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【冬のガーデニング】定番花パンジー&ストックで栽培上手を目指そう!

  • 2024.12.16

皆さんが冬に必ず育てる定番植物はありますか? 冬は花が少なくなるとは言え、パンジーやビオラ、シクラメン、葉牡丹など、この時期にしか出会えない花は数々あります。これまでオージープランツなど多種多様な植物を育て続けて30年になるガーデンプロデューサーの遠藤昭さんが冬に必ず育てている定番植物は、パンジーとストック。なぜこの2種を育てているのか。育てて30年の経験と栽培のコツを、先輩ガーデナーに教えていただきます。

冬は「のんびり」ガーデニングを推奨

パンジーとストック

長年ガーデニングをやっていて、常日頃、草花の水やりをはじめとした世話に追われ、時に、「のんびり」ガーデニングを素敵に楽しみたいと思うことがある。その絶好の機会は、雑草など生えず、樹木も成長を止める冬である。そんな「のんびり」ガーデニングを楽しみたい冬に、何を植えようかと悩まないよう、例年、パンジーとストックを「冬の定番」としてかれこれ30年近く育ててきた。

初夏のパンジーの鉢植え
キモッコウバラ(左奥)やロベリア(右)が咲く時期でも、パンジーの花付きは衰えていない。

なぜパンジーとストックなのか? それは10月中旬から5月の連休までと長い期間咲き続けてくれる優等生だからだ。比較的、苗も安く入手でき、余裕のある時は実生(種まき)で育てたりするのも楽しい。ほかの季節はオージープランツをはじめ、比較的マニアックな手の掛かる植物を育てている反動からか、冬は手間の掛からないパンジーとストックを定番に育てることに落ち着いた訳である。

パンジーとストック

平凡なパンジーとストックを冬の定番にして30年になると言うと、なんだか「進歩の無い人」に思われるかもしれない。しかし、毎年の定番という花の存在は、ホッと安らぎを感じさせてくれるのである。

パンジーとストックを定番にした理由

ストックの花

日々のガーデニングをSNSで情報発信していると、つい新しい情報や背伸びした内容をアップしたくなるものだが、やはり、自分が癒やされ、くつろげる自然体のガーデニングが一番である。30年前を振り返れば、私はガーデニング初心者だった。その時に「初心者でも育てられる植物」がパンジーとストックだったのだ。それに加え、毎年定番の草花を育てるメリットは、「育て方」を毎年経験し、熟知するので失敗がなく、安心していられることだ。

また、この20年でパンジーもストックも品種の性質が向上しているので、安心して育てられるのを年々実感している。昔から親しまれているオールドパンジーやストックこそ、私にとって親しみがある冬の定番なのである。

パンジー

私のパソコンで過去20年間の写真の中から、パンジーとストックを検索したら約1,000枚の写真がヒットした。年間にすると50枚だから、11月から4月の6カ月間に、ひと月9枚の写真を撮った計算になる。そんな20年間に撮った写真で冬の定番草花のパンジーとストックの魅力をお伝えしたいと思う。

パンジーの基礎知識

パンジー
Ermak Oksana/Shutterstock.com

学名/Viola
和名/三色スミレ
英名/Pansy
科名・属名/スミレ科スミレ属
原生地/ヨーロッパ

私が子供の頃、つまり60年位前には、パンジーは「三色すみれ」と呼ばれていた。江戸時代に日本に渡ったとされるが、60年前の当時は、春の花であり、販売されるのも3〜4月だったと記憶している。20年程前であっても12月頃から販売されていて、その後、年々販売開始が早まり、ご存じのとおり今では10月から園芸店に開花苗が並んでいる。ただし、今年のような猛暑の中では早く購入しすぎても徒長するので、やや寒さを感じる時期まで待ったほうが賢明だ。実生の場合は8月にタネを播けば、12月には開花すると言われるが、今年のような猛暑では難しいかも知れない。

パンジーとビオラの区別についてだが、一時、花径が何センチ以下はビオラと言われたが、最近はミックス品種も多く、学名も両者ともViolaだ。原産地はビオラの方が北部ヨーロッパとされ、寒さにも強いと言われている。

