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入手困難なレアブランド。レッドカーペットで再びスポットライトを浴びる、クリスチャン・ラクロワのヴィンテージピース

  • 2024.12.14

近年、レッドカーペットルックとして人気を集めているシャネルCHANEL)やヴェルサーチェVERSACE)、ジョン・ガリアーノJOHN GALLIANO)といったデザイナーのヴィンテージピース。しかし、今月ロンドンで開催されたファッション・アワード2024の授賞式で、リアーナは前述したどのブランドでもないティールブルーのミニドレスとお揃いのファーハットという装いで登場し、大いに話題を呼んだ。

彼女が身につけていたのは、クリスチャン・ラクロワCHRISTIAN LACROIX)が2002-03年秋冬オートクチュールコレクションで発表したアンサンブル。レッドカーペットではあまり着用されないブランドだが、実はここしばらくの間リバイバルの兆しを見せている。先月ロサンゼルスで行われた映画『ブレッド&ローズ』のプレミアに、ジェニファー・ローレンスは同ブランドの2006-07年秋冬オートクチュールコレクションのオフショルダーガウンで参加。1月に行われた全米製作者組合賞では、ブリー・ラーソンが2004-05年秋冬コレクションでお披露目された、オレンジのフィッシュテールドレスを纏っている。さらに遡ること2022年。キルスティン・ダンストは2002-03年秋冬コレクションのピンクチュールドレスでアカデミー賞のレッドカーペットを飾り、アドゥ・アケチメットガラ(MET GALA)で2003-04年秋冬コレクションのラッフルドレスを着用している。

再び脚光を浴びるときがきた、クリスチャン・ラクロワという偉大なデザイナー

ファッション・アワード2024でのリアーナとエイサップ・ロッキー。
The Fashion Awards 2024 Presented by Pandora - Arrivalsファッション・アワード2024でのリアーナとエイサップ・ロッキー。
『ブレッド&ローズ』のプレミアで、ラクロワのクチュールガウンをレッドカーペット兼マタニティルックとして纏ったジェニファー・ローレンス。
"Bread & Roses" Los Angeles Premiere『ブレッド&ローズ』のプレミアで、ラクロワのクチュールガウンをレッドカーペット兼マタニティルックとして纏ったジェニファー・ローレンス。

装飾をふんだんにあしらったラクロワの華麗なガウンにはロマンスとドラマ性があり、いろいろな意味でレッドカーペットにお誂え向きだ。「ラクロワは色とボリューム感を巧みに操ります。それも心を浮き立たせる、独特な方法で」とオンライン・ヴィンテージブティック「Shrimpton Couture」の創設者であり、ヴィンテージディーラーであるシェリー・ボルチは言う。ローレンスやラーソン、アケチが着用したラクロワによるルックを調達したのも彼女だ。「彼は歴史からインスピレーションを受けならがも、これまで見たことのないようなハイ・ファンタジーの作品を作り上げます。だからこそ、レッドカーペットで着用されるとあんなにも人びとの記憶に刻まれるのです」

しかし、ラクロワがファッションに与えた多大な影響は見過ごされがちだ。「フランスのクチュール界は、彼にかなりの恩義があります」とダンストのアカデミー賞ドレスを調達したロサンゼルスのヴィンテージブティック「Lily et Cie」のオーナー、リタ・ワトニックは語る。「例えば、天才デザイナーとして名高いジョン・ガリアーノにも、ラクロワは大きな影響を与えています。彼がディオールDIOR)在籍時に世に送り出した豪勢なピースは、ラクロワからインスパイアされていますし、プレタポルテでさえ、ラクロワの柄と装飾、非凡と凡庸の巧みな掛け合わせを参考にしているのがわかります」と続けた。

市場にほとんど出回らない、ラクロワのヴィンテージピース

2022年のアカデミー賞でクリスチャン・ラクロワのドレスを着用したキルスティン・ダンスト。
94th Annual Academy Awards - Arrivals2022年のアカデミー賞でクリスチャン・ラクロワのドレスを着用したキルスティン・ダンスト。
ブリー・ラーソンは第35回全米製作者組合賞にラクロワによるガウンで参加。
35th Annual Producers Guild Awards - Arrivalsブリー・ラーソンは第35回全米製作者組合賞にラクロワによるガウンで参加。

では、なぜこれまでレッドカーペットでラクロワのルックを目にする機会が少なかったのだろうか。「ブランドに対する関心が低いわけではありません。ラクロワのクチュールピースは、非常に希少で入手困難なのです」と語るのは、ロンドンのヴィンテージブティック「One of a Kind Archive」の創設者であるジェファーソン・イエナチョ。「彼のアーカイブにアクセスするのはほぼ不可能で、滅多にピースを貸し出してくれません。その上、クチュールコレクションが発表されていた頃のクライアントたちはクライアントたちで所有しているアイテムを手放さずにいて、市場に出回ることがほとんどないのです」。ファッション・アワード2024でモナ・パテルが纏った1996年春夏コレクションのコルセットを調達した彼が言うと、手に入れるのがいかに骨を折る作業なのかがわかる。

2022年のメットガラではアドゥ・アケチがクリスチャン・ラクロワのクチュールピースを着用。
The 2022 Met Gala Celebrating "In America: An Anthology of Fashion" - Arrivals2022年のメットガラではアドゥ・アケチがクリスチャン・ラクロワのクチュールピースを着用。
ファッション・アワード2024でモナ・パテルが身につけたのは、装飾美が光る1着。
The Fashion Awards 2024 Presented by Pandora - Arrivalsファッション・アワード2024でモナ・パテルが身につけたのは、装飾美が光る1着。

それでもイエナチョは、1998年春夏コレクションで発表された華美なルックが、いつかレッドカーペットで着用されることを夢見ている。そしてボルチもワトニックも、それぞれ2008年春夏コレクションのガウンと、ラクロワが1980年代にパトゥPATOU)のために手がけたデザインが、再び日の目を見ることを待ち望んでいる。来るアワードシーズンで、彼らの望みは叶うだろうか。セレブたちのルックの動向から、ますます目が離せない。

Text: Emily Chan Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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