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紫式部『源氏物語 三十八帖 鈴虫』あらすじ紹介。出家をした女三の宮と出家を望む秋好中宮。結婚、不倫、女の幸せって…?

  • 2024.12.15

古典文学の名著『源氏物語』を読んだことはありますか。教科書に掲載されていたり、作者・紫式部の人生がドラマ化されたりして、興味がある方も多いかもしれません。どんな物語なのかを知ることができるよう、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第38章『鈴虫(すずむし)』をご紹介します。

『源氏物語 鈴虫』の作品解説

『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。

出家後の女三の宮と、出家を望む秋好中宮が主人公の『鈴虫』の章では、違う人生を歩む2人の女性が描かれています。帝の愛娘として可愛がられて育ち、源氏の妻になったが、密通の罪に思い悩んで出家をする女三の宮と、六条御息所の娘で、母の死後は源氏の養女となり、冷泉院の后として仲睦まじく暮らす秋好中宮です。幸せそうに見える秋好中宮は、母の怨霊の供養のため出家したいと思い悩み、女三の宮は出家すると、それまでの幼稚さが消え仏道に励みます。“幸せの形はひとそれぞれ”というのは千年前から変わらない真理なのかもしれません。

これまでのあらすじ

柏木が亡くなって1年が経った。源氏は女三の宮を出家後もこまやかに世話を続けた。1歳を過ぎた薫(柏木と女三の宮の子)を源氏は実の子として可愛がった。夕霧は、柏木の遺言通り、未亡人となった落葉の宮を度々見舞ううち、落葉の宮に惹かれていった。夕霧の妻・雲居雁は、夕霧の浮気心を知り、夜遅くに浮ついて帰ってきた夫に皮肉を言った。

『源氏物語 鈴虫』の主な登場人物

光源氏:50歳。正妻として迎え入れた女三の宮の出家を許す。 女三の宮:24〜25歳。柏木との不義密通の罪に苛まれ出家した。 薫:3歳。源氏と女三の宮の子として生まれるが、実の父は柏木。 夕霧:29歳。源氏の息子。故柏木の妻・落葉の宮に恋心を抱く。 秋好中宮:41歳。冷泉院の后。故六条御息所の娘。

『源氏物語 鈴虫』のあらすじ

夏、蓮の花盛りの中、女三の宮の持仏開眼供養(仏像などに魂を入れる法要)が催された。源氏は仏具類を華やかに整えるのはもちろんのこと、集まった女房たちに心得を説き心配りを尽くした。親王や六条院の人々も競うように見事な捧げものを贈った。源氏は尼姿となった女三の宮に対し、出家する前より愛情を注ぎ、愛を語ることもしばしばだった。六条院に住まわせ身の回りの世話を続けていたが、女三の宮が朱雀院から受け継いだ三条宮の邸を美しく手入れし、宝物などを移していった。

秋になり、十五夜の夜に女三の宮が勤行に励んでいると、いつものように女三の宮を源氏が訪ねてきた。鈴虫の鳴き声を聞きながら源氏が琴を弾いていると、兵部卿宮や夕霧たちが集まってきて琴を合わせ、鈴虫の宴が始まった。

この場に柏木がいないことが悲しく、源氏は追憶の涙を流した。しばらく興じていると、冷泉院から誘いがあり、一同はそろって参内し、明け方まで詩歌や管弦の遊びを楽しんだ。その帰り源氏は、冷泉院の后・秋好中宮を訪ねた。中宮は母・故六条御息所が成仏できないまま物の怪となり人に疎まれているということを聞き、その供養のために出家をしたいと打ち明ける。源氏は中宮を諫めて出家をとどまらせ、六条御息所の改めての供養を勧めた。

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