1. トップ
  2. ダイエット
  3. 「これを直せば痩せやすくなる!」RIZAPジム会員1万人を調査した減量効果を下げる要因

「これを直せば痩せやすくなる!」RIZAPジム会員1万人を調査した減量効果を下げる要因

  • 2024.12.13
ダイエットをしたい人は睡眠の一貫性に着目しよう
ダイエットをしたい人は睡眠の一貫性に着目しよう / Credit: Canva

ダイエット(減量)の効果は、食事、運動のみならず、睡眠にも影響を受けます。

最近、東京医科大学などに所属する研究者たちで構成された研究グループは、RIZAPのジム会員1万人以上のデータをもとに、睡眠とダイエット効果の関係について、興味深い発表をしています。

今回、研究グループが注目したのは、平日(仕事日)と週末(自由日)の就寝・起床時間のズレを表す社会的時差ボケという概念です。

研究では、減量プログラム参加者の社会的時差ボケの程度と減量効果との関係が詳しく分析され、社会的時差ボケが大きい人は、ダイエット効果が薄いという結果が得られています。

これは、仕事のある日もない日も一貫した睡眠を保つことがダイエットを進める上で鍵になることを示唆しています。

この記事では、別の研究結果を含めて、睡眠を良くすることでダイエット効果が高まるという事実を説明していきます。

今回の論文は、『Sleep and Biological Rhythms』に2024年6月24日付けで公開されています。

目次

  • 平日と休日の睡眠がズレていると痩せにくい
  • 睡眠時間を延ばすだけで食事量が減り痩せる

平日と休日の睡眠がズレていると痩せにくい

社会的時差ボケは、仕事や学校、家事などの社会的な制約によって、私たちの体内時計と社会的な時間との間に生じるギャップのことを指します。

典型例としては、平日の仕事がある時にはアラームを使って早起きし、睡眠時間が少なくなる一方、翌日に仕事がない時には夜更かししつつ、昼頃までたっぷり寝るといったものです。

今回の研究では、2015年から2018年にかけて、パーソナルトレーニングジムの減量プログラムに参加したダイエッターの中から、データに欠損のない1万1829人を対象に、社会的時差ボケの程度と体格指数(BMI)、体脂肪率の変化との関係を探りました。

このうち、社会的時差ボケの程度は、「ミュンヘンクロノタイプ質問紙」というツールが用いられ、休日の睡眠の中間時刻から平日の睡眠の中間時刻を引いて算出されています。

研究チームは、社会的時差ボケを1時間未満、1時間以上2時間未満、2時間以上の3つのグループに分けて分析を行いました。

その結果、社会的時差ボケが大きいと、BMIや体脂肪率の減少が少ないことが確認されました。

社会的時差ボケ(SJL)とダイエット効果との関係
社会的時差ボケ(SJL)とダイエット効果との関係 / Credit: Minabe et al. (2024) Sleep and Biological Rhythms (CC BY 4.0)

この関係は、性別や年齢、参加期間、食事量などの他の要因を考慮した上でも認められ、運動や食事による減量プログラムの効果が睡眠習慣に影響されることを示唆しています。

一方、今回の減量プログラムでは、参加者に個別の対面栄養指導が行われ、体重を減らすために必要な食事量について明確なアドバイスが提供されているという特徴があります。

しかし、実社会では、こうしたサービスに申し込まずにダイエットを進めている人が大半だと考えられ、この場合、自分の意思で食事量をコントロールすることが求められます。

このような状況では、睡眠時間の長さが特に重要であることも分かっています。

次のページでは、睡眠時間を延ばすことがダイエット効果に与える影響について紹介します。

睡眠時間を延ばすだけで食事量が減り痩せる

アメリカ・シカゴ大学のエスタ・タサリ博士を中心とする研究グループが、睡眠時間を増やすことで減量効果が得られることを示す研究成果を2022年に発表しています。

この研究では、体重が重く、普段の睡眠時間が6.5時間未満の若年成人(21~40歳、BMI: 25~29.9)を対象に、睡眠延長群と対照群の2つのグループに分けて4週間の介入を行いました。

4週間のうち前半2週間は、両グループとも普段通りの睡眠を取るよう指示されましたが、後半2週間では、睡眠延長群に対してのみ、睡眠時間を8.5時間に延長することを目的とした個別カウンセリングを実施することで、睡眠時間を延ばすアプローチが取られました。

その結果、睡眠延長群では睡眠時間が1.2時間増加するとともに、摂取カロリーが270kcal/日減少しました。

気になる体重は対照群では0.39kg増加したのに対し、睡眠延長群では逆に0.48kg減少しました。

介入期間が2週間と短いため、体重の変化はそれほど大きくはありませんが、睡眠時間を延ばす取り組みによってダイエット効果が得られたのは注目に値する結果です。

実際、睡眠不足はインスリン感受性を低下させたり、食事に対する脳の反応を変化させたりすることが知られており、これらはダイエットの敵とも呼べる存在です。

たっぷりの睡眠時間もダイエットを成功するためのアプローチ
たっぷりの睡眠時間もダイエットを成功するためのアプローチ / Credit: 写真AC

今回触れた研究を踏まえると、「一貫した睡眠リズムを保つ」「睡眠時間を延ばす」ことは、ダイエットを成功するにあたって重要なアプローチになります。

ダイエットがうまくいかないとき、運動量や食事制限を厳しくしようとする人が多いですが、そこではなく、睡眠の改善を図ってみるのも立派なアプローチです。

ついつい食べ過ぎてしまう人も、睡眠を改善することで、食事量をコントロールしやすくなり、よりスムーズにダイエットが進められる可能性があります。

この秋冬、ダイエットをしたい人は、一貫してたっぷりの睡眠をとって、スッキリと痩せましょう!

参考文献

“Getting More Sleep Reduces Caloric Intake, a Game Changer for Weight Loss Programs”
https://www.uchicagomedicine.org/forefront/research-and-discoveries-articles/getting-more-sleep-reduces-caloric-intake

元論文

Association between social jetlag and weight and fat reduction in dieting
https://doi.org/10.1007/s41105-024-00539-8

Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings: A Randomized Clinical Trial
https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2021.8098

ライター

髙山史徳: 大学では健康行動科学、大学院では体育学・体育科学を専攻。持久系スポーツの研究者として約10年間活動。 ナゾロジーでは、スポーツや健康に関係する記事を執筆していきます。 価値観の多様性を重視し、多くの人が前向きになれる文章を目指しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる