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2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝

  • 2024.12.18
2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝
2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝

Text by 高橋アオ

契約満了となったJリーガーたちが集う『JPFA(日本プロサッカー選手会)トライアウト』が11日、12日に実施された。11日の部に参加したJ2鹿児島ユナイテッドFCを今季で契約満了したMF中原秀人(しゅうと)は、ミニゲームや紅白戦で正確なポジショニングでボールを引き出し、卓越したパスセンスでスカウト陣にアピールした。

九州で名を馳せたゲームメイカー

会場は晴れ晴れとした天気だったが、凍えるような気温の中トライアウトは実施された。「寒い」という声も時折聞こえてきたが、34歳のベテランパサーは短い時間の中でも仲間を鼓舞するなど熱気あふれるプレーを見せた。

2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝
2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝

「短い時間でしたけど、しっかりと自分の特徴を出すことができたと思います。ボールに絡みながら前線へのパスを供給する部分や、ワンタッチのパスなど一番の特徴を出すことができました」と振り返った。

中原は九州で名を馳せた司令塔であり、J1アビスパ福岡、J3ギラヴァンツ北九州、J2鹿児島でプレーした。クレバーな位置取り、正確無比なパスワークを持ち味にするゲームメイカーは、今回で2回目のトライアウト受験となった。

このトライアウトはドリブル突破などの個人技や身体能力に優れた選手がスカウトにアピールしやすいといわれており、ボールの扱いに長ける司令塔スタイルの選手たちは急増チームで持ち味を出しづらいという。ただ主催者であるJPFAもその点は配慮しており、準備時間が用意されていた。

「話し合う時間が30分くらいあったので、しっかりとコミュニケーションを取れました。難しい部分もありましたけど、コミュニケーションを取れたので、ゲーム中もみんな意欲的にやってくれて僕はすごくやりやすかったです」

2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝
2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝

経験豊富なベテランにとって僅かな時間でも十分だった。的確なコーチングで選手を動かしながら、持ち味のパスワークをピッチ上で見せていた。

故郷のクラブ、ファンへの感謝

鹿児島県阿久根(あくね)市出身の中原は2017年8月に故郷のクラブである当時J3鹿児島へ完全移籍した。鹿児島の頭脳として中盤に君臨した男は2度のJ2昇格に貢献するなど、チームの顔ともいえる選手の一人だった。今季はリーグ戦11試合(先発9試合)と出場機会を減らし、来季の契約を結べなかった。

「まず今シーズンはチームを降格させてしまったことにすごく責任を感じています。鹿児島が大きなクラブになっていくために、前回上がったときもそうですけど、1年で落ちてしまうことは本当に避けたかった。本当に責任を感じています」と悔しさをにじませていた。

2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝
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プレーで結果を出せなかったが、それでも鹿児島出身のヒーローを支持するファンは多い。退団が発表されるとサポーターから「行かないでくれ…」、「中原さん退団は辛い」など別れを惜しむ声が散見された。

中原自身もファンを大事に思っており、「最初に(鹿児島へ)行ったころは、自分がピッチに立って勝利に貢献することだけを考えていましたけど、月日が流れる中でそのためだけじゃなくて、応援してくれるファン、サポーターの方がたくさんいて、『その人たちのために頑張らなくちゃいけないんだ』という気持ちに変わっていきました。

ピッチ上のプレーで表現することも大事ですけど、そういった人たちに勝ち、負けはあると思いますけど、その中でも精一杯やっているところを見せるところや、ファン、サポーターを大事にする気持ちを常に忘れずにやってきました。そういう気持ちにさせてくれたのも鹿児島のファン、サポーターの方々のおかげなので、すごく感謝しています」と、7シーズン半過ごした故郷のサポーターに感謝を伝えた。

2度目のトライアウトにベテランが持ち味を発揮。九州で名を馳せたゲームメイカーが故郷のクラブに感謝
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進路はJFL(日本フットボールリーグ、4部相当)以上を希望しており、現役継続の意志を見せている。

「今回、鹿児島を離れることになりましたけど、また元気な姿をどこかのチームで見せることができればうれしいです。もしまたスタジアムに帰ってきたときは温かい声援をお願いします」と鹿児島サポーター、ファンとの再会を望んでいた。


鹿児島を支え続けた司令塔は新天地を求めている。再び白波スタジアムのピッチに立ち、新チームのファン、鹿児島のファンを沸かすプレーを魅せてほしい。

(取材・文・撮影 高橋アオ)

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