選択肢がある事で突然湧き上がった、34年間共にした名字への愛着

もうすぐ40歳になるわたしは子供の頃、友達と「結婚したらどんな名字になるのかな？」とか自分の名字を好きな人の名字に置き換えたりしてキャッキャしていた。
女の人は結婚すると名字が変わるのが当然。母も祖母もそうだったから何の疑問にも思ってなかった。

25歳を過ぎると周りの友達が結婚してどんどん名字が変わっていく。「口座や運転免許、キャッシュカードとか名前変更の手続きが本当大変！多すぎるわ！」と言う友達の姿は幸せそうにも見えた。
結婚した友達のLINEの名前表示は間違えて失礼にならないように結婚後の名字と旧姓を併記して登録したりして。

そんな私も遂に34歳で結婚する事に。

夫となる彼と役所に婚姻届を出しに行くと、「ご結婚おめでとうございます。奥さま、名字はどうしますか？」と聞かれた。

どうやら夫が外国人だと名字を選択できるのだそうだ。

役所の方は続けて「完全に旦那さんの名字に変える方もいらっしゃいますし、ミドルネームみたいに2人の名字を並べて使う方もいらっしゃいますよ。旧姓のままの方もいらっしゃいます。」と説明してくれた。

陳高橋美咲
高橋陳美咲
陳美咲

相手が外国人だから想像はしていたけど実際目の前にするとどれもこれも自分じゃない気がして急激にすごく違和感を覚えた。

あれ〜？おかしいなぁ。
小さい頃あんなに憧れていた新しい名字やのに、外国の名字だから余計にそう思うだけなんかな？
でも結婚するなら名字変えた方が良いよな？
いや、選べるならやっぱり生まれた時のままのオリジナル名字で良くないか？

今まで自分の中にあった常識や考えが頭の中を駆け巡る！巡る！巡る！
それでも、わたしが夫に「あなたと同じ名字に変えようかな？」と言うと「え？何で？変える必要ある？そのままで良いじゃない？」と言う。

夫の母国では夫婦別姓が当然で、義母は義父と2人の子供とは違う名字を名乗っている（子供は両親どちらの名字にしても構わないとの事）。

何か色々考えたけれどやっぱりわたしは今までの名字がしっくり来る！
選択肢がある事で突然湧き上がった34年間共にした名字への愛着。

結局わたしは結婚後も高橋美咲のまま生きて行く事にした。
当然諸々の改名の手続きは一切しなくて良く、拍子抜けしたのを覚えている。
と、同時に「何これ！名字選べるってめっちゃ最高やん！」と思った（わたしも夫の名字がしっくり来ていたなら変えていたと思うけど）。

今まで結婚して行った友達たちも、もし選択肢があればどうしていたかな？思った。
今は強制的にどちらかの名字になっているけれど、選べたらどうだろう？

我が家は結婚して5年経ち子供も生まれ、日本では夫だけ名字が違うけれど今のところ取り立てて困る事もなく3人仲良く暮らしている。
全員同じ名字を名乗っている家族と同様の一体感も十分ある！

変えても良いし、変えなくても良い。

思いがけない選択的夫婦別姓だったがこれが当然にできる世の中になれば良いのになと思う。

■mimi醬のプロフィール
九州系関西人。
年下台湾人と結婚して共働きでゆるゆる子育て中。
何でも出来過ぎる夫に甘やかされ日々ぽんこつに磨きをかけています。