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「仕事だからしょうがない」のだろうか?モヤモヤを言語化してみる

  • 2024.12.22

同期とランチをするために、午前半休を返上してオフィスにきた。十時半ごろ、空いているけれども憂鬱な空気の漂う通勤電車の中、

「研修で無理かも泣」

と、同期から連絡が入った。

研修であればしょうがない。仕事だからしょうがない。理性ではわかっているけれども、なんだかモヤモヤした。

せっかくの機会なので、絡まった糸のようにこんがらがった、この心のモヤモヤを言語化して紐解いていきたい。

◎ ◎

仮説一。

まず、研修があることをわかっていたならば、昨日の時点で教えておいて欲しかったのだ。「金曜日は研修」という事前情報があれば、ランチのために早くオフィスへ向かうか、向かわないか、選択ができた。

移動中、後戻りができない状態になってからその情報が与えられ、もはや半休が無駄になったという事実のみが残り、嫌悪感が生まれた。

モヤモヤしたままこれを書いているから、隣のサラリーマンの集団の会話がうるさい。ノイズキャンセリングイヤホンも突き抜けて入ってくる声がうざったい。

ここはお一人様も多いカフェだぞ。もう少し静かに会話できないのか。

彼らはおそらく午前中から働いており、その鬱憤を晴らすべく同僚と食事に来ているのだろう。こちらが我慢せざるを得ない状況がさらにイライラを加速させる。

脱線した。モヤモヤの言語化に戻ろう。こうして文字に起こしていくと、なんだかランチの問題がどうでも良くなって来た。

◎ ◎

仮説二。

彼女に会うことを楽しみにしていたので、予定がなくなってしまったことが単純に悲しかった。先週の金曜日、自分の代休のせいで(三連休のうち一日休日出勤をした)一緒に食事ができなかった。

ニ週間のうちに起こったことを話せること、聞けることを楽しみにしていたのだ。きっと研修には他の同期も来ているだろうから、その人たちとランチに行ってしまうんだろう。私の方が先に約束していたのに。半休を返上してオフィスに来ているのに。そんなことを想像して、いじけていたのだ。

隣のサラリーマン集団のうちニ人が喫煙所に行った。しばらくして帰ってきた。タバコ臭い。最悪だ。せっかく自分を甘やかすために注文した、何の栄養も取れない甘いフレンチトーストと、アイスコーヒーの香りが、タバコの臭いで塗り潰される。

せっかくの一人の時間が隣の集団のせいで台無しだ。うるさくて臭くてモヤモヤして、仕事場に向かわなければならない。

あ〜嫌だ。いつかTwitterで見た。幸運は、自分は運がいいと思っている人のところに舞い込んでくると。今の私にはきっと、不運しか舞い込んでこないのだろう。そう思ってしまうほど、気分が沈んでいた。

◎ ◎

気分を変えるために読書をしていたら、いつの間にか隣のサラリーマン集団はいなくなり、隣の席は女性二人組に変わっていた。金曜日の昼間だというのに、このカフェは空席が目立つ。いつもはもっと混んでいるのに、不思議だ。

フレンチトーストは冷めて硬くなり、アイスコーヒーは氷が溶けて薄くなっていた。いつの間にか半休の時間が終わり、出勤時間が近づいていた。そろそろ事務所に向かわなければならない。今日のタスクは何だっけ。あぁ、あれの提出期限が近いから、まずはあれから片づけないと。

あれだけ同期ランチ問題でモヤモヤしていたのに、気づけば意識は仕事の方へ向かっている。あれだけ嫌だったサラリーマン集団のことも、日々の生活に溶け込んで、見えなくなる。硬くなったフレンチトーストと、完全に薄くなったコーヒーを流し込んで立ち上がる。

もう絡まった糸は心の見えないどこかへ行ってしまった。

いつか今日のことを、小さいことでいじけていたな、と思い出すのだろう。さあ今日も残り半日。ほどほどに頑張ろう。

週末は何をしようか。一週間を耐え抜いた自分へのご褒美を存分に与えてあげたい。

沈んだ気分の中でも一生懸命に生きている自分に、ささやかな幸運が舞い込んできますように。

■鉛のプロフィール
24歳プログラマ。読書と編み物で、心を無にして全集中することにはまっています。

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