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あいはら友子さん×西岡德馬さん対談「人間関係が育む、健やかな人生」

  • 2024.12.16
あいはら友子さんと西岡德馬さんが対談 撮影/大森忠明
あいはら友子さんと西岡德馬さんが対談 撮影/大森忠明

家庭、職場…さまざまなシーンでよい人間関係を築くには、どういった心がけが必要なのでしょう。厳しい芸能界を生き抜いてきた人生の先輩の話には、多くのヒントが詰まっていました。俳優で日本画家の、あいはら友子さんと、俳優の西岡德馬さんが、健やかな人生を送るためのポイントを語ってくれました。

* * *

▶対談したのは

あいはら友子さん

俳優、日本画家。NHK連続テレビ小説のヒロインとして1978年俳優デビュー。キャスターとしても活躍し、講演もこなすなどマルチに活動。10月30日~11月4日(青森県青森市・さくら野百貨店青森本店)にあいはら友子絵画展を開催。

西岡德馬さん

俳優。1970~79年に劇団文学座に在籍し、多くの舞台で活躍。その後はドラマ、映画などでも幅広く活動し、近年はバラエティー番組にも出演し、ユーモアあふれる人柄も広く知られる。2020年には、芸能生活50周年記念シングル「だろ?」で歌手としてもデビュー。12月4~22日公演の舞台『応天の門』(明治座)に出演予定。

「大切にしているのは人との距離感」(あいはら)

あいはら友子さん 撮影/大森忠明
あいはら友子さん 撮影/大森忠明

あいはら 西岡さんは、ご自身を取り巻く人間関係をどう捉えていらっしゃいますか?

西岡 僕は引き寄せの法則を信じてるんです。自分の志が低いと、同じように低い人が寄ってくる。周りに来る人の志の高さが自分の志のレベルを表わしていると思っています。

あいはら なるほど。心理学を勉強しているんですが、人生における悩みのほとんどは人間関係によるものだと感じます。対人関係で大切にしていることはありますか?

西岡 winwinになる関係をつくるのが一番だと思っています。片方だけがよい関係は長続きしないので。家族、仲間、仕事関係者すべてにおいて、相手が何を求めているかを察知するのも大事ですね。われわれは、向こうから来る仕事を受ける立場。突拍子もない話が来ることもあるけど、もしかしたらこういう意図で僕にやらせたいのかな、という視点で捉えることにしています。実はそういう要素が僕に内在しているのかな、と自分に対する興味も湧いて、ふだんはやらないジャンルの仕事を受けることも。せっかく生を受けて存在しているんだから、限られた人生はやりきって終えたいので、日々チャレンジです。あと大切にしているのは、ありがとうとごめんなさいをちゃんということ。さらには、ありがとうといわれることをどれだけできるかも大事だと思っています。あいはらさんが大切にしているのは?

あいはら 思いやりと秩序、和、やさしさです。あとは距離感ですね。節度を持って、近づき過ぎないよう配慮しています。西岡さんにはかなり近づいてますが(笑)。つい頼りにしちゃうんですよね。

西岡 ありがとうございます(笑)。

あいはら 友人や夫婦、親子などの近しい人と、よりよい関係を築くための秘訣は何かありますか? 私は、身内にこそわがままを出さないよう気をつけています。

西岡 まさに、節度ある距離感ですね。心も頭もすべて誰かと一心同体とはいかないですよね。人間は誰しも「個」なので、頼り過ぎず自分の問題は自分一人で解決しなければならないときもある。それを忘れちゃいけないと思います。

考え方や気持ちがすべて一致する人なんていない

西岡德馬さん 撮影/大森忠明
西岡德馬さん 撮影/大森忠明

あいはら 過去に人間関係で悩んだことはありますか?

西岡 一度結婚に失敗してるんですが、そのときかな。娘がまだ小さくて、できれば別れたくなかったので悩みましたね。でもそれ以外は、人間関係でもめたことはないです。

あいはら 私はアーチェリーで日本新記録を出して大学日本一を目指すメンバーに選ばれた際、選出されなかった仲間に気を遣った時のことが忘れられないですね。

西岡 それは気を遣いますね。僕はおやじに「義を見てせざるは勇なきなり」(「困っている人がいたら、見て見ぬふりをするのではなく、手を差し伸べる人こそが勇気ある人」という意味の論語)と育てられたので、弟がいじめられたらやり返しに行ってましたね(笑)。

あいはら 私もいじめを見かけると、助けに行きたくなります。ところで、ほかの人と意見が合わない場合はどう対応していますか?

西岡 意見が合わないことなんて、いっぱいあると思うんですよ。まずは自分の主張はせず、とことん相手の話を聞くこと。その上で自分のほうが正しいと思ったら、「僕はこう思う」と伝えて、じゃあどうしようかと話し合います。

あいはら 相手の話を聞くのは、本当に大事ですね。私は意見が合わない場合は、五分五分だと思って譲り合いを心がけています。西岡さんって苦手な人はいますか?

西岡 自分の利益のためだけに近づいてくる人、自己主張がやたら強い人。でもやがては去っていくので、自然の流れに任せています。

あいはら そういう人とどうしてもつきあわなければならないとき、どう接していますか?

西岡 どんなに嫌なやつでも、何かいいところがあるんじゃないかな、と長所を探します。だからもめ事になることはまずない。不思議なことに、てんびん座だからか仲裁を頼まれるなど人の仲を取り持つことが多いんですよ。大体うまくまとまる。もめ事を収めるのは得意みたいです。

「態度やことばは全部はね返ってくる」(西岡)

あいはら友子作「赤富士に鳳凰」 撮影/大森忠明
あいはら友子作「赤富士に鳳凰」 撮影/大森忠明

あいはら 人間関係がうまくいかなくて悩んでいる人へのアドバイスは、何かありますか?

西岡 まず問いたいのは、「あなたはその相手を必死に愛しましたか? もらうことばかり求めていませんか?」ということ。結構多いんですよ、「これだけやったのに何もしてもらっていない」と見返りを求めている人が。こっちから能動的に働きかけず、文句ばかりいっていてもしかたないですから。愛し方が足りないんじゃないかな?と振り返ることも大事です。

あいはら 「嫌われてる」「仲間外れにされてる」と被害妄想する人もいますが、そういう前に自分が相手を愛することが大切ですね。

西岡 自分の態度・ことばは反射して返ってくるもの。嫌なことが起きたら、自分がそうさせる部分が何かあったんだろうな、自分に間違いがあったのかもしれないな、と思ったほうがいい。思う以上に、想念は反射するんですよ。あいはらさんが描かれたこの「赤富士に鳳凰(ほうおう)」という絵、すばらしいですね。

あいはら 赤富士は縁起がいいですから。やさしい人ほど運気が上がるので、鳳凰が表わすようなやさしいイメージで描きました。縁がある人を大事にしたいという思いを込めて、絵の上部に結び目を。

西岡 結ばれるご縁をイメージしたんですね。すてきです。

* * *

「自分の態度は反射して返ってくる」ということばはドキッとしますね。相手に求める前にまず与える、というポイントが大事ということを教えてくださいました。

撮影/大森忠明 取材・文/長田由香 ヘア&メイク/白土和恵

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