Text by 編集部補佐
東南アジア最強を決める大会『2024 AFF三菱電機カップ』が8日から東南アジア各地で開催され、各地でプライドをかけた熱戦が繰り広げられている。その中でも日本出身選手が帰化(国籍変更)などをして東南アジアのチームで輝きを放っている。
今回各チームで活躍する5人の選手を紹介する
シンガポール
MF仲村京雅
シンガポール代表は11日にカンボジアと対戦し、千葉県船橋市出身のMF仲村京雅が先発出場。後半45分まで出場し、2-1の初戦勝利に貢献した。
仲村はJ2ジェフユナイテッド千葉のアカデミー出身で、2015年にトップチーム昇格を果たした実力者だ。J3のFC琉球やY.S.C.C.横浜を経て、2019年にシンガポール1部アルビレックス新潟シンガポールへ加入してリーグ戦23試合7得点と活躍。現在は同国1部タンピネス・ローバースFCでプレーしている。
今年10月にシンガポール国籍を取得し、先月には小倉勉監督が率いるシンガポール代表に招集され、ミャンマーとの国際親善試合で代表デビューを飾った。166センチの小柄な体格を生かしたキレのあるドリブルやスルーパスのチャンスメイクを武器とする仲村がシンガポールの攻撃をけん引する。
カンボジア
DF水野輝、DF大瀬貴己、MF小川雄大
カンボジアは8日にマレーシア、11日にシンガポールと激突。東南アジアの強豪マレーシアに2-2で引き分けるも、シンガポールに1-2と惜敗した。
これまで東南アジアの弱小国と言われたカンボジアがマレーシアに引き分けたニュースは同地域で話題となっており、チームの躍進に日本出身選手が大きな貢献を見せている。
行徳浩二監督が率いる同代表は今年に入ってからDF水野輝、DF大瀬貴己、MF小川雄大をチームに迎い入れ、強化を図った。彼らの存在によりチームの守備は安定感が築かれ、カンボジアの攻守にバランスをもたらされた。
特に中盤の核である小川とディフェンスリーダーの大瀬は2試合連続でフル出場しており、水野もシンガポール戦で途中出場してチームに貢献した。
惜しくも仲村を有するシンガポールとの日本人対決は負けてしまったが、今後の躍進に注目していきたい。
フィリピン
タビナス・ポール・ビスマルク
フィリピンは12日にミャンマーと対戦し、1-1のドロー発進となった。この試合で右サイドバックとして存在感を見せたタビナス・ポール・ビスマルクはフル出場してチームの攻守を支えた。
2022年に当時J2のいわてグルージャ盛岡を契約解除により退団すると、クロアチア2部HNKヴコヴァル1991へ完全移籍。同チームで守備の要として1部昇格を目指して奮闘している。
これまでDF佐藤大介やFW嶺岸光らと多くの日本出身選手が活躍した同国は、2022年にガーナとフィリピンにルーツを持つビスマルクを迎い入れた。
兄は現在タイ1部ブリーラム・ユナイテッドに所属するフィリピン代表DFタビナス・ジェファーソンであり、兄弟そろってフィリピン代表を選択した。185センチの長身を生かした空中戦の強さと身体能力を生かした対人守備などを評価され、今大会で日本出身選手で唯一ビスマルクが選出された。
兄ジェファーソンがQolyの取材を受けた際に「逆境に立たされても負けない強さを持っている。ヘナヘナになりながらも、それでも食いしばって付いていける」と弟の精神性を称賛した。
タイ代表を率いる石井正忠監督ら指揮官が注目を受ける大会で、日本出身選手たちはピッチ上で好パフォーマンスを見せている。同大会はASEAN United FCからYouTubeでライブ配信されており、彼らの奮闘を視聴できる。