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【嘘つきの心理学】11タイプの嘘と性格の関係を調べたら結果意外な事実が

  • 2024.12.18
嘘をつく最も一般的な理由は自分のためではなかった
嘘をつく最も一般的な理由は自分のためではなかった / Credit: pexel.com

なぜ人は嘘をつくのでしょうか。

ほとんどの人は嘘をつく動機について、己の保身や自分の非を誤魔化すために利用されると考えるかもしれません。

米セント・メリーズ大学のジェニファー・マッカーサー(Jennifer McArthur)氏らは、こうした嘘の動機が性格によって偏るのでは? と考え、嘘をつく動機を11項目洗い出し、性格特性と嘘の種類の関係性について調査してみました。

すると分析の結果、確かに性格によって嘘をつく動機に違いがあることが明らかになりましたが、そこには人がもっともよく使うタイプの嘘に関する意外な傾向が見つかったのです。

研究の詳細は、2022年3月17日に学術誌「Canadian Journal of Behavioural Science」に掲載されました。

目次

  • 嘘をつく動機は性格で変わるのか
  • 意外にも自分のための嘘をつくことは少ない

嘘をつく動機は性格で変わるのか

嘘をつく動機は性格で変わるのか
嘘をつく動機は性格で変わるのか / Credit: unsplash.com

日常生活で、誰しも一度は「嘘」をついたことがあるでしょう。

例えば、友達からの誘いを断るために「忙しい」と言ったり、同僚を気遣って「その髪型似合ってるよ」と褒めたりなど。

その嘘は必ずしも悪意があるものではなく、時には人間関係を円滑に保つための「優しい嘘」かもしれません。

一方で社会全体を揺るがすような嘘もあります。

ビジネスの場における不正広告、政治家の虚偽発言、信頼を裏切る浮気や隠し事など、嘘がもたらす影響が軽いものから深刻なものまで多岐にわたります。

しかし、これらの嘘をつく行為は一体どこから生まれてくるのでしょうか。

また人はなぜ時に自分の利益のために嘘をつき、他人のために嘘をつくのでしょうか。

その問いに対し、性格の側面から答えを出そうとした研究があります。

それは 米セント・メリーズ大学のジェニファー・マッカーサー(Jennifer McArthur)氏らの研究です。

彼らは人が嘘をつく理由を洗い出し、以下の11項目に分類しました。

  1. 否定的な評価を避けるため(試験の成績が悪かったのに、親に「平均点は取れたよ」と嘘をつく)
  2. 罰を避けるため(仕事でミスをしたが、上司に「まだ終わっていません」と誤魔化す)
  3. 自己顕示欲を高めるため(初対面の人に、自分の経験や実績を誇張して話す)
  4. 報酬を獲得するため(ボーナス目当てで上司に「プロジェクトは順調です」と嘘をつく)
  5. 衝動的な嘘(理由もなく日常的に嘘をつき、友人に「海外旅行に頻繁に行っている」と話す)
  6. 不注意からの嘘(勘違いで「会議は3時からです」と言ってしまい、その後訂正しない)
  7. 騙す喜びを得るため(友達に偽の情報を教えて驚かせ、「嘘だよ」と笑う)
  8. 秘密主義の嘘(周りに知られたくない秘密を隠すため、「仕事で忙しい」と言って友人との約束を断る)
  9. 保守的な嘘(友達が批判されている時に、「あの子はそんなことしないよ」とかばう)
  10. 社会的な嘘(友人が作った料理が美味しくないが、「とても美味しい」と伝え、場の雰囲気を壊さないようにする)
  11. 利他的な嘘(友達が先生に叱られないよう、「一緒に宿題をやった」と代わりに言う)

そして参加者に上記の11項目を見せ、どの動機に基づき嘘をついた経験があるか、またその頻度を尋ねました。

また同時に性格特性に関する質問紙に回答してもらい、嘘をつく種類や頻度と性格の関連性を分析しています。

意外にも自分のための嘘をつくことは少ない

実験の結果、参加者約77%が週に3回ほどしか嘘をついていないと回答し、残りの参加者は週に3-7回の嘘をついていると回答しました。

しかし、これらの報告は自己申告での回答に基づいているため、おそらくより高い頻度で嘘をついているものと考えられます。

また過去6カ月の間についた嘘の動機として一番多かったのが、他者を傷つけないためなどの利他的な理由でした。

その次が秘密にするため、否定的な評価を避けるためと続きました。

嘘の動機として一番多かったのが、他者を傷つけないためなどの利他的な理由だった。
嘘の動機として一番多かったのが、他者を傷つけないためなどの利他的な理由だった。 / Crerdit: Jennifer, et al. (2022).

さて、性格と嘘の種類の関係性についてはどのような結果が出たのでしょうか。

まず真面目な人は道徳心や責任感が強く、嘘をつく頻度が少ない傾向がありました。

おそらく真面目な人は、約束を守ることや正直でいることを大切にするため、隠し事やごまかしをしないよう心がけることが多いようです。

一方で心配性な人や協調性が高い人は、気まずい状況を避けるために嘘をつくことが多いことが分かりました。

読者の皆さんも、友人からの誘いを断りづらく、「忙しいから行けない」と嘘をついてしまうことがあるでしょう。

心配性な人や協調性が高い人は、特にこの傾向が強いようです。

また、外向性が高い人は、衝動的な嘘や他人から肯定的な印象を得たいという思いから嘘をつく傾向があります。

これは自分の実績や経験を少し誇張して話すことで、会話を盛り上げたり、他者から注目されたいと感じることがあるということでしょう。

最後に創造性の高い人は、他人の気持ちを重んじる傾向が強く、思いやりや配慮から嘘をつくことが多いことが分かりました。

人は時に自分を守るため、そして他人を思いやるために嘘をつきます。

嘘をつく行為は必ずしも悪意に基づくものではなく、時には優しさや配慮の現れでもあることを忘れてはいけません。

この研究の結果からも、人は利他的な理由から嘘をつくことが最も多く、悪意を持って相手に嘘をつくことのが意外にも少ないことが分かるでしょう。

嘘の「種類」と「動機」に注目し、日常のコミュニケーションを振り返ってみてはどうでしょうか。

嘘との向き合い方を見つめ直すことで、より良いコミュニケーションや信頼関係を築く一歩につながるかもしれません。

参考文献

What Do Your Lies Say About Your Personality?
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/the-teen-doctor/202307/what-do-your-lies-say-about-your-personality

Research Reveals the Most Common Reasons People Lie
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/finding-a-new-home/202207/research-reveals-the-most-common-reasons-people-lie

元論文

Lying motivations:Exploring personality correlates of lying and motivations to lie.
https://psycnet.apa.org/record/2022-44652-001

ライター

AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしていました。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。

編集者

ナゾロジー 編集部

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