢の蓄積につながります。加工食品や食物繊維および必須栄養素が少ない食品は、口内の善玉菌に対抗する善玉菌の成長を妨げます。また、こうした栄養価の低い食品を摂取しても、自然食品を摂取したときほど効率的に唾液が生成されません。唾液は酸を中和して、食べ物の残りかすを洗い流すために不可欠です」

口内の衛生管理が不十分または不規則

「これによって歯や歯茎に歯垢(細菌のベタベタした薄い膜)が蓄積し、歯周病や虫歯のリスクが高まります。この歯垢は、定期的に除去しないと硬くなって歯石になります。歯石は専門的なクリーニングでしか除去できず、歯茎の炎症を引き起こします」

喫煙

「タバコを吸うと、口内の免疫反応を弱めて歯茎に直接ダメージを与える毒素が体内に取り込まれ、口内で細菌が増殖しやすくなります。その結果、歯周病のリスクが高まり、口の治癒能力が弱まります」

ベイピング

「喫煙よりも害が少ないと言われていますが、ベイピングにはベイピングのリスクがあります。ベイピングリキッドの多くには口内の組織を刺激して乾燥させる化学物質が含まれており、これが口内フローラのバランスを変えてしまうことがあるのです。ベイピングは、歯周病の構成要素の1つである歯茎の炎症を起こしやすくするとも言われています」

飲酒

「多量の飲酒を続けたり、アルコールベースのマウスウォッシュを頻繁に使ったりしていると、口内が乾燥して唾液の量が減少します。唾液は細菌のバランスを取り、残りかすを除去するのに必要なので、その唾液が減少すると口内フローラが混乱します。過剰な飲酒は歯周病や虫歯にも関係しており、口腔がんのリスクを上昇させます」

マウスウォッシュが口内フローラに与える影響

「刺激の強すぎるオーラルケア商品を使ったり、マウスウォッシュを使いすぎたりしていると、口内の悪玉菌と一緒に善玉菌まで一掃されてしまいます。その結果、口内フローラのバランスが崩れて、病原菌が優勢になることがあります」とワディア医師。

じゃあ、マウスウォッシュは毎日使わないほうがいい? 「ブレスケアにマウスウォッシュを使うのはいいですが、歯磨きとは別のタイミングで使うようにしてください。そうしないと、歯磨き粉に含まれるフッ素などの有効成分が全て洗い流されてしまいます」とワディア医師。「マウスウォッシュは確かに役に立ちますが、普段のオーラルケアの代わりではなく、普段のオーラルケアに加えて使う贅沢品として捉えたほうがいいでしょう」

口内フローラのケア方法

「口内フローラのケアは、口腔の健康だけなく、私たちのウェルビーイング全体にも欠かせません」とワディア医師。「口内には、有益な細菌と有害となりうる細菌の両方によって構成される複雑な集合体が住んでいます。そのバランスが崩れると、歯周病や虫歯だけでなく、全身の健康に問題が出る可能性も高くなります」

口内フローラを健康にする6つの方法

野菜、フルーツ、低脂肪のタンパク質、全粒穀物が豊富な食生活は、健康的な口内環境の維持に役立ち、炎症や歯周病のリスクを減らす。

健康的なオーラルケアの習慣を確立することも大切。その結果、口内フローラが長期的に安定すれば、歯茎が健康なピンク色に保たれて、口臭がなくなるだけでなく、歯の位置がズレてくるようなこともない。

爽やかな笑顔は歯茎の健康から。充電式の電動歯ブラシで1日2回歯を磨き、適切な歯間ブラシで歯と歯の間のお掃除を。

舌のケアも忘れずに! TikTokでは“tonguescraper”(舌クリーナー)というタグの付いた動画が2億5300万回も再生されている。舌クリーナーは手前に1回引くだけで有害な細菌が95%も除去できるという優れモノ。医療用に設計されたゴールドかシルバーのクリーナーは、プラスチックの使い捨てクリーナーよりも効果が高い。

歯科クリニックで受けられる専門的なクリーニングの一種“エアフロー”は、歯に微粒子パウダーを吹き付けて汚れを落とし、口内を消毒する非常に効果的な最新技術。このパウダーには天然の抗菌作用があり、施術後は口の中がスッキリして、歯が明らかに白くなる。

そして最後に、低刺激のオーラルケアを徹底すること。フッ素配合の歯磨き粉、デンタルフロス、抗菌作用がありながら口内フローラにやさしいマウスウォッシュなどの使用は、口内のエコシステムのバランスの維持に役立つ。

※この記事はイギリス版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Perdita Nouril Translation: Ai Igamoto

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