ガイ・ピアースが、クリストファー・ノーラン監督の長編2作目『メメント』(2000)に主演して以降、同監督の作品に出演していない理由を明かした。妻を亡くしたうえ記憶を10分しか保てない前向性健忘症を患いながらも、犯人捜しをする主人公を時系列を逆転させて描いたミステリースリラーの本作は大ヒットを記録し、アカデミー賞脚本賞および編集賞にノミネートされた。
お気に入りの俳優を何度もキャスティングすることで知られるノーラン監督は、『インソムニア』以降の作品をワーナー・ブラザースの配給で発表し、『インセプション』や『ダークナイト』三部作など、大ヒット映画を次々と世に送り出してきた。だが、ガイは一つも出演していない事情を『ヴァニティ・フェア』のインタビューで、こう語った。
「彼とはあの後も役柄について何度か話をしました。『バットマン』の第1弾や『プレステージ』です。だけど、『ガイ・ピアースは理解できない。この後も絶対起用しないし、雇わない』と公言するワーナー・ブラザースの重役が一人いたんです」「ある意味、知っておいて良かったです。そりが合わない俳優がいるのは当然です。でもこの場合、クリスと二度と仕事ができないことを意味したんです」
ガイによると、ワーナー・ブラザースのある重役が「俳優としての彼を信じなかった」ため、彼をノーラン監督作品からブロックしたそうだ。『バットマン・ビギンズ』では、後にリーアム・ニーソンが演じたラーズ・アル・グール役のために、監督がガイをロンドンまで呼び寄せたにもかかわらずだ。
「リーアム・ニーソンが演じた役どころのためにロンドンに呼ばれました。おそらく飛行機に乗っている間、僕を起用しないことが決まったんだと思う。向こうに着くと、クリスから軽い口調で『バットモービルを見て、ディナーでもどう?』と言われたんです」と振り返る。
そん苦い思いをしたが、彼はブラディ・コーベット監督の最新作『ブルータリスト』で高い評価を受け、アカデミー賞助演男優賞候補との呼び声が高い。またノーラン監督も、2020年の『テネット』を最後にワーナー・ブラザースと決別し、悲願のオスカーを手にした『オッペンハイマー』をユニバーサル・ピクチャーズで製作。この後、マット・デイモンやトム・ホランド、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロン、アン・ハサウェイら出演の最新作も、同スタジオから2026年に公開予定だ。
Text: Tae Terai
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