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【石田明】超若手のネタ見せのため大阪に行くことも! M-1の見どころも教えます。【『答え合わせ』ヒット記念インタビュー】

  • 2024.12.14

人気お笑いコンビ、NON STYLEの石田明さんの書籍『答え合わせ』(マガジンハウス)が大好評。「M-1グランプリ2008」王者の石田さんが漫才論や「M-1グランプリ(以下M-1)」について語り尽くす贅沢な一冊。お笑いファンにはたまらなく面白い内容ですが、軽快な語り口でお笑いがよくわからないという人にもわかりやすく、漫才やM-1の楽しみ方を教えてくれます。石田さんに著書の魅力からM-1の楽しみ方、これから挑戦したいこと、自身を輝かせるものなどたっぷり伺いました。


石田明さんインタビュー

『答え合わせ』は東野さん、岡村さんとのM-1談義から始まった

──発売後の反響はいかがですか?
「知り合いや業界関係者の方からの飲みの誘いが増えてます(笑)。この本の話やM-1についていろいろ聞かせてと言ってもらえて、とてもありがたいですね」 ──出版の経緯を教えてください。
「お笑いの本を書いてほしい、というオファーをいただいてもずっと断っていたんです。この本のきっかけは、東野(幸治)さんなんですけど、東野さんがM-1を観た後、『これは石田どうなん?』って声をかけてくれることが増えたんです。たまたま全然違う角度からナインティナインの岡村(隆史)さんとM-1について話す会にも、僕が召喚されました。岡村さんと僕どちらも人見知りなので、その間に博多大吉先生に入ってもらいまして(笑)。そうしたら岡村さんが「飲み屋で話しているだけじゃもったいない」、ラジオでやろうと「オールナイトニッポン」に呼んでもらえることになりました。コーナータイトルが「M-1の答え合わせ」と聞いて、もうビックリですよ(笑)。それがきっかけで、言語化していくことが増えたんですよね。それまでは感覚的な話なので、芸人さん同士だったら、あそこってああじゃないですか、ぐらいの雰囲気でわかっていましたが、ラジオを通したらちゃんと言葉にしないとダメだって言語化が始まったんです。今回の書籍のタイトルは、きっかけとなった『答え合わせ』をタイトルにしました」

今の自分の意見を〝置いていこう”と思った

──そのなかでずっと断っていた書籍化を決意した理由は?
「何でもそうなんですけど、お笑い論だとか、書いた時点から古くなるじゃないですか。それが怖かったんですけど、すごく漫才も進化していて、多様化もしていて、一旦今の僕の持っている意見をここに置いていこうと思いました。ここからさらに新しい気持ちでいろんなお笑いと向き合っていこうと。25年目までのNON STYLEをここに置いてきたみたいな感覚です。あとはもう、ここから1年目のつもりでやっていこうと思いました」 ──執筆で苦労されたところがあれば教えていただきたいです。
「漫才が好きなので、苦労したところ、大変だったことはなかったです。でも、苦労したところを唯一言うなら、NON STYLEの過去の話をまとめた章ですね。あそこだけ自分やコンビのことを書いたので、主観的になりすぎてしまって、二転三転しました」 ──この章で書かれている、相方の井上さんに対する想いに感動しました。
「本当ですか? 僕はそんなつもりじゃないんです(笑)。みんなが勘違いしてくれるので助かっています。僕はいつでも井上をこき下ろしてやろうと思っています。井上への気持ちを書きすぎるのも照れるし、書かなさすぎると真意が伝われへんし、みたいなバランスが大変でした」

青木マッチョをはじめ、自分の生徒とお酒を呑める幸せ

──最後の章では、今後のお笑いがどうなるか書いています。石田さんは今、NSCの講師をしていて、生徒をたくさん持っていますが、彼らに対してどんな想いですか?
「最近1年目~3年目の子たちとよく呑むんですよ。やっぱり面白いですね。こんな人生めちゃくちゃいいなって思うんですよ。20代前半と呑んで、向こうも最初は緊張してるけど、もう何回も呑んだら、ちゃんとおじさんの扱いしてくれるし、なんかいい人生やなと思って。この子たちが売れたら、そらまた嬉しいし、売れへんくてもいいし。だって、ネタ見てもらっていいですかって電話かかってくるんです。僕は行く予定なかったけど、わざわざ大阪に行ってネタ見て、一緒に酒飲んで、ああでもない、こうでもないって言って、一緒にネタ考えて。言うと、俺としたら一緒にネタ考えるなんて、別に何の得もないわけです。お金もらえるわけでもないし。でも、こんなに幸せな時間もらえるのかって」 ──生徒はやっぱり可愛い存在ですか?
「みんなすごく可愛いですね。昨日、一昨日も僕が教え出した一期生の青木マッチョ(ラヴィットで人気爆発、マッチョ芸人として吉本パワー倶楽部でも活躍中)ってやつが、家に来て一緒に飲みました。今、テレビにいっぱい出てるやつなんですけど、今抱えてる話とかも聞けたりして、贅沢やなぁって」 ──生徒だけでなく、後輩からもアドバイスを求められたりしますか? 例えばM-1でどうしたらいいのかとか。
「そういう連絡も結構ありますね。今日も一緒に仕事をしたコンビがいたんですけど、全然お笑いとは違う仕事なんですよ。全然お笑いに関係ないのに、楽屋にバーって来て、ちょっとネタ見てもらっていいですか?って。いや、見るけどさって(笑)。という感じで、今日もネタ見て、ダメ出ししてきました(笑)」

