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ブラッド・ピットを全方位から楽しむ傑作映画12選

  • 2024.12.18

『テルマ&ルイーズ』(1991)

Photo_ Fotos International/Getty Images
Geena Davis and Brad Pitt share a sex scene in the film 'Thelma And Louise', 1991.Photo: Fotos International/Getty Images

週末旅行に出かけた田舎町に住む主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)と、ウエイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)。ところがテルマが旅先でレイプされそうになり、思わずその男を射殺してしまったことから逃避行に出る。ブラッド・ピットは今作で二人と出会うヒッチハイカー役で、テルマの行きずりの恋の相手として大注目を集め、瞬く間にハリウッドのセックス・シンボルとなる。『ハリウッド・リポーター』によると、ブラッドが演じた“J.D”役のオーディションには、なんとジョージ・クルーニーも挑んでいたそう。最終的にブラッドが役を獲得したため、ジョージは2011年に「今でもあいつ(ブラピ)を許せないよ」と冗談交じりに当時のことを語っている。

『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)

"A River Runs Through It" - Brad Pitt

1910〜1920年のモンタナ州の田舎町を舞台に、厳格な牧師の父のもとで育った兄弟の確執を、エレガントなフライフィッシングとともに描いたヒューマンドラマ。真面目な兄に対し、自由で陽気な弟を演じたブラッドだが、その演技はもちろんのこと、今作でメガホンを握ったロバート・レッドフォード監督の若かりし頃に酷似していると大きな話題に。撮影前に1カ月かけてフライフィッシングを猛特訓したという、雄大な自然の風景に負けていない27歳(撮影時)の爽やかで美しいブラッド・ピットを堪能できる1作だ。

『セブン』(1995)

Brad Pitt on the set of Se7en, directed by David Fincher.

ブラッド・ピットのキャリアの代表作としてだけでなく、最も印象深い役柄の一つとして知られるのが、デヴィッド・フィンチャー監督との初タッグとなった『セブン』だ。キリスト教が定義する7つの大罪、暴食、貪欲、怠惰、色欲、高慢、嫉妬、憤怒になぞらえた殺人事件の犯人と動機を追いかける、若き刑事ミルズを演じている。若さ故か自信家でありながらも、次第に自制心を失っていく刑事をブラッドが熱演。殺人鬼によって砂漠へと導かれるシーンで、その緊張感は最高潮に達する。当時、彼がラストシーンで連呼した「箱の中身はなんだ?」は人気セリフになった。

『12モンキーズ』(1995)

TWELVE MONKEYS - Bruce Willis, Brad Pitt, 1995

アカデミー賞助演女優賞に初ノミネートされた、テリー・ギリアム監督によるタイムトラベル・スリラー。ブラッドは主人公ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)と精神病院で出会うジェリー・ゴインズ役で、クセのある存在感を放つ。「インディワイヤー」によると、ギリアム監督は当初、ブラッドには早口で意味不明なセリフをまくしたてる芝居ができないのではと不安になり、コーチをつけるべきか本気で考えていたという。もちろん、結果的に監督の取り越し苦労となったが。お尻を出したり、枕を破いたり、とにかく落ち着きなく動き、しゃべりまくる。そんなキレてるブラピは、観ている人たちの記憶に焼き付くこと間違いないだろう。

『ファイト・クラブ』(1999)

FIGHT CLUB - Brad Pitt, 1999.

デヴィッド・フィンチャーとの2度目のタッグとなった『ファイト・クラブ』で演じたタイラー・ダーデンは、間違いなくブラッド・ピットの最もアイコニックで認知度の高い役と言っていいだろう。生きる意味が見いだせずに不眠症に陥っていた主人公の〈僕〉(エドワード・ノートン)が、偶然出会ったタイラー・ダーデンという男と殴り合いをすることで(実際には殴られることで)、生きる価値や喜びを手に入れ、ついには同じ喜びを求める男たちが集結して「ファイト・クラブ」という名の地下格闘サークル格闘を結成。しかし、やがてクラブは過激化していく……。カリスマ的な魅力の持ち主ながら、正気か狂気か分からない危険度マックスのブラピが、強烈なパフォーマンスを見せる。

『オーシャンズ11』(2001)

OCEAN'S ELEVEN - Brad Pitt, 2001

今でこそ主役級の俳優たちが勢ぞろいする夢のオールスターキャスト作品は多々あるが、その先駆けとなったのが『オーシャンズ11』だ。ブラッド・ピットが演じるのは主人公でカリスマ詐欺師ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)の右腕ラスティ・ライアンで、11人のメンバーの一人として3つのカジノの金を集約する金庫を強盗する。劇中、ラスティはナチョス、シュリンプカクテル、サラダなどなど、常に食べ物を口にしているが、これはブラッド本人の持ち込みアイデア。多忙なラスティは、時間があるときに何かを口にしておかないと食いっぱぐれるという設定なのだとか。今作の共演を機にジョージ・クルーニーとブラッド・ピットのハリウッド友情が確立し、マット・デイモンがそのジョージとブラッドにイジられるというキャラが誕生した。

『Mr.&Mrs.スミス』(2005)

Brad Pitt and Angelina Jolie in the movie-Mr. and Mrs. Smith.

