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鈴木砂羽さん(52歳)子宮筋腫手術を受けて「40代までの苦しみや悲しみや怒りを手放せた気がした」

  • 2024.12.21

仕事で多忙を極め、体のことは二の次三の次になっていたという俳優・鈴木砂羽さん。40代後半から子宮筋腫の投薬治療を開始しましたが、悲鳴を上げる体の声を「まだ耐えられる」と聞き流し、だましだましやってきたと語ります。そしてコロナ禍が明けて50代になった時に意を決して子宮筋腫と子宮の上部を摘出する手術に踏み切りました。「生まれ変わったようだった」と語る術後について、そして鈴木さんの現在や今後の展望についてお伺いしました!

仕事も恋愛もギブアップ気味な40代は、「私、何をやってるんだろう」と虚無感を抱くキツい時期でした

お話を伺ったのは…俳優・鈴木砂羽さん(52歳)

《Profile》
1972年生まれ。静岡県出身。美術短期大学を中退後、文学座の研究生となる。研究所卒業後の94年、映画『愛の新世界』で主演としてデビュー。圧倒的な存在感でブルーリボン賞など各新人賞を多数受賞。その後、舞台やテレビドラマでも幅広く活躍。直近では、テレビ朝日のドラマ「相棒 season23」に出演中。ドラマ、映画、舞台、バラエティのほか舞台演出、マンガの執筆など幅広い表現ジャンルで活躍している。

40代はとにかくバタバタしていました。仕事も多忙を極め、私生活では離婚も経験。トラブルで世間を騒がせてしまったこともあり、精神的にギブアップ寸前でした。
ふと、「私、何やってるんだろう」と虚無感に襲われたことも。体調面も壊滅的で、それ以前から患っていた子宮筋腫の投薬治療を40代後半からようやく開始しました。最初は2㎝くらいの大きさで、1ヶ月1万円ほどの投薬をしていましたが1mm減ったか減らないかくらい。効率悪いなと思いながらも仕事が忙しいことを言いわけに、自分の体の声をずっと無視していました。
そうこうしていると筋腫がテニスボールほどの大きさになってしまって、もう患部を触ればわかるほどに。生理もひどくなり、当時舞台に出演していたのですが、冗談抜きで“血の雨”といった感じで、顔が真っ白な紙のようになり、貧血で立ち上がるのも困難なほどでした。

それでも「まだ耐えられる」とだましだまし踏ん張っていたらコロナ禍になり、未曾有のパンデミックの中、否応なしに初めて自分を見つめ直すことになりました。
これまで私は私を生きていませんでした。いつも他人の評価や視線を気にして、他人に求めてばかりの承認欲求の塊。世の中が大きく変わろうとする中、私自身も変わりたいと思いました。それはハッキリとした「意識」でした。28年所属した事務所を辞めて新しい事務所に入ったり、以前からやってみたかった、長い髪をバッサリと切ることだったり、できることから自分を変えているとドラマ『相棒』に復帰させていただくお話をいただいて。それで手術に踏み切ろうと決めました。コロナ禍は明け、私が50歳の時です。

「あー!スッキリした!」術後、私の苦しみや悲しみや怒りを、全部子宮に詰め込んでしまっていたんだと…

術後はまさに生まれ変わったような感覚でした。そのスッキリとした体の心地になった時、いかにそれまで自分の体をないがしろにしていたか、私の苦しみや怒りや悲しみなどの荒ぶる感情をこの子宮が受け止めていてくれたのかを痛感したんです。
そして生まれて初めて、自分の体が可哀想だな、と思いました。この体が、臓器が、細胞の一つ一つが私を支えてくれているっていうのに、当の私はあまりに自分に対して乱暴で思いやりに欠けていました。ちゃんと自分の体の声を聞くようになったのは、そこからです。
食生活は相変わらず不規則気味で、いい加減ではありますが、「いま体が欲しいものは?」「肉?魚?」「どんなふうにして食べる?焼く?煮る?」と自分の体にヒアリングをするようになりました。
甘いものは普段からあまり食べませんが、現場などのケータリングにあったりすると、「食べたい?」と体に訊く。そうしているのが、結果一番調子が良いように感じています。これからも人生は続いていくので、長く長くメンテナンスをしていって、健康でいられるように労っていきたいと思っています。

術後、体の声を聞くようになると、悲しい、寂しい、怒り、悔しさ、そういうマイナスな感情もなるべく手放そう、と思うようになりました。私が思うに、“手放す”という行為は、自分で自分の感情にフタをする行為ではありません。いつだって1番なのは自分なのです。だから誰よりも先に自分に訊くのです。
すると他人よりも自分のことを感じれば、長くネガティブなマイナス感情を持ち続けているのが辛いことだと分かるのです。すると、自分の中の「子供」が安心します。虚飾や見栄は、結果的に自分を苦しめます。
自分の中の「子供」は本当じゃないといつまでも泣いていて、現実に困難を引き寄せてしまう。
ありのままってなかなか難しいけど、自分を大切にするって言ったら、そのまんまの自分にもOKを出せるのではないでしょうか。
例えば今、男性に「可愛いね」なんて始終言ってもらわなくても、「こんな私でも可愛いよ!」と自分で言ってあげられれば、もうすでにハッピーです! 単に歳をとって、図太くなっただけかもしれませんが(笑)。

《衣装協力》
ブラウス¥40,700 パンツ¥36,300(すべてミュラー オブ ヨシオクボ) ピアス【左耳】¥99,000 ブレスレット¥594,000 ハンドカフ¥33,000(すべてカラットアー/ヴァガス)

《ショップリスト》
ヴァガス 03-6434-7975
ミュラー オブ ヨシオクボ 03-3794-4037

撮影/鈴木章太 ヘア・メイク/加藤峰子 スタイリスト/平井律子 取材/キッカワ皆樹 編集/根橋明日美

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