26歳の元逸材、引退の悲劇…「脳腫瘍の後、最後まで競技に戻ろうと涙と汗を流したが…」

Text by 井上大輔(編集部)

かつてユヴェントスでプレーした元イタリアU-21代表MFシモーネ・ムラトーレがSNSで引退を表明した。

2019年、当時21歳だった彼はCLレヴァークーゼン戦でユーヴェのトップチームにデビューし、将来を嘱望される存在だった。

その後、アタランタに移籍し、レッジーナとトンデラに貸し出されたが、2023年以降はプレーから遠ざかっていた。

「あの日から3年。青天の霹靂のような知らせが、私と周囲の人々の人生を変えた。左側脳室の中枢性神経細胞腫。

思い悩み、疑問、怒りの瞬間。私は涙を流したことはなく、知らせがあった日から手術の前夜まで、常に他の人の目に自分を強く見せるよう努めてきた。

手術の夜、私が知る限り最も強い女性である母と一緒の部屋で、二度と目覚めないのではないか、あるいは目覚めても以前と同じではないのではないかという恐怖から、子供のように涙があふれた。それは何日も、何週間も、何ヶ月も、何年もの苦しみだった。上手に話す方法、歩く方法、走る方法、書く方法、読む方法、数を数える方法を再学習しなければいけなかった。まるで再び子供になり、すべてをゼロからやり直さなければならなかったかのようだった。

体調は良くなってきていたのに、ベッドから起き上がることさえ困難な日もあった。

今日、選手としてのキャリアに終止符を打つ。最後まで復帰を目指し、涙と汗を流したが、もう以前と同じではなかった。

ピッチの上でも、特にピッチの外でも、並外れた選手たち、チャンピオンたちとプレーできたことは幸運だった。あの緑の長方形の中で、後に友人となるチームメイトたちとともに成し遂げられたすべてのことに感謝している。ピッチ、ロッカールーム、情熱…直接経験しなければ説明するのが難しいものばかりだった。

何よりもまず、いつも私のそばにいてくれた家族に感謝している。私に前に進む力を与えてくれた唯一無二の特別な子供たち、そして最後に友人たち。ユヴェントス、アタランタ、トンデラに感謝している。失う一歩手前で、物事を大切にすることを学ぶ。人生は素晴らしい贈り物だ」

彼は脳腫瘍（中枢性神経細胞腫）を患い、長期のリハビリを経て、トレーニングに復帰したものの、選手としての復帰を断念することになった。