アンジェリーナ・ジョリーと恋に落ち、結婚をするきっかけとなった『Mr.&Mrs.スミス』は、実はお互いに殺し屋だったという仮面夫婦のアクション物語。恋とケンカと派手なアクションというエンタメ性満載の作品だが、上質なスーツやセーターを着こなし、アンジェリーナ・ジョリーとのマッチングコーデなど衣装もスタイリッシュで観ていて楽しい。しかし、一番の見どころは、お互いを殺し合う夫婦を演じながらも、スクリーンにダダ洩れしている「実は我々恋に落ちているんです」モード全開の二人の熱いケミストリーだったりする。

『バーン・アフター・リーディング』(2008)

BURN AFTER READING - Brad Pitt, 2008.

どの作品よりもおバカに振り切ったブラッド・ピットを観られるのが、コーエン兄弟によるブラックコメディ『バーン・アフター・リーディング』だ。パーソナルトレーナーのチャド(ブラッド・ピット)が、ジムで政府の機密情報入りCD-ROMを発見する。その一つのたまたまの出来事に、人々の欲が絡み合い大事件へと発展してしまう……。子どものように感情が変化する筋肉大人を演じるブラピの姿は、インパクトしかない。ただ、今作の衣装を担当したメアリー・ゾフレスによると、「ブラッドはどんな安いスーツも着こなしてしまうので、彼が演じるチャドが安物のスーツを着るシーンでは、わざと仕立てが悪いスーツにダサすぎるウールのネクタイを合わせた」という。恐るべし。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)

THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON, Brad Pitt, 2008.

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』はデヴィッド・フィンチャーと3度目のコラボ作で、アカデミー賞主演男優賞に初ノミネートされた記念すべき作品。老人の姿で生まれ、次第に若返っていくベンジャミン・バトンという男の人生逆再生物語が描かれる。ブラッドの外見は演じる年齢に合わせて特殊メイクとCGをミックスさせて作り上げており、これからのブラピ、今のブラピ、『テルマ&ルイーズ』の頃のブラピと、この1作でさまざまな時代のブラピに会える。ただし、正確には晩年(少年期&乳児)のブラピはCG加工費の都合上、少年の俳優を雇うことになったためブラッド自身が演じているわけではない。あしからず。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)

INGLOURIOUS BASTERDS - Brad Pitt, 2009.

クエンティン・タランティーノ監督とタッグを組んだ『イングロリアス・バスターズ』。『カリフォルニア』(2012)や『12モンキーズ』(1995)で見せてくれたイカれ具合とは違うベクトルの、どこかコミカルなのに残虐すぎる役で新境地を切り開いた。今作では情け容赦なくナチスを成敗する米軍特殊部隊“バスターズ”のボス、アルド・レイン中尉を演じているが、ナチスを始末するシーンのブラッドの嬉しそうな姿は正直、恐怖だ。なのに、なぜか笑いを誘われて憎めない。その絶妙な演技バランスは観ていて飽きることはないが、タランティーノ監督作品だけに血みどろは当たり前。残虐シーンOKな人向きです。

『ワールド・ウォーZ』(2013)

WORLD WAR Z - Brad Pitt, Abigail Hargrove, Mireille Enos, 2013

全世界で5億4000万ドルを稼ぎ、ブラッド・ピットの俳優人生において興行的に最も成功したのが『ワールド・ウォーZ』だ。妻子を敵から守るお父さん役という、ハリウッドにとってはありきたりだが、実はブラッドにとっては珍しい役柄となっている。と言っても守るのは家族だけでなく、世界もだが。それもゾンビと化した人間から……。芸達者な彼にとってはレアな、ある意味一番普通に近い役(と言っても普通の父親よりもずっと強いが)は逆に新鮮。本人は「USAトゥデー」に自身が演じたキャラクターをこう語っている。「ジェリー・レーンなんて映画史上、最悪の名前の一つだよ。Gerryは“G”から始まっているし、アンチアクションヒーローの名前だよ」と。はたして、圧倒的なスピード感で追いかけてくるゾンビとの戦いに終わりは来るのか?

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、「昔、昔、ハリウッドでは……」というタイトルが匂わすように、古き良きハリウッドが舞台のクエンティン・タランティーノ監督作品。自由と平和を求めた60年代のカウンターカルチャー終焉の引き金となる、1969年のとある3日間を描く。ブラッドは、落ちぶれ俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)の専属スタントマンかつ便利屋のクリフ・ブースを演じる。

色褪せて酒に溺れるかつてのスターを決して裏切ることはないが、ブースには妻殺害の黒い噂もついてまわるだけに善人ではないのかしれない。つまりクリス・ブースとは、謎めいたイイ人、セックス・シンボル、仲間思い、酔っ払い、アウトサイダー。これまでブラッド・ピットが演じてきたあらゆるキャラクターの集大成と言えるかもしれない。ちなみに本作でブラピはアカデミー賞助演男優賞を受賞し、ついにオスカー俳優の肩書きを得ている。

Text: Rieko Shibazaki

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