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冬に気分が落ち込むのは「冬季うつ」のせい?原因や対策方法を解説

  • 2025.1.18



「冬になり気分の落ち込みが続いている」「やる気が出ない……」その症状は冬季うつが関係しているかもしれません。 冬季うつの原因や対策方法を、あんしん漢方の山形ゆかりさんにうかがいました。


   1. 冬季うつとは?


冬季うつは、秋から冬にかけて発症し、春になると自然に回復するメンタル不調です。ウインターブルー、季節性感情障害と呼ばれることもあります。

女性や若者に多いといわれており、うつ病患者の1〜2割が冬季うつを経験するといわれています。

冬季うつの主な症状は、気分の落ち込みや無気力感、集中力の低下、不安感、睡眠障害、食欲コントロールの低下などです。(※1)

悪化すると仕事や家事、育児などの日常生活に影響がでるだけでなく、趣味や外出を楽しめないなど生活の質の低下にもつながります。

 

2. 「冬季うつ」と「うつ病」の違い



冬季うつとうつ病の大きな違いは、季節の変化で発症したり自然に回復したりするかどうかです。

冬季うつは冬に向かって発症し、春になると自然と回復していきますが、うつは季節に関係なく発症し、春になると症状が悪化することもあります。

また、症状にも違いがあり、一般的なうつ病は不眠や食欲の低下、体重減少などが特徴ですが、冬季うつは過眠や過食、体重の増加など正反対の症状が見られます。

とくに、冬季うつは、炭水化物や甘い物への欲求が高まるのが特徴です。(※2)

冬に「気分が落ち込みやすくなった」「やる気がでない」「からだがずっとだるい」などの不調と合わせて、「朝起きるのがつらい」「日中も強い眠気がある」「お菓子や主食の摂取量が増えた」などの悩みがあるときは、冬季うつの可能性が高くなります。




3. 冬季うつの原因



冬季うつの主な原因は、日照時間の減少によるセロトニンの分泌量の低下です。セロトニンは、精神の安定や体内時計の調整にも関わっており、幸せホルモンとも呼ばれます。

人間は朝に日光を浴びることで、脳内でセロトニンの合成が促されます。秋から冬にかけて日が短くなり十分な日光を浴びられないと、セロトニンの合成量が減り、冬季うつの症状が引き起こされるのです。日照時間が減少する北欧や日本の降雪地域では、冬季うつの発症率が高いといわれています。(※3)

また、室内外の寒暖差やストレス、疲労、運動不足なども自律神経のバランスを崩し、冬季うつの症状を悪化させることがあります。


4. 冬季うつの対策方法


冬季うつ対策には、セロトニンの合成を促し、体内時計を整えるような生活習慣が有効です。

  4-1. 積極的に日光を浴びる
冬季うつにもっとも効果的なのは、積極的に日光を浴びることです。

起床後30分以内にベランダや庭などに出て、屋外で15〜30分ほど日光を浴びることでセロトニンの分泌が促されます。

曇りや雨など照度が低い日は1時間程度の長めの日光浴をして、日中も室内の照明をなるべく明るくし、窓際で日光を浴びて過ごすようにしましょう。

朝は忙しくゆっくり日光浴する時間がとれない人は、窓際で朝食を摂るのがおすすめです。

また、屋外でのウォーキングなどでからだを動かしながら日光を浴びると、より高い効果が期待できます。

  4-2. 適度に運動する
適度な運動は、セロトニンを含む抗うつ作用のあるホルモンの分泌を促します。

また、ストレスの発散や睡眠の質の上昇など、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。

冬季うつ対策には、ウォーキングやランニング、踏み台昇降などの有酸素運動を週3回以上するのが効果的です。

ただし、冬季うつの症状で悩んでいるときに、急に本格的な運動を始めると心身の負担が大きくなります。

まずは、ラジオ体操やストレッチから始める、移動を早歩きにする、階段の利用機会を増やすなど、日常生活の中で運動量を増やしていきましょう。

  4-3. 体内時計を整える
体内時計が整うと自律神経のバランスもとりやすくなり、冬季うつの症状の緩和につながります。

体内時計を整えるには、起床や就寝、食事、入浴を毎日ほぼ同じ時間にし、生活リズムを一定にしましょう。

また、体内時計の調整には光も大切です。

起床後すぐに日光を浴びて体内時計をリセットする、日中は昼光色や昼白色などの照明で室内を明るくする、夕方以降は暖色系の光に変える、就寝前は部屋を暗くして間接照明で過ごすなど、1日のなかで浴びる光の種類や強さを変化させると体内時計が整いやすくなります。

寝る前のスマートフォンやテレビ、パソコンなどのブルーライトは、体内時計を乱す要因のひとつです。就寝前は読書やストレッチなどをして、ブルーライトを浴びるのを避けましょう。

  4-4. トリプトファンを含む食材を積極的に食べる
セロトニンの材料になるトリプトファンは、体内で合成できない必須アミノ酸です。

トリプトファンが不足すると、生活習慣を改善してもセロトニンの合成量が増えません。冬はトリプトファンを含む食材を積極的に食べましょう。

トリプトファンは主に肉類や魚介類、大豆製品、乳製品に多く含まれています。また、バナナやたまご、のりなどもトリプトファンの多い食材です。

食事の際は、毎食トリプトファンが含まれる食材を摂ることを目標にしましょう。

なお、トリプトファンが十分な効果を発揮するためには、ほかの必須アミノ酸も必要です。バランスのいい食事をベースに、トリプトファンを含む食材の量を増やしていきましょう。

  4-5. 漢方薬を試してみる
胃もたれの症状の緩和におすすめのツボをご紹介します。

冬季うつの症状には、漢方薬もおすすめです。

医薬品としての効果が認められている漢方薬は、実際に心療内科でも用いられています。

また、自然由来の生薬がからだに優しく作用するため、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。

漢方薬は毎日決められた量を飲むだけなので、忙しい人や冬季うつの症状で生活習慣をすぐに改善するのは難しいと感じている人でも始めやすい対策方法です。

気になる人は、まずはお試しで飲んでみてもいいでしょう。

冬季うつには、「自律神経のバランスを整える」「肉体的な疲れを和らげて落ち込みや不安を軽減する」「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」などの働きのある漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。

<冬季うつにおすすめの漢方薬>
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の機能を高めることで気力や体力を回復させ、エネルギー不足を補います。全身の疲労感や倦怠感などに使われる漢方薬です。

・抑肝散(よくかんさん)
自律神経の乱れを整えて精神の高ぶりを抑えます。不眠やイライラなどに使われる漢方薬です。

 

5. 冬季うつ対策で冬も元気に過ごそう



冬季うつは、秋から冬にかけて日照時間が短くなることが関係しています。セロトニンの増加を促したり体内時計を整えたりする生活習慣で、冬季うつ対策をしましょう。

また、生活習慣を急に変えるのは難しいという人は、専門家に相談して漢方薬を始めてみるのもおすすめです。冬季うつ対策をして、寒い季節も元気に過ごしましょう。


<参考サイト>
※1 医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター「”ウインター・ブルー(冬季うつ)” 気のせいではなかった!冬に気分が落ち込む理由とは」
※2 新潟県「【魚沼】メンタルヘルスシリーズ第6回 冬は明るく過ごしましょう-冬季うつ病について-」
※3 一般財団法人 京浜保険衛生協会「その気分の落ち込み、もしかしたら 「冬季うつ病」かもしれません」

 

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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