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猫を撫でると幸せホルモン。「王子様と王様」なしでは生きていけない

  • 2024.12.17

どんな悲しみも煌めきへと。

そうやって悲しみの底に浸っているときに、私は必死に自分へ言い聞かせている。ごきげんでいられる時間って、少ないから貴重である。それでも人任せに幸せになりたい、という価値観を捨てようと決意した今、なるべく毎日ごきげんでいたいと思うのだ。さらには、自分だけの力で悲しみを潜り抜けるために、自分のごきげんは自分でとってみせる。そんな信念みたいなものが、今の私には必要なのかもしれない。

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とてもシビアな現実だけれど、この世で生きている限り、嬉しいことよりも悲しいことのほうが多い。その代わりに、苦しいことを乗り越えた先にこそ喜びの海が広がっているのだと、最近になって感じている。その喜びの海に出会うのは、私にとってもう少し先のことで、そこにたどり着くまでは、どんな悲しみも煌めきへと、変わっていく。そう信じて、日々を懸命に生きていきたいものだ。

そんな目標を抱きながらも、最大の癒しは音楽と猫である。音楽はいつだって心を豊かにしてくれる。猫は常に肌と肌が触れあうくらいの一番近い距離にい続けて、寄り添ってくれるのだ。いつも、うちのネコちゃんはグルーミングをしているので毛並みは艶々だし、撫でるだけで幸せホルモンが分泌されるという研究結果があるそうだが、本当にその通りだなあと、猫と暮らしてみて納得しているところだ。

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ユーチューブが自動的によく聴く音楽を集めて作成したプレイリストを再生しながら、猫ちゃんの身体を撫でまくる。それをひたすら繰り返しているうちに、私は何の違和感もなく幸福へと導かれていくのだ。これは不思議なほどシンプルであるけれど、心と身体がしっとり優しくなっていくようで、私にとっては最幸のひとときである。

特に今は、音楽ひとつとっても、心拍数と等しく生きるという営みそのものを直接支える軸だと感じることが多い。そのなかでも王子様と王様が奏でる音楽は、必ず自分をごきげんにさせてくれる。この王子様と王様というのは、そのアーティスト名を訳したものをそのまま表しているので、私と同じようなファンの方は、ピンとくるかもしれない。若干25歳の彼らが紡ぐ、魔法で彩られた最上級の音楽と、歌声。これがないと生きていけません!と言い切れるくらい、本当に大きな支えだと思う。もしも、こうした声が彼らに届いたら、またそれを栄養にして音楽を生み出してくれるのかなと、いつもニューアルバムを聴きながら、勝手に想像を膨らませているものだ。

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そんな王子様と王様が生きている時代に生まれて良かった、と私は心から思っている。勝手に体が揺れ動いてしまうほど鼻歌まじりで幸せを抱きたいときよりも、辛いときに直接寄り添ってくれる人とは少し距離はあるかもしれないが、彼らの音楽が距離なんてない、と思わせてくれるのだ。本当に、なんて素晴らしいのだろう。そう考えて文章を綴っている今も、自分をごきげんにさせているに違いない。

だから、もちろん、文章を書くことも私にとって誰かが味方してくれているような、心強さに包まれる瞬間である。何か強いパワーのような、守り神が自分に宿ったような。そんな何とも言えない神々しい感覚に包まれていると言えるほど、自分を逞しくさせてくれるのだ。自分は誰かに守られている、と感じたとき、気づけばごきげんになっていて、どんな悲しみも晴れやかに見えてくる。ぼやけていた視界が次第にすっきりと晴れていく。そんな瞬間を自分で演出するということは簡単なことではないけれど、その手段を沢山知っていれば、きっと恵まれていくのだろう。軽やかに幸せを呼び起こす。そのためのアクションが、私をごきげんにさせてくれるのだった。

■真桜のプロフィール
恋愛の神様、北川悦吏子先生に憧れながら、小説やエッセイを執筆しています。

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