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「優しさには勇気が必要」新進女優アリエラ・グレイザー、初主演作『ホワイトバード はじまりのワンダー』を語る。

  • 2024.12.25

優しさには、「勇気」が必要と学んだ。

アリエラ・グレイザー|俳優

ARIELLA GLASER/アリエラ・グレイザー
2005年、イギリス生まれ。アニャ・テイラー=ジョイとロザムンド・パイク共演、マルジャン・サトラピ監督による伝記映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』(19年)でスクリーンデビュー。本作で初の主演に抜擢される。

"普通"ではない見た目で生まれるも、10歳にして勇気を出して学校に通い始めた少年オギーの物語『ワンダー 君は太陽』(2017年)は世界中で大ヒット、「勇気ある優しさは人を変えることができる」というメッセージは人々に大2017を投げかけた。『ホワイトバード はじまりのワンダー』は同じ原作者R・J・パラシオが書いたもうひとつの愛と優しさ、勇気についての小説の映画化だ。

オギーをいじめた問題児のジュリアンに、祖母サラが語る物語。アカデミー賞女優ヘレン・ミレンの若き日という大役であり、主人公に抜擢されたのが新進女優アリエラ・グレイザーだ。

「原作であるR・J・パラシオのグラフィックノベルはすでに読んでいて、『ワンダー 君は太陽』も大好きな映画だったので、最初にこの企画を聞いた時はワクワクしました。脚本を読み始めてすぐに物語に引き込まれたんです。エモーショナルで力強く、そして誠実でリアルでした。その後、監督がマーク・フォースターで、(同じ役を演じる)ヘレン・ミレンの名前聞いて、本当に興奮しました」

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© 2024 Lions Gate Films Inc. andParticipant Media, LLC. All RightsReserved.

物語は、少女時代のサラの衝撃的な体験が中心となる。1942年、第二次世界大戦下のフランス。ナチスによるユダヤ人検挙は子どもまでも対象となるが、サラは同級生のジュリアンの助けを借りて、彼の家の納屋に匿われる。祖母から孫への告白は、かつて起こった出来事を語り継ぐことの重要さも明示している。

「何か事件が起こった時、時間が経てば経つほど、その重要性が増していくと感じることがあります。私は、目をそむけたくなるような歴史的事件を、この映画を通して多くの人々、特に私と同じような若い世代に伝えたい。多くの人にとって、『いまはそんなことは起こらないだろう』と過去を置き去りにして前に進むほうが楽かもしれません。でも、当時の悲劇が起こったことはいまも火種が残っている。同じようなことが起こる可能性はまだ、存在するのです」

足が不自由が故に学校では阻害されているジュリアンから、サラは多くのことを学んでいく──。この物語は、史実を伝えること以上に重要な使命を担っている。それは人に優しくするということに、いかに勇気が必要であるか、というテーマを投げかけること。

「私は、演じたというより物語の中に飛び込んで経験した、という感じでした。正直、こんなにエモーショナルな役をやるのは怖かった。でも、監督は"君はサラという人生を生きればいいんだ"と励ましてくれ、なんとかやり遂げられました。優しさに勇気が必要だということを、身をもって学んだのです」

『ホワイトバード はじまりのワンダー』
いじめの加害者として退学処分になったジュリアンは転入した学校で居場所を見失っていた。そんな彼に画家として成功したユダヤ系フランス人の祖母サラは、1942年、ナチス占領下のパリで経験した自らの子ども時代を語りだす。『ワンダー 君は太陽』の原作者R・J・パラシオが書いた、優しさについてのもうひとつのドラマを映画化。●TOHO シネマズ シャンテほかで12月6日から全国ロードショー。

*「フィガロジャポン」2025年1月号より抜粋

photography: Joseph Sinclair styling: Aimee Croysdill hair: Sophie Sugarman makeup: Andriani Vasiliou text: Atsuko Tatsuta

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