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改姓したくない女を嫁にもらっても幸せになれないとでも言うのか

  • 2024.12.17

「受け入れられない」「純粋な気持ちでお祝いできない」「あなたに幸せになってほしいから言ってる」

これらはすべて、私が改姓したがらないことに対して婚約者が親戚から言われた言葉だ。

◎ ◎

全国に800人ほどしかいない珍しい名字の私。そんな名字を気に入っており、将来結婚したとしても変えたくないと中学生の頃くらいから言い続けていた。自分が結婚するころには別姓が認められているといいなという希望もむなしく、状況は未だに変わらない。選択的夫婦別姓に前向きな首相候補がいると知り期待したのもつかの間、結局就任したとたんに検討という名の先送りを始めてがっくりきた。期待なんてしてもしょうがないかと思ったが、この件に限らず一国民にそんなことを思わせる政治というのは本当にどうなのか。

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話を戻す。議論が一向に進まないままの社会で、自分が結婚するという時が来た。相手には、名字を変えたくないと思っている話はかなり早い段階でしていた。それもあってか、彼は私の思いを理解してくれたし自分が変えてもいいとも言ってくれた。思ったよりもスムーズで、これで丸く収まるかと思いきや現実はそう甘くなかった。

彼は九州出身の長男だ。自分の友人知人と結婚後の姓の話になり、相手のこの属性を告げるともれなく「あ~……」という反応になる。皆の期待は悪い意味で裏切られなかった。私が名字を変えたくないと主張していることについて、彼の両親以上に親戚がかなり厳しい目を向けたようだ。もっとも、私の姓にしてくれという話ではなく選択的夫婦別姓が認められるまで事実婚夫婦として別姓でいようというだけの話なのだが、それでもだった。

彼の母親もずっと「寂しいから改姓しないで」のようなことを言っていた。もちろん私の前でではなく、本人に対してのみだ。当の本人は、親子関係が変わるわけじゃないんだから別にいいだろうと軽く受け流していた。そして彼がこの件で母親と電話しているところを聞いてしまい、それが冒頭のような内容だった。覚悟をしていたとはいえ、さすがにへこんだ。

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もしかしたら何かがうまく伝わらず、私が彼に改姓してほしいと言っている体になっているのかもしれない。そして親戚としか聞いていないので、具体的に誰が言っているのかまではわからない。それでも、リアルな意見として突きつけられるとこれが現実かと思ったし、幸せになってほしいから言っているというのに至っては、あれこれ邪推してやりきれない思いでいっぱいになっていた。名字を変えることもできないような女を嫁にもらっても幸せになれないとでも言うのだろうか。彼に幸せになってほしい親心は当然のことだと思うが、その彼が一緒になりたいと選んでくれたのが名字を変えたくない私なのだが。幸せってなんだ、本人以外が決めるものなのか???

本人だけの問題ではなく、家のこともあるというのも理解できる。でも名字が大切なのはどちらにとっても同じはず。彼本人も「言わせておけ」「結局どうしたのかなんて、本当のことを知られはしない」というスタンスで、親族の矢面に立ってくれているので本当にありがたい。そんな相手だから結婚を決めたとはいえ、私の我儘と言われてしまえばそれまでなので、申し訳ない気持ちがないわけではない。でも、譲れない。そんなわけで、私たち2人の間では「当面婚姻届は出さない。指輪も買ったし式もやるけど、夫婦別姓が認められるなり子供ができるなりで状況が変わらない限りは事実婚で何も問題はなし。以上!」としている。

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かつての私は、相手と名字の問題で折り合いがつかなかったら別れるとまで言ったし、本気でそう思っていた。でもこの年になって結婚について本気で考えて、やっぱり自分は誰かと一緒に生きていきたいと思っていることに改めて気づいた。その相手として今のパートナーがベストであると思っているし、これは相手を変えたところでついて回る問題ではあるので、向き合うべき時が来たのだと思った。

■anchanのプロフィール
チョコとバレーと、それから自然。 真面目、エネルギッシュ、現実主義たまにロマンチスト。

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