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なぜ人は酒に酔うのか?【薬剤師監修】さらば泥酔! 酒好きのための「上手な飲み方」完全ガイド

  • 2024.12.19

彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人です。タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けていて…。
そんなえりのボスのもとには今日も悩みを抱えた女性が立ち寄ったようですよ。悩みはずばり、お酒の飲み過ぎ。泥酔しない、二日酔いしない、上手な飲み方が知りたい…!

【えりのボスの「あと半歩で幸せ」】

えりのボスは透視能力もあるらしい(漫画:腹肉ツヤ子)
えりのボスは透視能力もあるらしい(漫画:腹肉ツヤ子)

1. ついつい飲みすぎて、飲み会で失態を…

今回は、ナギサさん(37歳/仮名)からのご相談です。

「これから忘年会と新年会の時期で、私とっても憂鬱なんです…」

「あら、飲み会の雰囲気が嫌いとか? お酒が嫌いとか?」

「違います…飲み会もお酒も大好きなんです! でも、好きだからこそ飲み過ぎて、去年はしゃぎすぎちゃって…」

「あらら…」

酔っていたとはいえ、思い出すのも恥ずかしいです、とうつむくナギサさん。

「飲みたいけど前みたいな泥酔は恥ずかしいですし、二日酔いも避けたいです! えりのボス、何かいい方法を知りませんか?」

お酒好きなのに、飲み会に対して苦手意識を持ってしまった様子のナギサさん。

これは放っておけません!

2. お酒好き! なのに酔ってしまう理由は?

お酒、大好き!(写真:iStock)
お酒、大好き!(写真:iStock)

「お酒が好きで強い人でも、飲み方や飲む量によって酔ってしまうのは普通のことよ。まずは、酔ってしまう理由を紹介するわね」

「はい、お願いします…!」

「体内に入ったアルコールは肝臓で分解されるの。だけど、すぐに分解できないから心臓によって脳や全身に運ばれるわ。アルコールが脳に到達すると脳が麻痺するの。これが『酔う』ってことよ」

「脳が麻痺だなんて…ちょっと怖いですね。ところで、どうして人によってお酒に強かったり弱かったりするんですか?」

不思議そうに聞くナギサさんに、えりのボスは優しく答えます。

「体内のアルコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素やミクロソームエタノール酸化系によってアセトアルデヒドに分解されるわ。さらに、アセトアルデヒドはALDH2という脱水素酵素によって酢酸に分解されるの。このALDH2の活性が強い人が、俗に言うお酒に強い人なのよ」

「そういえば…アセトアルデヒドが頭痛や吐き気の原因になるって聞いたことがあります」

無理無理、マジで無理(写真:iStock)
無理無理、マジで無理(写真:iStock)

納得した様子のナギサさん。えりのボスはさらに続けます。

「さらに、アセトアルデヒドの処理が追い付かないと二日酔いになるの。アルコールの処理能力は体質や体調によって異なるけど、一般的には年齢を重ねると肝臓の機能が衰えて二日酔いになりやすいといわれているわ」

「そんな…。私、まだまだお酒を飲みたいのに…」

「大丈夫よ。泥酔しにくい飲み方や、二日酔いを防ぐ秘訣を紹介するわ」

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3. 泥酔&二日酔いを防ぐ4つの秘策

(写真:iStock)
(写真:iStock)

楽しい飲み会なのに酔いすぎて台無しになったり、二日酔いになって翌日に響いたりしにくい方法を4つ紹介します。

3-1. 胃が空っぽの状態で飲み会を始めない

飲む前も、飲んでいる時も(写真:iStock)
飲む前も、飲んでいる時も(写真:iStock)

胃が空っぽの状態でお酒を飲むと、アルコールが胃腸で急速に吸収されて血中アルコール濃度が急上昇。悪酔いや二日酔いをする原因になりかねません。

飲み会の前に、食べ物でも飲み物でもいいので胃に入れておくと、このような事態を防げるでしょう。お昼を多めに食べておいたり、時間がない場合はコップ一杯の水を飲んだりするだけでも構いません。

3-2. 意識的に水分を摂る

飲み会のときはお酒だけではなく、お茶や水などのチェイサーも意識的に飲むようにしてください。それによって胃の中のアルコール濃度が薄まるだけではなく、お酒を飲むペースもゆるやかになるでしょう。

3-3. おつまみでタンパク質、ビタミンB群を摂る

オススメおつまみいろいろ(C)コクハク
オススメおつまみいろいろ(C)コクハク

おつまみはタンパク質やビタミンB群を多く含んでいるものを選ぶのがおすすめ。タンパク質は肝臓やアルコールの分解酵素の働きをサポートします。低カロリーの枝豆やチーズがおすすめですよ。

ビタミンB群は豚肉やブリ、生ハムに多く含まれ、アルコールの代謝を助けます。これらのおつまみを食べることで、泥酔や二日酔いの防止効果が期待できるでしょう。

3-4. 薬の服用

ウコンはお酒好きの救世主(写真:iStock)
ウコンはお酒好きの救世主(写真:iStock)

泥酔や二日酔いを予防するためには、薬の服用もおすすめ。

胃のむかつきが気になる場合は、胃酸の分泌量を抑えるファモチジン、ラニチジンが含まれた胃薬を服用するといいでしょう。アルコールの代謝をサポートするウコンは、飲み会前だけではなく二日酔いの際に飲んでも効果が期待できます。

(C)コクハク
(C)コクハク

二日酔い対策には漢方薬もおすすめです。「アルコールによる胃の不調や頭痛を和らげる」「飲酒による水分バランスの乱れを整えて吐き気やむくみを改善する」といった働きを持つ漢方薬を選んでください。

二日酔いにおすすめの漢方薬

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):からだの余計な熱をとって胃の炎症を抑え、アルコールのような刺激物による胃の不調や二日酔いを緩和します。

・五苓散(ごれいさん):体内の水分代謝を整えることで、むくみや頭痛、吐き気などを改善し、二日酔いにも用いられます。

スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

4. 飲み会の対策をして楽しく飲もう!

「泥酔対策っていろいろあるんですね。二日酔いもしがちなので、対策を聞けて参考になりました!」

「お酒は飲んでいる間だけではなく、飲んだ後も楽しいことが大切よ。飲み方に気をつけて飲み会を楽しんでちょうだい」

えりのボスの言葉に、嬉しそうにうなずくナギサさん。

「ありがとうございます! これからの飲み会ラッシュ、しっかり対策をして無理せず楽しみます!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

優しい表情でサロンを去っていくナギサさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

◇ ◇ ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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