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2024-2025年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」ホンダ「フリード」の魅力とは

  • 2024.12.18

カーライフその先の未来へ

九島辰也連載 カーオブザイヤー<br />
九島辰也連載 カーオブザイヤー

自動車メディアを選考委員によって選ばれる、今年の受賞車

 

年末になるとその年を総括したくなるのは人の常だろう。TVでも毎年この時期になるとそんなニュースや催し物を伝えている。自動車業界もそうで、先日日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会が行われた。私はそこで選考委員をつとめている。

 

この賞は、毎年その年を代表する新型車を選出するもので、まずは10台を選びそこから大賞を決める。国産車がトップ当選すればそれが“イヤーカー”となり、輸入車の中で一番得点を集めたものが“インポートカー・オブ・ザ・イヤー”となる。
輸入車がトップの場合はそれが“イヤーカー”で、“インポートカー・オブ・ザ・イヤー”は設定されない。過去ボルボXC40やXC60、VWゴルフがそれに該当した。日本で行われる賞だからとはいっても、輸入車が大賞を受賞することはある。
海外の同様のアワードを見てもそれは同じで、彼らにとっての輸入車が受賞するのは珍しいことではない。

ホンダフリード
今年の一台に選ばれた「ホンダ フリード」

では「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」となる今年はどうだったか。大賞はホンダ・フリード、インポートカー・オブ・ザ・イヤーはMINIクーパーとなった。大賞を最後まで争ったのはフリードとマツダCX-80。思いのほか僅差だった。MINIクーパーはその後に続く総合三位となる。

ホンダ・フリードは確かにいいクルマだ。かつてTVCMでも使われたキャッチフレーズ「ちょうどいい」は今も生きていて、サイズはまさにそんな感じ。使い勝手は良くユーティリティがあるので荷物や人を無理なく乗せられ、かつホンダらしい気持ちのいいハンドリングも同時に楽しめるようになっている。ミニバンとは思えない運動神経の持ち主だ。それにデザインも悪くない。細い目のようなヘッドライトはクールで都会的。デザインセンスの高さが窺える。

そういえば、二位となったマツダCX-80もデザイン性が高いことで定評がある。こちらはラージサイズのラグジュアリーSUVで、それを見事に具現化した。この辺のモデルを見ていると国産メーカーのデザインクオリティが上がっているのがわかる。

マツダ CX-80
2位となった「マツダ CX-80」

デザイン性と機能性、継承と進化、何を重視するのか

 

とはいえ、今年個人的に推していたのはMINIクーパーで、このクルマはより万能に思える。ゴーカートライクな走りとBEVへの挑戦、それとデザインはひとつ頭を抜いている気がする。というのも、伝統を守った上でのデザイン進化は難しいとされるからだ。MINIもそうだし、フィアット500なんかもそう。フェアレディZもその類に入る。S30系と呼ばれる初代モデルの完成度の高さから、いつの世代もその呪縛から逃れられない。7世代目となる現行型がその最たるものだが、彼らはそれを上手に利用して人気者に仕上げた。まったく新しいものを生み出す苦労もそうだが、こうした自分たちの軌跡との戦いもデザイン面を評価する良き観点だと思う。

MINI ウーパー
3位の「MINI クーパー」

「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」のアワードはその他にデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーとテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーの2つの賞典が用意された。前者は三菱トライトン、後者はホンダCR-Vに搭載されるe:FCEVがそれぞれ受賞した。e:FCEVは水素を使った電気自動車でありながら外部充電を可能にすることで実用性を高めた技術である。

 

以上が今年の概要だが、ユニークだったのは最終選考前に残った10台がじつにバラエティに富んでいたこと。コンパクトハッチバックやミニバンもあれば、大型SUVやピックアップトラックまで顔を並べた。それに韓国や中国のモデルまでいる。

 

こういったモデルが顔を連ねているのはまさに時代だ。90年代や2000年代初頭までは大型SUVやピックアップトラックなどはあり得なかったと思う。これぞ多様性。あらためて10台を見つめ直すと、今後こういった光景が増えていくのかもしれないと感じた。

九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2024-2025日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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