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改姓という対価を払わずに結婚の制度を利用できる国になってほしい

  • 2024.12.22

私にとって結婚はリスクヘッジだ。
1人では病気になると生活ができなくなるかもしれない。
でも、結婚して2人でいれば1人が病気になっても、もう1人が働けば生きていける。
他にも、住宅を買うときにペアローンが使えたり、子どもを作りたいときに不妊治療の費用に助成金がもらえるなど、結婚は何かと便利だ。
そんな、便利な制度を利用するためには、どちらかの名字を変えるという対価を払う必要がある。

◎ ◎

私が名字を変えたくない理由は、主に名義変更の諸々の手続きをするのが面倒だからだ。
彼氏も名字を変える気がない。
そんな私たちカップルは、どちらが名字を変えるか議論を始めた。

議論その1、家の名字が途絶えないか。
私は一人っ子だ。彼氏は長男で妹がいる。
私が名字を変えると、確実に兄弟のいない私の家の名字は途絶えるため、私に1ポイント。

議論その2、名字の珍しさ。
東北大学の吉田浩教授の試算では、約500年後、現制度のままであれば日本人全員の名字が「佐藤」になるのだそう。
名字の多様性を保つため、名字が珍しい方はどちらかを調べた。
全国で人口の多い順にランキングした結果、私が約100位、彼氏が約1,000位の名字だ。(名字由来netの全国名字ランキングより)
彼氏の方が珍しい名字のため、彼氏に1ポイント。

◎ ◎

議論その3、キャリアへの影響。
私は内勤のため、5年間仕事をして名刺を3枚しか使っていない。
また、今の職場で仕事を続ける限りは、旧姓を名乗り続けることが可能だ。
一方、彼氏は講演や営業など社外での仕事があり、名刺を140枚は使用している。
彼氏の方が名字を変えることによる仕事への影響が大きいため、彼氏に1ポイント。

議論その4、墓の立地。
私たちはどちらも関東で育っており、今後も関東で生活をする予定だ。
しかし、私の父は関西の生まれなので、私の家の墓は関西にある。
彼氏の家の墓は関東にあり、将来子どもが墓参りをする際に関東の方が利便性が良い。
関東に墓がある彼氏に1ポイント。

他にも親の意向や事務作業の得手不得手、世帯主がどちらかなどを話し合い、私が名字を変える方が影響が小さいと判断した。

◎ ◎

私は、子どもや住宅のことを本格的に考える再来年に結婚する予定だ。
すぐに結婚しない理由の1つに、再来年までに選択的夫婦別姓が実現するのであれば、利用したいことが挙げられる。

だが、残念ながら選択的夫婦別姓が2年以内に実現することは、あまり現実的でないとも考えている。
現行の多くのシステムは、家族全員が同姓であることを前提として設計されている。システム改修は2年では終わらないだろう。選択的夫婦別姓は、実現しなくても、直接的に人の命には関わらない。システム改修のために遅くまで残業し、誰かの体や心を壊してまで早く導入するほど、選択的夫婦別姓を早期に実現してほしいとは思わない。

◎ ◎

私の結婚には間に合わないだろうが、今後は名字という対価を払わずに、結婚の制度を利用できる日本になっていってほしい。

■松風水月のプロフィール
まつかぜみつき。紅茶・日本茶・中国茶などお茶全般が好き。

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