──「答え合わせ」を出版して、今どういう感覚ですか? ご自身のなかで何か変わったところはありますか?
「何でも賛否両論あってしかりだと思うんですよね。でも、僕はどうせ賛が一旦来ても後で否が来るんでしょって怯えていました。特に今の世の中そうじゃないですか。なので、そういうことに怯えてましたけど、今は本にも書いた心療内科の先生の言葉もあって、「俺はたいしたことないやつやねん」って。たいしたことないやつが書いてんねんから、間違っていて当たり前やし、その否の意見があって当たり前や、賛があるだけで良くないかっていうところに、この本を書いて至りました」

M-1は当日の本番までまったく読めない

──12月22日(日)にはいよいよM-1グランプリ2024の決勝。ここに注目すると楽しめるというポイントがあったら教えていただきたいです。
「ポイントは、トップ出番が向いている人が何組いるかですね。「トップ出番であまり受け切れなそうな人たちは誰か」みたいなことを考えながら見ると、笑神籤(えみくじ)が楽しいと思います。ちなみにトップ出番が得意な人、そこでしっかり笑い取れる人、つまり漫才を振りにして漫才をやっていない人たち、みたいな人はトップ出番でも受けやすいんですよ。でも、漫才というものを振りにして作っている人たちは、トップ出番では受け切れなかったりします。トップ出番が得意な人が一番に来ると、すごくいい流れで始まります。でも、向いていない人たちだと、どんと落ちたスタートになってしまう。受ける待ちみたいになって、お客さんらはどんどん緊張してきて、軽い笑いが入った時に受け切ります。って、マニアックですみません(笑)」
※笑神籤:ファイナリストの名前が書かれた“おみくじ”を生放送中に1組ずつ引いていき、名前が出たコンビがそのまますぐにネタを披露するもの ──(笑)勉強になります。当日にならないとわからないってことですよね。
「そうですね。全然変わってきますから、分からないですね、M-1ばっかりは。だから笑神籤は恐ろしいですよ。もし出番さえ決まっていたら、その戦い方に合わせられるんですけどね。準決勝って、勘のいい観客の割合が多いんです。お笑いオタクが多いんですよ。一方で決勝のスタジオは、お笑いの感度の高い人の割合が気持ち減っているんですよね。となったら、ニュアンスの笑いが先行しにくいんです。って、また何マニアックなことを言っているんですかね(笑)」 ──(笑)。今年のM-1はどこでご覧になりますか?
「今年はまだわからないんですよね。ここ数年は、だいたい生実況のラジオでM1を見ながら喋るという仕事が続いていて(ABCラジオ『ラジオでウラ実況!? M-1グランプリ』)、これまで笑い飯さんとか、銀シャリの橋本(直)あたりと実況しながら見ていました」 ──今年は「答え合わせ」と照らし合わせながら、M-1を観るのが楽しみです。
「この本が発売された10月末、11月頃は、M-1の予選も始まっているし、皆さんのお笑い熱が上がってくるんですよね。それぞれにM-1の答え合わせをしながら読んでほしいなと思い、本の発売をこの時期にしました。新書で軽くて手に取りやすいですし、この本を通して、どの家庭でもM-1や漫才を楽しんでもらえるように、という思いです」

言葉が関係ないコメディに挑戦していきたい

──石田さんが今後芸人としてやってみたいことはありますか?
「スコットランドのエディンバラに行って、言葉を使わないコメディ(『CHALLANGE』)をやってきまして、それは今後も続けていきたいなと思っています。面白いですね。甘えてたなと思いました。今まで。調子乗ってたなと思いました。新しい試みだから最初は怯えましたけど、蓋を開けたらみんな笑ってくれてるし、やってること間違いないんやって思いました」 ──今回の出版やYouTubeの運営など、常に挑戦されてる感じですね。
「年に何個か目標を立てるんですけど、実現可能な目標と実現不可能であろう目標を折り混ぜて書くんです。それで60%達成できたら、OKにしています。物事ってやろうとするか、せえへんかだと思うんですよね。最近で言うと、ルービックキューブの6面を合わせるのをずっと諦めてたんですけど、やってみたらできたんです。やり方をちょっと調べてね。全部そうなんですよね。ネタ書くのもやったことなかったけど、やらないままだと一生やれない。でも、僕がやろうと思ったから、今も年に50本は書けていて、書くのをやめへんかったから今もやれてるだけ。でも、書くのをやめた人たちはもう書けなくなっていて、やるかやらへんだけだから、挑戦しといたほうが楽しいなと思っています」

撮影=梶田麻矢 取材・文=杉嶋未来


『答え合わせ』(マガジンハウス)

NON STYLE石田明さんによる漫才論。真空ジェシカやウエストランド、横山やすし・西川きよしなどコンビの実際の構成やネタを引用しながらわかりやすく解説。M-1などでの審査や採点について、石田さんのお笑いとの出会いや初舞台・NON STYLEについて、お笑いの未来論まで語りつくす。
構成:はじめに、1章漫才論、2章M-1論、3章採点論、4章コンビ論、5章未来論、おわりに 新書1100円、Kindle版990円(マガジンハウス刊)

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