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就寝前の“だらだらスマホ” 実はうつ病の危険サイン 精神科専門医に聞いた解決法

  • 2024.12.17
就寝前にダラダラとスマホを操作してしまうのはなぜ?
就寝前にダラダラとスマホを操作してしまうのはなぜ?

就寝前についダラダラとスマホやタブレットを操作し、ニュースサイトや動画などを見続けてしまうことはありませんか。この場合、どのような心理的原因が考えられるのでしょうか。就寝前にスマホやタブレットをダラダラと操作し続けるのをやめるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

スマホを触らない時間を作る

Q.そもそも、夜にスマホやタブレットを操作し続けた場合、心身にどのような影響が生じる可能性があるのでしょうか。

田中さん「夜間にダラダラとスマホで動画を見続けたり、ゲームをし続けたりした結果、首とか腕とか痛くなってきて『ヤバい!こんなにダラダラしちゃってた』と気付くことはよくありますよね。

そもそも没頭、無我夢中の状態になれるのは、仕事や勉強などをやり遂げるために人間に備わった能力なのですが、それがわれを忘れて非生産的なことにのめり込んでしまうとなると、さまざまな問題が生じることになります。

例えば、寝付けない、変な夢ばかり見る、眠りが浅いなどの身体的な問題が見られるほか、心理的には、『よくないと分かっていても、ついスマホを見たり、ゲームをやったりしてしまう』という悪循環が見られます」

Q.いけないとは分かっていても、つい夜にスマホやタブレットをダラダラと操作し、ニュースサイトや動画などを見続けてしまうことがあります。この場合、どのような心理的な原因が考えられるのでしょうか。

田中さん「この『分かっていても、つい』という行動は、ほんの数日程度のことであれば、何らかのストレスによって不快な気分や疲れ、怒りなどの心理的原因があり、それらを発散しようとして起こるでしょう。

しかし、そうした行動が習慣化する場合には、さまざまな依存症とも関連する脳内の神経回路が形成、強化されるのではないかと考えられています。

つまり、『分かっていても、つい』という行動は、最初は心理的なストレス発散であったものが、徐々に習慣化し、脳の働きによって『行動の自動化』に至るのです」

Q.夜にスマホやタブレットをダラダラと操作してしまう行為が依存症に発展してしまうことはあるのでしょうか。また、そのような行為をやめるにはどうしたらよいのでしょうか。

田中さん「どのくらいそうした行動を続けたら依存症の状態となるのか、いまだによく分かっていません。恐らく行動の内容や種類によっても違うでしょう。いずれにしても、その行動を習慣化(自動化)させないように、意識的に別の行動に置き換えて離脱を図ることが重要です。

具体的には、『〇時以降はスマホやタブレットの電源を完全オフにする』『休日はオフラインにする』などですが、『それができるくらいならとっくにやめられているよ』という人のために、次の方法を提案したいと思います。

それは、数分間~数十分の間、スマホやタブレットを触らない時間を作ることです。例えば、『食事中はスマホを触らない』『トイレや浴室にはタブレットを持って行かない』『ベッドや布団の上ではスマホやタブレットを触らない』『駅に入ったら(電車に乗ったら)スマホやタブレットはポケットやカバンにしまう』などです。かなり強めに意識しないといけませんが、別の行動に置き換えるための訓練だと思ってやってみましょう。

そうすることで自然と食事や会話を味わったり、お風呂でゆっくりマッサージしたり、寝る前に軽いストレッチをしたり、電車で外の景色を眺めたりできるようになってくると思います」

Q.夜間にスマホやタブレットを長時間操作するのをどうしてもやめられない場合、うつの可能性はあるのでしょうか。この場合、どのように対処する必要があるのでしょうか。

田中さん「先述のように不快な気分や疲れ、怒りなどを発散しようとして夜にスマホやタブレットを長時間触るのはストレス発散の意味がありますが、数週間、数カ月もやめられないときは、心身のストレス反応やうつ状態(適応障害)を発症しかけているかもしれません。

寝付けない、眠りが浅いといった睡眠の問題以外にも、『イライラして物に当たる』『会食が楽しめなくなった』『仕事をため込みがちになって滞っている』『ふと気付いたら泣いている』などの状態に陥った場合は、ぜひメンタルクリニックを予約して受診してください。まずは漢方薬などで心身のストレス反応を軽減させるとよいと思います。

それに加えて、先述の方法でスマホやタブレットからの離脱と別のストレス発散法の発見にも取り組んでみてください」

オトナンサー編集部

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