ストックの基礎知識

ストック

学名/Matthiola incana
和名/アラセイトウ
英名/Stock
科名・属名/アブラナ科アラセイトウ属
原生地/地中海沿岸

ストックも、江戸時代に日本に入り、房総半島で切り花として栽培された。私自身もストックは「切り花」のイメージが強く、我が家で庭で育て始めたのは20年位前からである。パンジーと開花時期がほぼ同じで、育つ環境も似ているので管理しやすい。草丈があるので、パンジーとの寄せ植えなどもバランスがよく、扱いやすい。

パンジーとストックの庭での活用実例

我が家はパンジーもストックも、ごく平凡な一般的な品種を育てているが、写真を紹介しながら説明していこう。

【単植】

パンジーの鉢植え

1鉢に1~2品種のみをシンプルに植えると、花が引き立って豪華。鉢自体が庭のアクセントになる。

【寄せ植え】

パンジーの寄せ植え
シルバーレースはパンジーを引き立てる。

パンジーは他の植物とも合わせやすく、寄せ植えにおすすめ。

冬の寄せ植え
左上/黒花をヒューケラと合わせて大人の雰囲気に。右上/常緑低木のカルーナと暖色系の同系色でまとめた。左下/一年草のアリッサムとの組み合わせは無難だが失敗がない。右下/サラダ用のミックスリーフと寄せ植え。なかなか渋い。
パンジーの寄せ植え
パステルカラーのネメシアなどとも相性がよい。

【庭風景】

パンジの鉢植え
小型の安定のよい鉢に植えると、塀の上など狭い場所に飾ることもできる。

次に、庭風景に映える組み合わせやディスプレイの例を紹介しよう。

パンジーの寄せ植え
左/数鉢のパンジーを足元に置き、デンドロビウム・キンギアナムを豪華に引き立てる。右/シダのあるワイルドな庭もパンジーが入ると優しい景色に。
ストック
パンジーとストックを一緒に植えると高低差が出てバランスがとりやすい。
寒さに強い花
ストックもパンジーも雪が降っても寒さに強い。

パンジーとストックの育て方

種まきから育てたパンジー
種まきから育てたパンジー。ある年の8月下旬の様子。

パンジーもストックも育て方はほぼ同じで、種子から育てる場合は、年内に開花させる場合は8月が播種のタイミングと言われてきたが、猛暑の昨今、このスケジュールではかなり厳しい。発芽適温は15~20℃、最高気温が25℃を超えない時期がよいとされているので、今年のような猛暑の年は10月でもまだ暑く、実生の場合は年内の開花は諦めたほうがよい。苗を購入する場合、10月には出回っているが、暑いと徒長するので充分に涼しくなってから購入したほうが無難だと思う。そして、本格的な寒さがやってくる頃までにはしっかり根付かせたいので、地域にもよるが、紅葉の見頃を迎える11月下旬から12月上旬頃が買い時ではないだろうか。

パンジーとストック
我が家は、毎年、ケース買いをしている。

【植え付け時期】

植え付けは、パンジーは6号鉢に1株、プランターで3~4株と余裕をもって植えるとよい。地植えは20~30cm間隔に。

ストックはやや密に植えないと見栄えがよくないので、8号鉢に3株、プランターで5~6株程度でよいだろう。寄せ植えの場合は、これより若干、密に植えるとよい。地植えは20cm程度。

【用土】

用土はあらかじめブレンドされている培養土が簡単。植え付け時に長期間効く緩効性肥料を施しておくとよい。

【置き場所】

日当たりがよく、寒風は当たらないような場所がよい。

パンジー

【肥料】

鉢植えの場合は、2週間に1回程度、液肥を与える。

【水やり】

鉢植えやコンテナ栽培の場合、表面が乾いたらたっぷりと与える。

【花がら摘み】

特にパンジーのように種子を作る草花は、花がら摘みをマメにすることが花を長く咲かせるコツ。種子ができてしまうと養分が取られ、子孫を残すのに安心して新しいつぼみを作らなくなる性質がある。花がら摘みを都度することで、子孫を残そうと新しい花が次々に咲く。

冬の庭

今年の冬は基本に戻って、冬の定番のパンジーとストックを育てて、園芸の醍醐味を味わってみませんか? 基本的な草花は、丁寧に育てると見違えるほど立派に育つものです。ぜひチャレンジしてください。

Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。

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