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メンバーシップ型からジョブ型へ、移行期に考えるキャリア形成とは

  • 2024.12.17

メンバーシップ型からジョブ型へ。移行期に求められるキャリア戦略とは?

出典:シティリビングWeb

突然ですが日本企業の人事制度の伝統的スタンダードは何かご存じでしょうか?

「終身雇用制度」「新卒一括採用」「年功序列」「企業内労働組合」「定期人事異動」ですね。

働く私たちが、新卒で入社した会社に定年まで勤めあげる「内部労働市場」でのキャリアを離れ、転職する場合「外部労働市場」で自分自身の労働者としての市場価値を探りつつ、他社へ移るというキャリア形成の道を歩むことになります。労働市場という仕組み、原理が働いているので、学歴の次に職歴が非常に重要なファクターとなっています。

出典:シティリビングWeb
プロフィール/西村麗子

フリーキャリアカウンセラー。著述家。

Association of Research for Career & Art (通称:アルカ)代表。

愛知県出身。大学卒業後、人材総合会社を経て独立。名古屋大学・名古屋市立大学元非常勤講師。延べ3000人を超える個人カウンセリングや、大学・企業・NPO・地域コミュニティでの300回以上の研修・講演・講義の登壇実績を持つ、多様な人の生き方・働き方を支援するキャリア支援のプロフェッショナル。近著に「自分らしいキャリアを拓く羅針盤」「宇宙一楽しい発達凸凹ちゃんの育児ソリューション」

「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へ

日本企業の雇用制度は、人に対して職務を付与する「メンバーシップ型雇用と」言われてきましたが、欧米などでは職務に対して人をあてがうジョブ型雇用が一般的です。

所属する組織の雇用制度によって、この仕組みの差に戸惑う転職者の方が多くいらっしゃるのが現実です。

令和の時代、どちらがスタンダードとははっきり言えませんが、ジョブ型雇用が主流にはなってきています。日本という独立した島国でのスタンダードは、世界標準から見ればガラパゴスと言われてしまいながらも平成の30年間を経て今なお変化の途上にあります。この現実が「課題」となって、イノベーションの阻害、経済成長の鈍化、働く労働者の閉塞感などを生み出しているため、社会全体がなんとなく行き詰まっているように思えてなりません。

この行き詰まり感を払拭するための考え方として、これまでが特別だったわけですから、私たちは一人ひとりが世界標準に目を向けていけばいいわけです。メンバーシップ型雇用の良いところを残しつつ、ジョブ型雇用での働き方に転換していく移行期がまさに令和の今なのです。

公平な社会への挑戦。一人ひとりの力が未来を変える

ここで問題となってくるのが、社員と外部人材との軋轢やチーム作りです。男女格差のみならず、正規と非正規の格差のように、社員と外部人材との差は簡単に埋められるものではありません。転職も一般的になってきた日本ではありますが、一人で生きていくことはできないため、各所でOne for all、All for one(ワンフォーオール、オールフォーワン)の実現は期待されています。口で言うほど簡単ではありませんが、目指すべき目標として掲げるにはとても大切なチームビルディングの基本中の基本です。

各社、各業界ごとに再構築している人事制度、人事評価、配置換えや転退職の勧告、その他施策について、個々の労使関係がどう変化していくのか注視していく必要がありますね。注意しなければならないことは、雇う側と雇われる側とでは、圧倒的に雇う側が強者であるということです。出来る限り公平で中立的な労使妥協を実現するべく労働組合なども本来はもっと活発に声をあげなければならないのですが、その力を失って久しい現実も見え隠れしています。一人の力は小さくありません。おかしいな、待遇改善が必要だな、自分自身が軽んじられているのではないか、様々な疑問が浮かぶのであれば、理論武装、知識武装をし、小さくても声をあげてみることが必要な時期かもしれません。

政府や自治体が様々なサポートや補助、助成などに取り組んでいます。法改正や制度改正なども施策として多方面から検討が進められています。どの立場で考えるかにもよりますが、一人の人間としての基本的な人権、生活を守りつつ、よりよい社会の実現に向けた権利の主張、権利の行使も場合によっては必要なこともあるでしょう。法的に働く人を守る仕組みが整っている日本に暮らす一人のビジネスパーソンとして、少しでも公正で平和な社会の実現を願っています。

今年一年もお疲れさまでした!と申し上げて筆をおきます。皆様、良いお年をお迎えください。

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