些細な、だけど致命的な名字問題。大事なのは社会がどう許容するか

小学生の頃、結婚したらどんな名字が良いか？という話で盛り上がったことが何回かある。
四ノ宮さんとか神宮寺さんってお金持ちそうで良いよね〜とか、なるべく出席番号が後ろが良いから和田さん渡辺さんとかが良い、とか、名前が1文字だから名字は2文字が良い！とか。

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この話題は結構盛り上がる。
みんなで嫌な名字ランキングや、なりたい名字ランキングを考えたりしたこともあった。
ちょっと想像するだけで、今も楽しい。

例えば今私の嫌な名字ランキングを考えてみる。
私の名前は佳奈だから、名字に『カナ』が入ると早口言葉風になる。
中 佳奈。ナカカナ。
川名 佳奈。カワナカナ。
金谷 佳奈。カナタニカナ。さぁ3回言えるカナ？？

どれも自己紹介はこれでウケるだろう。

あとは、名前と一緒に聞くと変な感じになる名字は困る。
仲間 佳奈。ナカマカナ。
御手洗 佳奈。オテアライカナ。
二股 佳奈。フタマタカナ……。

ちょっと辛い。

改めて愛が試される、結婚後のフルネームランキングとしてまとめてみると、第3位は中 佳奈、第2位は御手洗 佳奈、第1位は二股 佳奈。
どれもすごく良い彼氏でも結婚を悩んでしまうし、婿に入れることを絶対考えてしまうだろう。

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とても小さな問題のはずなのに、とても致命的な問題な気がする。
だって考えてみて欲しい。仲のいい友達から「彼、本当にすごく好きだし結婚したいんだけど……名字が困るの。でも婿に入れるのは相手のお母さんが嫌がってて…」なんて相談された時、自分ならなんて答えるのか。

私はどうしたもんかと頭を抱えてしまう。
「名字なんてどうにかなる！」なんて軽々しく言えない。
婿が無理で他の選択肢を考えたら、事実婚、選択的夫婦別姓、なんて重たい漢字がどーんと頭上から落ちてきて首がもげそうだ。

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名字は社会に出て活動していく中でとても重要なピースだ。
名前より覚えて貰うものであり、私自身の看板でもある。
表立って言わないけれど、結婚相手の条件に少しだけ反映してくる項目だろう。

そうなると珍しい名字の男性達はこの問題に向き合わざる得ない。なんて大変な話だ。

ここまで考えて、ふと感じる違和感がある。
何となく考えるところが違うのではないか、という違和感だ。

そもそも、「名字が1番覚えられる」「名字が私の看板」が不思議だ。
名字なんて、ただの家の名前。
名前を1番に覚えられたり、看板は名前になれば済む話だ。

でも社会に出ると、「田中さん」「鈴木さん」と名字で呼ぶように、「佳奈さん」とか「太郎さん」とか名前で呼んだり呼ばれたりするとどうもこそばゆい。
なんだかその人との距離感を無理矢理ぐっと詰めたような感覚にもなる。
多分幼稚園から名字で呼ばれているから、名前で呼ばれるのは特別なことになりすぎているのだ。

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最近カスタマーハラスメント、略してカスハラが増え、従業員の名札改善が行われている。
本名ではなく、Kとか、ニックネームを名札に書いて身につけるのだ。
そのニュースを見て初めて気付いたのだが、仕事をする時、別に名前は何でも良いということだ。

みんなに呼んで欲しい名前で仕事をする。
そしたら名字なんかで悩むことは無くなる……。
でも、だけど、名字が無くなって欲しいとは思わない。
私は結婚して、名字が変わった時に大好きな人の家族の一員になれたという実感があったからだ。
だから今でも名字を呼ばれると、なんだか幸せな気分になるし結婚して良かったなと感じる。

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この小さな、でも致命的な問題で、事実婚を選んだり選択的夫婦別姓を選べる社会になったことはとても良いことだけど、その選択を喜ぶ家族はどのくらいいるのだろうか。
多様な環境と社会に生きている現代の私達。
選択も多様になるのは必然的なことだ。
この先、名字が無くなったり、結婚して新しく名字を夫婦で作れるようになっても別に不思議には思わない。
新しい選択肢が生まれてきた時に、どう社会が対応するか、どう許容するかが重要な気がする。
その時はなるべく家族皆が心から祝福してくれる方法を取りたい。

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ちなみにもし私が二股 佳奈になっていたら、探偵事務所を設立し『脱！二股』をスローガンにした浮気や不倫を暴く「探偵 二股 佳奈」として世に君臨したい。
なんだか胡散臭いが、興味本位で一度は来てくれそうだ。

嫌な名字も捉え方によっては面白い人生が待っているかもしれない。

■佳奈のプロフィール
ただの図書館司書で主婦です。誰でもクスッと笑える記事を書く人になりたいです。Instagram: https://www.instagram.com/tamago39xoxo?igsh=NW5uMzUzaWY0Z3Rl&utm_source=qr