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離婚成立前、元夫とまだ一緒の名字を記入する時に胸がざわざわした

  • 2024.12.20

結婚したとき、名字は当然のように夫の名字に変えた。私の名字も気に入っていたのだが、何よりも「名字を変える」体験がしてみたかったのと、女性が男性の名字にするのが当然と思い込んでしまっていた。

カードや銀行、病院の診察券、仕事で使う名字も、1ヶ月かけて全て丸ごと変えた。変更届に記入する新しい名字が名前と隣合わせになりくっつく時、まだ似合わない感じで初々しくて幸せだった。

離婚するのは結婚するよりはるかにしんどいと聞いていたが、本当だった。重い。ゆううつだ。あの幸せはどこに行った。しかも夫が離婚直前になり、離婚を渋った。もう夫婦や家族としての関係は終わっているのに。

別居も1年しているけれど名字が変えられない。病院の受付で夫と一緒の名字を呼ばれ、新しく借りたアパートも夫と一緒の名字を申込用紙に記入する時は、胸がざわざわして、将来が見えなかった。

◎ ◎

調停を経て苦労してようやく離婚が成立した時は、カードや、銀行など、全て名字を元に戻す手続きをものすごい勢いでした。

変更の申し出をするために銀行に行き、受付の人が左手の薬指に指輪をはめていると、あぁ自分は叶えられなかった幸せをこの人は持っている、どうして私はできなかったのだとくよくよした。

でも手続きは淡々としている。名字変更の理由を聞かれることもあった。「離婚です」と言っても離婚ですねと平然とされることがとてもありがたかった。

苦しい離婚であったから、夫を思い出させるものはなるべく見えなくしたくて、夫からもらった財布や夫の好みのスカートまで処分した。

そして夫の名字の一部である特徴的な漢字を私は意図的に使わなくなった。仕事で文章を書く時は割り切っていたが、プライベートで書くメール、LINEにはこの漢字は絶対使わず、ひらがなにしていた。

名字に使われている漢字を見ると気分が重くなり夫に言われた言葉でさいなまれた。

◎ ◎

離婚から3年。いまだに、夫の名字の漢字を使うことはしていない。

しかし、とある日に母へ送るLINEで、急いでいたのもあり、つい使わずにいた夫の名字の漢字をひらがなにせずに使って送ってしまった。送って、あ、とうとう使ってしまったと0.5秒ぐらい後悔したが、でも、母は気にしないかと思っていた。

その後、近所に住んでいる母と会った時に、最初に言われた。「この前のLINE、あんたはよくあの漢字使えたわね。私はあれからずっと使ってないわよ」。驚いた。母もあの名字の漢字を私の離婚以来、私と共に使っていなかったのだ。

胸が熱くなった。もう、私は大丈夫だ。母が味方でいてくれる。離婚して良かった、名字を取り戻して良かった、やっと自分を取り戻せた。

離婚するかも、と思って結婚する人はいないだろうけど、もしかしたら結婚で変えた名字をまた変えることになる経験をする人がいるかもしれない。でもその時には、粛々と変えてまた違う道を歩んで行ける人たちが増えるといいなと願う。

■southのプロフィール
人生折り返し地点すぎて急にいろんなことが起こり始めたのは何故か、一つひとつ書きとめています。

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