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意外と知られていない、ママが与える胎児・新生児への影響【 “眠れない” ママたちへ Vol.1】

  • 2016.4.4
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妊娠・出産は人生の大きなライフイベント。自分自身の心身健康維持のためにはもちろん、ママとして、生まれてくる赤ちゃんを守るために知っておきたいことや実践すべきことは山ほどあると思います。なかでも、命が宿った瞬間から人生最後の瞬間まで私達の人生と切っても切り離せない習慣である「睡眠」に関しては、身体・心・脳へ与える影響が非常に大きいことが明らかになっているのです。

また、出産の高齢化や勤労妊婦の増加により、今後ますます妊婦期から出産・育児を支える正しい睡眠情報が求められると考えられています。

■母体の睡眠リズム乱れは、胎児にも影響が

現代の24時間社会は夜型人間を生み出す社会でもありますが、すき好んで一晩中起きている人だけではありません。労働環境的に夜間起きていることを強いられている方も少なくないのです。

実際、厚生労働省が実施する労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)と総務省が実施する労働力調査を基に、産業医科大学医学部公衆衛生学の久保先生が行った深夜交代制勤務者数(2014)の推計では、平成9年で13.3%、平成19年で17.9%、平成24年で21.8%と一貫して増加していることが分かっています。

しかし、公益財団法人精神・神経科学振興財団、睡眠健康推進機構機構長大川匡子先生の「胎児・新生児の眠りの発達」によると、母体の睡眠リズムは胎児に伝わり、胎児に影響を及ぼすという驚きの研究結果が報告されているのです。

妊娠中に夜間勤務を行う看護師や、勤務中に時座ボケを体験する国際線の客室乗務員ではサーカディアンリズム(生体時計)が乱れ、出生時の赤ちゃんの体重減少や、早産になる可能性が増えたり、また流産しやすくなるということも指摘されており、いかに妊娠中から睡眠覚醒のリズムを整えておくことが重要か理解できます。

■母乳にも含まれる 快眠ホルモン「メラトニン」

さらに、授乳も新生児の生体時計に影響を与える要素であるという研究報告も。

通常、夜になると脳の中で夜の快眠を促すホルモンのメラトニン、別名「睡眠ホルモン」が分泌されるのですが、これは母乳にも含まれているため、「メラトニン」がたっぷりと含まれたお母さんの母乳を飲んで育った新生児は、ミルクで育てられた新生児よりも、夜間の睡眠が促進されることが明らかになりました。

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不規則な生活リズムが胎児に悪影響を及ぼすと理解したところで、いきなり労働環境を変えるということは非現実的なことかと思います。とはいえ、大事な命を育むことは本来母親1人だけの責任や役割ではなく、家族はもちろん、社会全体で取り組むべきことなので、ひとりで抱え込まず助けや支えが必要なときは思い切って声をあげましょう。

少し勇気がいることかと思いますが、そういった声のひとつひとつが、未来の妊婦さんが安心して働ける・出産できる・子育てできる社会の実現につながると思っています。

(友野なお)

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